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(会場)アクトシティ浜松大ホール
(座席)2階4列31番
(曲目)
スメタナ:連作交響詩「わが祖国」より第四曲 「ボヘミアの森と草原から」
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 Op.18(P/ダニール・トリフォノフ) (アンコール) J.シュトラウス(D.トリフォノフ編曲):「こうもり」より 序曲 〜休憩〜 ベートーヴェン:交響曲 第5番「運命」 Op.67 (アンコール) メンデルスゾーン:交響曲 第5番 ニ長調 Op.107「宗教改革」より第3楽章 スメタナ:歌劇「売られた花嫁」より「スコーチュナ」 昨年3月以来ほんとうに久しぶりのコンサート。
当日券購入だったけど、けっこう空席は少なかった…と思ったら両サイドの上階席はクローズしていたようでした。
サントリーホールで10/28と10/31に行われたコンサートを足して二で割ったようなプログラム。
最初の曲は11/4の「わが祖国」全曲のデモンストレーションのような演奏で、正直素晴らしくよくまとまってはいるけど、それ以上の印象はありませんでした。ただこちも久しぶりの演奏会なのでいまいち聴く態勢ができていなかったのかも。 続くトリフォノフのラフマニノフは第一楽章ではオケに呑み込まれ気味ではあったものの、第二楽章以降は弱音の美しさを軸に立て直し見事な演奏を聴かせてくれていました。 ただ聴いた方の話によると、10/31のこのコンビによる同曲でも第一楽章でも同じ傾向だったのに、オケのプルトを削ることなく、そのままこの日もこういう演奏を続けたのはちょっと疑問。トリフォノフからは何も指揮者に注文とかは出さなかったのだろうか。 このあとトリフォノフはアンコールで自らのアレンジによる「こうもり」を演奏。これがもう個性と技巧が大爆発の大炸裂。あまりの演奏に聴衆はポカーンでしたが、舞台上のチェコフィルメンバーはブラボーと足踏みによる大喝采。オケにとっては位置的にかぶりつきとなったためテンションがマックスになってしまったようでした。 オケがソリストにここまで熱狂的なそれをおくるのは珍しく、トリフォノフが今回この曲を演奏したのは10月29日のリサイタルのアンコールの最後に〆として演奏していたところをみると、チェコフィルとの三日間の連続共演で、この曲をアンコールとして演奏したのはこの日が初めてだったのかも。舞台端でこれを立って聴いていた指揮者のビエロフラーヴェクはこの演奏どう思って聴いていたのでしょうか。 このあと休憩後にベートーヴェン。 これがじつにバランス感覚といい見通しといい素晴らしく行き届いた演奏で、清潔だけど綺麗ごとに終わらない、ベートーヴェンが古典的手法で書き上げた変奏曲風交響曲の頂点ともいうべきそれを、じつに見事に表現していた。 確かにそこには「運命」も攻撃的なそれも無かったけど、こういうやり方でこの曲を演奏されたらもうこれはこれでいう事は無いだろう。 じつにビエロフラーヴェクらしいベートーヴェンというか、ノイマン以来ともいえるような正攻法な音楽づくりに、ちょっと懐かしいチェコフィルのそれを聴いたような気がしたものでした。
聴衆の反応もまさにそのような曲に対してのそれだった。 その後アンコール。 最初のメンデルスゾーン。聴いたことのあるメロディなのに「宗教改革」と気づかなかった。後にわかったとき、わからなかったことにちょっとショックだった。こういう抒情的に美しい演奏でこの曲を聴いたことがなかったためなのだろうか。 そして最後のスメタナ。これはもう絶品。この曲をチェコフィルの実演で聴くのはこれが初めて。すべてにおいて「このカードをきれば世界中の誰にも肩をならばせない」というかんじの名演奏でしたし、こういう曲を持つオーケストラに正直自分は羨望の念を深く持たされたものでした。 終わってみれば現在のチェコフィルの好調ぶりと、その醍醐味が満喫できるような演奏会でした。このコンビ、確かに熱狂的な支持者を生むというタイプのそれではないでしょうが、これほど自分達の語法にのっとった高い水準の音楽を常時演奏できるコンビというのは世界的にもそうは多くないと思います。
チェコフィルにとって新しい黄金時代の到来を感じさせる、チェコフィルらしい見事な演奏会でした。
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