演奏会いいたい砲台

「海外オーケストラ来日公演記録抄」の「いいたい砲台」(ゲストブックにリンク先あり)にある2006年以降に行った演奏会の感想です

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(会場)MUSICASA(ムジカーザ)
(曲目)
ドビュッシー : 亜麻色の髪の乙女
ラヴェル : ツィガーヌ
プロコフィエフ :バレエ 「ロメオとジュリエット」からの10の小品、より二曲。
ショパン : ワルツ 第5番 Op.42

〜休憩〜

ショスタコーヴィチ : ヴァイオリン・ソナタ


戸田弥生(Vn)
野原みどり(Pf)


コンサートは昨年11月の浜松でのチェコフィル以来。


まず面白かったのはこの二人の音楽。

戸田さんは熱く聴き手まで燃えつくそうとするのに対し、
野原さんは熱いがその炎は冷たく感触は正反対といっていい。

この二人がひとつの目標に向かってひたすらスパークする。

それ丁々発止といっていいのかもしれないし、
隙あらば自分がという、
まさに「せめぎあい」という言葉がピッタリの演奏だった。

前半の「ツィガーヌ」などまさにそれ。
戸田さんが前半ソロで激しいまでの情念全開で音楽をたたきつける。

もうはっきりいってこれで終わってもおかしくないくらいの、
白熱的なソロをとりまくった。
こうなってしまうと野原さんの第一音が大注目だったが、
野原さんは決然と、
それこそ腹をくくったかのような強い音で音楽をはじめた。

まさにこれぞせめぎあいだ。

これは戸田さんのリサイタルではない。
戸田さんと野原さんのデュオによるリサイタルだ。

なのでソロと伴奏という単純な図式のリサイタルではない。
だからこれは当然の結果といえるだろう。

それは冒頭のドビュッシーから明白だったし、
ピアノの蓋が大きく開けられていたことからも、
その意図がみてとれたものでした。


じつは自分は左からヴァイオリン
右からピアノが聴こえるという面白い座席にいた。

このため二人が前後になってというのではなく、
左右に対峙したような感じで聴くことになったため、
よりその対象が明確に聴き取ることができた。

それはまるでひとつの共通したお題による、
二つのリサイタルを同時に聴いているかのようで、
過去あまり例のないこれは経験だった。


そんなデュオの後、
野原さんがプロコフィエフとショパンを弾く。

この中で特にプロコフィエフは素晴らしかった。
ひじょうに力強い、
ただしそれでいて一筋縄ではいかないプロコフィエフの、
その独特のどこ冷めていながらも詩情あふれる響きには、
野原さんの音質はじつによくあっていた。

ここで15分の休憩。

前半約30分。
時間は短いがひじょうに濃密な時間だった。

後半はショスタコーヴィチ。

これが凄かった。

というより前半とこの二人の関係に変化が起きた。

前半はそれこそせめぎあいとなったこの二人だが、
ここではこの二人の間に一種の間合いが生じていた。

それは剣道における間合いに近いもので、
とにかく互いの間に、
これ以上は半歩たりとも踏み込めないという、
ひじょうに緊張感のある間合いができていた。

このためこのショスタコーヴィチは、
この間合いを境に二つのまったく異質の音楽が、
ただひとつの頂点を目指すかのように展開していった。

それは互いの音楽を横目でみながら、
ひたすら己のスタイルによって、
音楽の核へ踏み込んでいくというかんじで、
息詰まるほどのそれは緊張感にみなぎった音楽を形成していった。


これがもし前半と同じせめぎあいに徹していたら、
ショスタコーヴィチにしてはやや単調になっていたかもしれない。

二人がこの緊張感にみちた間合いをつくったことによって、
この演奏はとにかく驚くほどこの曲を多面的かつ、
ダイナミックなものに仕立て上げて行った。

正直これほどの緊張と大胆を兼ね備えたショスタコーヴィチは、
ムラヴィンスキー、ラザレフ、井上道義といった、
巨匠名匠によるそれくらいしか記憶に無い。

考えてみるとこの日の翌日5月20日は、
自分がまだショスタコーヴィチ在世時に、
彼の交響曲第5番をムラヴィンスキーの指揮で聴いた日でもある。

あのときショスタコーヴィチはリアルタイムの人間だった。
だが今年ですでに彼が無くなり41年が経った。

この間ショスタコーヴィチの演奏の多くは、
ソ連当時の旧態依然なものに引きづられたものが多かった。

だが今日のそれは、
そういうものから解放された、
旧ソ連の怨念や情念とは関係の無い、
21世紀に足場をもった純然たる音楽そのものだった。


自分がこの日の演奏に大きく感銘を受けた理由のひとつに、
そういう部分があったことも確かだろう。

とにかくこの日のコンサートはひじょうに濃密で、
深く心に刻み込まれるものだった。

因みにアンコールが一曲あったけれど、
自分はそれがまったく記憶に残っていない。

ショスタコーヴィチ終了後、
自分はここで演奏を聴くことを、
無意識のうちにストップしてしまったようです。

できればショスタコーヴィチ終了後退出したかったのですが、
ホールの関係上それが無理だったのが残念でした。

できれば今度はこのお二人で、
フランクのソナタをぜひ聴いてみたいものですがはたして。

以上です。


それにしてもちょっと眠れそうにないくらい、
気持ちが高揚させられました。

凄いです。

諸般の事情でこちらに書き込むのが大幅に遅れました。申し訳ありません。

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