「いろにでにけり」

思いつきをとりとめもなく。You are my moonlight☆

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【チェ 28歳の革命】

※Yahoo!映画にアップしたものの追加修正版です。


最初のシーンはメキシコ。
革命サロンのようになっている、あるキューバ人女性マリア・アントニアの家。
(正直、ここで28歳のゲバラとして出てくるデル・トロはキツい。笑)
革命を熱っぽく語る人々の中で、ゲバラは静かに言う。

「大事なのは権力を手にすることじゃない。
 手にした権力を、どう使うか、だ」

彼は、フィデル・カストロと出会う。

そして、キューバへ向かう船『グランマ号』の中。
ここまでの苦労はまったく描かれないが、
彼らはキューバ大統領のバチスタが金で釣ったメキシコ警察に監視されていたし、
ゲバラは一時、2カ月近くメキシコの留置場に囚われていたこともある。
そんな中でカストロが必死に手に入れた8人乗りのヨットだった。
積み込まれたのはカストロやゲバラを含めた82人(!)の反乱兵たち。そして武器や食糧などの備品…。
ひどい船酔い、排水ポンプの故障による転覆の危機、飢えに耐えて
(ゲバラはさらに持病のぜんそくに苦しみながらも)
約7日後、全員無事にキューバのコロラダス湾に着く。
彼らはすぐにシエラ・マエストラのトルキノ山頂を目指して進む。
…が、3日後バチスタ軍の急襲に遭い、反乱軍は散り散りになってしまう。
17日後にシエラ・マエストラに集まったのはカストロ、ゲバラ、カミロ他、たった十数名だった。
しかも誰もが傷を負い、体調はボロボロで、武器もほとんどない。
この惨憺たる状況で、カストロは言う。
「おれたちは、きっと勝つ」

ソダーバーグ監督が「私たちが勝手に創り上げたものは何もない」と言うとおりに
ここでは、まるで歴史を俯瞰するカメラのように「事実」だけが淡々と綴られていく。
ドラマチックな盛り上がりがないことに、拍子抜けしてしまう人も多いだろう。
しかし、現実はそんなものだ。
彼らが無事にキューバへ辿り着き、カストロ兄弟、ゲバラ、カミロという
革命になくてはならなかった男たちがたまたま生き延びたことも
決して神がかり的な「奇跡」ではなく、ただ「事実」なのだ。

スペインの植民地だったキューバが独立戦争を始めたのは19世紀末。
だが、その影にアメリカの介入がある。
1898年、キューバの港に停泊していたアメリカ軍艦が謎の爆発を起こし、
アメリカはこれを「スペインの仕業」としてスペインと戦争を始めたのだ。
スペインとの戦いに勝ったアメリカはキューバの独立を決め、キューバに対する多大な力を持ち、
グアンタナモに海軍基地を作った。それは今もなおキューバに現存している。
(この辺は、どこかの国の話に似ているような気もする…。)
そして1952年に大統領となったバチスタは、アメリカをバックに好き放題を始める。
アメリカ資本の砂糖会社などはバチスタに賄賂を渡して優遇措置を受け、
バチスタ政権は彼らの金を吸い上げ、さらに権力を増し、肥え太っていく。
ごく一部の支配階級以外、国民のほとんどは家も仕事もなく、始終飢え、病気になり、死んでいく。

武力による革命を、平和な日本に暮らす私たちは容認し難いかもしれない。
だが、人として普通に生きることさえ奪われてしまう圧政の下で、何ができるのか。
ただ不満を言っただけでも容赦なく弾丸が飛んでくる、
そんな状況で武器を持たずに、暴君を倒すことができるだろうか。

とはいえ、ゲバラやカストロがむやみに好戦的だったわけではない。
特にゲバラは、人として筋を通す部分には、とことんまっすぐな人だった。

自分の母国でもないキューバのために戦い、
そしてキューバ革命後は大国を相手に渡り合い、キューバの工業化に奔走し、
やがて、キューバでの権力の座を捨てて、一兵士としてボリビアへと渡ったゲバラ。
【チェ 28歳の革命】では、彼がサンタクララでの戦いに勝ち、首都ハバナへ凱旋するまでが描かれる。
そして、旧ソ連とアメリカによるキューバ危機(核戦争の危機)が去った後に開催された、国連会議に出席する彼。

「この国は自分のものだ」と言わんばかりに、自分たちの頭越しにやりあう大国たちに対して、
何も持たないに等しい小国に何ができるだろうか。
平和とは、いったい誰にとっての平和なのか。
彼が真に求めた「革命」とは…?

「もし我々が空想家のようだといわれるならば、
 救い難い理想主義者だといわれるならば、
 できもしないことを考えているといわれるならば、
 何千回でも答えよう
 その通りだ、と」

権力を得た後に、何をするか。
悲しいかな、今でさえ、権力を握った人間が変容してしまう事例は少なくない。
例えば昨年末に、アフリカ南部のジンバブエの驚異的なインフレのニュースが流れた。
100億Zドルの最高額紙幣が、米ドルでたった10ドル前後にしかならない。
物価は上がっても給料は変わらず、行政は機能しなくなり、公共サービスが低下。
生活環境は悪化し、コレラが流行している。
ジンバブエが崩壊寸前なのは、ムガベ大統領(84歳)の独裁政権のためだ。
だがそのムガベ氏は約30年前、ジンバブエ独立闘争で活躍した人だったのだ。
彼は昨年末の与党の集会で「ジンバブエは私のものだ」と言い放ったという……。

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残念ながら【チェ 28歳の革命】では、ゲバラのプライベートに関しては多くを語っていない。
妻と幼い娘をメキシコに残してきたことを、
行動を共にしているアレイダに告げるシーンがチラッと出るくらいだ。
ゲバラは革命後、ハバナへやってきた妻イルダと別れ、アレイダと結婚する。
アレイダとの間には4人の子が生まれるが、
ゲバラは前妻との娘イルディタも非常に可愛がっていたそうだ。
最近、アレイダによるゲバラ回想録「わが夫、チェ・ゲバラ」が発売されたが、
この中にある、イルダに関しての彼女の言葉が非常に女性的で興味深い(笑)。
果たしてイルダは本当に「まったくライバルにはなりえない」(アレイダの言葉)女性だったのか?
それは単に外見だけのことなのか?
彼の真の伴侶は自分だけ、という彼女の強烈な自負が、そう言わせているのか?
この言葉を読んで、ワタシはアレイダを可愛い女だと思いつつ、イルダの言葉も聞いてみたいと思った。
ちなみに「チェ・ゲバラ伝」を書いた三好氏は、
「アレイダはイルダほどには、チェの生涯に大きな影響を及ぼすことはなかった」と言っている。
…まぁ、男女の関わりは当事者にしかわからないことではあるが。
でも、ワタシの想像ではあるけれど、
イルダはアレイダのようなオンナっぽい言葉を残す女性ではない気がする。(笑)
ちなみに、映画にイルダは全く出てこないようだ。

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Yahoo!映画に投稿しようとしたら大幅に字数オーバーだったため、
あっちを削りこっちを変え…とやってたら、とんでもないアホミスをしてしまった。(汗)
すっげーバカ丸出しで恥ずかしいけど、
しょせん、日本に暮らすお気楽オンナの世界情勢に対する知能はこの程度、ってことで
このまま恥を曝しておきます。(爆)

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まいどです。
いやー・・・これ、俺のお気レビの人たちが素晴らしいレビュー書いていて驚き!
もちろん、エンジェルさんの削る前の内容も素晴らしく参考になる!
字数制限・・・俺は今まで2回ぐらいしか越えたことなかったな^^;

とにかく、鑑賞意欲が沸いてきましたよ。
この一見すると平和に見える日本に、この映画が与える影響って・・・。

↑ジラフさん同様に・・・ふっふっふ(笑)

特に、大国アメリカの言いなりになってる日本にはうんざりしてます。
俺のお気レビに菜緒之介さんがいるのですが、彼のレビューを読んで胸がすく思いでした。
これは是非鑑賞してみたい。

2009/1/11(日) 午前 11:45 どらねこ 返信する

エンジェルさん、こんばんは★

レビュー拝読させて頂きました。非常に素晴らしかったと思います。
「武力」を使う相手に、立ち向かうのは極めて困難です。
ですが、それでも武力は「憎しみ」を生み、犠牲者の悲しみは一生続くのです。

そう考えると、これからは「対話」による革命がなされるべきなのだと
思います。たとえそれがどんなに困難で過酷だったとしても、
人を説得するのも、人を改心させるのも、人間以外にないからです。

2009/1/12(月) 午前 1:37 [ million kiss ] 返信する

こんにちわ・・・・・・・・・・っていうか熱っ!!
ってことで、エンジェルさんのあまりの熱いレビューに誘爆しちまいまして、さっそく鑑賞して参りました。
ただ申し訳ない。正直俺には難しかった。
でも、『チェ』をもっと知りたい!と思わせるパワーをこの映画から感じて、家に帰ってパンフを熟読。
革命のキッカケと、キューバを取り戻すまでの過程はある程度理解しましたが、まだあの国連総会でのスピーチの内容がいまいちまだよく分かりません。
なので『39歳別れの手紙』を観る前にもう一度『28歳』を観に行こうと思います。で、その時『39歳』のパンフを買って勉強しつつ、エンジェルさんのレビューも参考にさせていただきながら、『39歳』に備えようと思います。
熱いレビューありがとうございました!
そんでもって、『39歳』のさらにあっつ熱のレビュー、お願いします!

2009/1/12(月) 午後 1:03 [ 絶対の客人 ] 返信する

うろぱす副船長さん♪
レビュー拝読しましたです。後編が楽しみですよね〜。
「革命は失敗」
国を「ある方向へ持って行こう」とするのは、必ず失敗するよーな気がしてます。
いや、その「方向」の捉え方が問題なのかもしれませんが。
ゲバラが信じたのは…何だったんでしょう。
誰よりも、もしかしたら「人間」を信じたかったのかもしれないですね。

2009/1/12(月) 午後 4:10 [ エンジェル ] 返信する

ジラフさん♪
いま、一人ひとりが「責任」を問われてるのかもしれませんね。
自分だけ、家族だけ、身内だけ、母国だけ…そんな小さな枠ではなく、
「人間としての責任」を。
ちっぽけな自分にできることはササヤカなものでしかないですが、
何もできない、と諦めるのではなく、何ができるのか、と。

とはいえ、マンガみたいにはうまくいかないよなぁ。(爆)

2009/1/12(月) 午後 4:16 [ エンジェル ] 返信する

どらねこさん♪
ゲバラの国連会議での演説が「キューバ危機の後」だということを頭に置いて
この前編を観ていただくといいかもしれません。
ゲバラは、真の敵は何か、を知っていた気がします。
そしてそれは簡単にカタがつくようなものではないと…。
でも、彼は足を止めることはできなかった。
だからボリビアへ向かったんじゃないかなぁ…と。ワタシの想像ですが。^^;

2009/1/12(月) 午後 4:21 [ エンジェル ] 返信する

nekomimiさん♪
「力」による政治や外交が、新たな憎しみの種を蒔く…。
それは人でも国でも明らかなことなんですよね。
ただ、あの当時のキューバでは、問答無用で力を駆使するバチスタ政権に
国民と同じテーブルについて話し合うような気は全くなかった。
そしてバチスタ政権がそこまでのさばった陰には、大国がいます。
話し合う、という行為は、お互いを認め、尊重し合う関係でなければ生まれません。
それをしなかったゆえに今、あらゆる国で争いがやまないのでしょう。
そして一度失った信頼を取り戻すには、長い時間が必要だと思います。
でも仰る通り、それがどんなに困難で過酷でも、続けなければならない。
だからこそ「それは夢だ、無謀だと言われるなら、何千回でもそうだと言おう」と
胸を張って言えたゲバラの愛が、今、必要なのかもしれません。

2009/1/12(月) 午後 4:33 [ エンジェル ] 返信する

絶対の客人さん♪
真夜中のチェーンレビュー拝読しましたよ〜。スゴイっすね!

国連総会でのスピーチ、確かにコマギレになっちゃってるので
いまいち全体像が掴みにくくなってますよね。^^;
ま、バックには、その国連総会前にキューバ危機があり、
キューバという小国を足蹴にしつつ、旧ソ連とアメリカがにらみ合ってた、と。
世界平和は「核戦争が起きないように大国が平和であること」なのか。

このへん語りだしちゃうと、細かい話になっちゃいますね。(汗)
ワタシも後編が楽しみであります。^^

2009/1/12(月) 午後 5:03 [ エンジェル ] 返信する

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すごい丁寧な記事ですね。
それにとってもお詳しくてびっくりです。
そうそう。ほんとうはスペインからの独立のことから始め、バチスタ政権がどれだけ腐敗していたか・・などの知識も必要ですよね。
あ〜私もイルダのことがとっても気になります。何かで読んだけれど
離婚に際してはあっけなく認めたとか・・エライというか気風が良さそうです。
TBさせてくださいね。

2009/1/12(月) 午後 11:45 car*ou*he*ak 返信する

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これ早く見たいです!!

2009/1/13(火) 午前 9:35 かず 返信する

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こんにちは☆

エンジェルさんの素晴らしいレビューを拝読しましたよ♪

私は、個人的には、彼が前妻と別れたことが
すごく残念というか、好意的には受け止められないのですが、
おせっかいですよね(苦笑)。

2009/1/13(火) 午後 0:49 [ yutake☆イヴ ] 返信する

キューバ革命戦争を通して「ゲバラ」という人間を描いている作品だと思いました。
国境を超え、時を超え、いまなお・・・世界に愛される人物チェ・ゲバラ・・・後編も楽しみです^^
トラバお願いします!

2009/1/13(火) 午後 10:06 くるみ 返信する

そうそう、盛り上がりがないので睡魔に襲われる人もちらほらなんでしょうね。でも映画の雰囲気とても好きでした!そしてデルトロもすごかった!なりきってましたよね!
革命についてゲバラの家族について一切の説明なし!そのときそのときの彼のドキュメンタリーを見ているようでした!次回作では家族について語られるんでしょうね。そして次回の方がもっとドラマチックなのかなって思いました。
TBさせてください!

2009/1/15(木) 午前 11:29 MINA 返信する

cartoucheさん♪
そうなんですよ、イルダはすんごく男前な女性な気がします。^^;
アレイダも賢く激しい女性っぽいんですが…雰囲気が違うような。
ただ、アレイダのイルダへのただならぬ感情を思うと、
やっぱイルダは相当デキた女性だったんだろうなぁ…などと
妄想してしまいます。(笑)
TBありがとうございました♪

2009/1/16(金) 午後 2:09 [ エンジェル ] 返信する

かずさん♪
ぜひご覧になってみてくださいね〜。^^
でも後編が公開されてから一緒に鑑賞、もありかもしれません。^^;

2009/1/16(金) 午後 2:11 [ エンジェル ] 返信する

まだむ♪
まだむのレビューも拝読しましたよ〜☆
ゲバラが医者だったからこそ…という部分は深く共感しました。
共産主義とかそーゆーこと以前に、
彼の想いは「みな平等に、みな幸せに」だったと、ワタシも思います。
イルダとの別れは、仕方なかったのでしょうねぇ。
人間、心だけは制御できませんから…。^^;
でもワタシはアレイダよりはイルダの方が、なんとなく好きっす。(笑)

2009/1/16(金) 午後 2:14 [ エンジェル ] 返信する

くるみさん♪
やたらとゲバラを英雄視するのではなく、ゲバラという一人の男を
じっくりと見せてくれる映画でしたよね。^^
ワタシも後編が楽しみです♪
TBありがとうございました。^^

2009/1/16(金) 午後 2:16 [ エンジェル ] 返信する

MINAさん♪
説明シーンをゴソッと省いた作りは、確かに眠くなってしまう側面も…(笑)
でもゲバラに興味のある人は、後編を観ずにはいられないでしょうね。
実年齢に近くなったトロ様♪の演技が楽しみです。(笑)
TBありがとうございました。^^

2009/1/16(金) 午後 2:18 [ エンジェル ] 返信する

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見ました!
ある程度の予備知識がないとついていくのに苦労しますが、説明がましくないところが逆に良かった部分でもありました。
これを見てゲバラに興味を持って調べればより良いことですね☆
TBさせてください!

2009/2/15(日) 午後 9:35 かず 返信する

かずさん♪
「説明がましくない」確かに、ホントその通りの映画でしたね。
彼を知っている人はより彼を、知らない人も彼を
もっと知ってみたくなる…そんな映画でした。
TBありがとうございます♪^^

2009/2/17(火) 午後 4:44 [ エンジェル ] 返信する

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