「いろにでにけり」

思いつきをとりとめもなく。You are my moonlight☆

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【告白】

ワタシは原作既読です。
なので、中島監督が、どう料理してくるかが楽しみでした。
 
ガヤガヤと騒々しい教室。
女教師(松たか子)が、静かに語り始める。
騒がしい子どもたちの声や音に、その声は紛れがちで
思わず観客は、教師の言葉を聴き逃すまいと耳をそばだてる。
 
「娘は、このクラスの生徒に殺されたのです」
 
一瞬、音が消える教室……。
 
冒頭から最後まで、ほとんど原作どおりです。
もちろん、省略されたエピソードや人物があるにはありますが、
大筋には変化なし、と言っていいでしょう。
これは【パコと魔法の絵本】や【嫌われ松子の一生】のような
彩り豊かでニギヤカな料理にはなっていません。
素材の持ち味をそのまま活かす、こんなテクもあるのだぞ、といった感じ。
映像、音楽、文句なしでしょう。
 
「命って、重いの?軽いの?」
…うーん…そういう話を、この映画で言いたくないって気がしますね。
命のきらめきを日々目にしている人であれば
フザケンナ、と一刀両断にしてしまえる映画です。
いや、みんながそうであればいいのに、と思います。
でも、そうではない……。
「そうではない」ということを、あらためて寒々しく感じる映画とでもいいますか。
現代に潜む狂気を、もう私たちは無視できないのですね。
 
ここに描かれている人物は、みな、狂気の渦の中にいます。
少年A、少年B、少女、そして母親たち。ほとんど出てこない父親たち。
それぞれの心の底にあるのは、ごく普通の寂しさや甘え、わがまま、妬み、恨み、自己憐憫。
みな、「自分の生」に忙しいのです。
幼い少女の死を悼み、祈る人は誰もいません。
娘を殺された母親である教師でさえ、復讐という形の「己の生」に囚われています。
 
中島監督は原作を脚本にする過程で
「彼らが本当は何を考えていたのかがわからないからおもしろいんだ」
という結論に達したそうです。
それぞれの「告白」で全員が真実を言っているようで、実はそこに嘘がないだろうか、と。
どこまでが本当なのか、嘘なのか、言い訳なのか…。
深読みすると、ウラのウラのウラまでありそうな気がしてくる…。
それは私たちも日々、向き合うことでもあります。
真実はひとつだけど、どの方向から見るかで形は変わってしまう。
そして私たちは、自分に都合のいい方向を選びがちです。
見えていても、見えないフリで過ごしてしまうこともある。
 
教師の復讐の結末に、心からスッキリできた、という人はいないのではないでしょうか。
それは、私たち観客が、彼女の嘘や言い訳に薄々気がついているからでは…?
 
最後、原作にはない言葉を、監督は教師に与えました。
それをストレートに受け止めれば、全く原作通りの結末ですが、
深読みすると、原作とは全く違う結末である、とも思えます。
そして私は、後者である、と受け止めました。
監督がどういう意図で、その言葉を松たか子に言わせたのかわかりませんが
 
…私は映画の中ではまだ、人間を信じていたいのです…。

閉じる コメント(30)

cartoucheさん♪
映像、音楽、キャスティング、文句なしだと思います。^^
ただ、鑑賞後の気分は重くなりますよ〜。(汗)

2010/5/30(日) 午後 9:03 [ エンジェル ] 返信する

10.5さん♪
オリジナル脚本ではなく、原作本ありきの作品として、
原作既読で映画に不安を感じている方にも興味を持っていただけるように
内容詳細には触れずに書いたつもりです。
できれば「公開前に書く内容ではない」とお思いの個所を
ご指摘いただければ再考させていただきたいと思いますので、
よろしくお願いいたします。m(_ _)m

2010/5/30(日) 午後 9:10 [ エンジェル ] 返信する

これはかなり衝撃的な内容イメージです。
だから原作を読んでみたいです。

2010/5/31(月) 午前 11:51 かず 返信する

かずさん♪
もしも衝撃を全身で受け止めてみたいとお思いでしたら
原作未読のままご覧になられてもいいかもしれません。^^

2010/6/2(水) 午前 0:49 [ エンジェル ] 返信する

最近めっきり読書も映画鑑賞もない生活ですが、『告白』は、珍しく既読です。本屋さんで、きっと教師が出てくる本だと帯でわかったからでしょう、惹かれてしまい、1ページ目を開いて、ぞくぞくっとして、即、買いました。そして、ひさしぶりにいっきに読みきった作品です。今回、中島監督の手によって映画化、かつ評判も良いと知り、嬉しかったです。

私はなんの教訓も得てませんが、学校に娘は連れていくまい、とは思いました。(苦笑)
我が子から、目は離せない。まして、子どもたちのなかに置いておいて、安心していられませんよね。
子どもは、子ども。良きにつけ悪しきにつけ。

命の重みって、ひとによって感じ方はちがうでしょうねえ・・。じぶんの命も、まして、他人の命なんて、想像力がなければ、ふわふわ、軽いのなんのって。

復讐の味は、苦いけど、痛快。読んでいて、感情移入しているじぶんの心が、どんどんどす黒くなっていくのがわかるけど、始めたら、やめられない、復讐の味。「ああ、制裁を加えたい! ざま〜みろ!」って気分。でも、それが果たされた後の、むなしさ・・。娘はかえってきませんもの。(涙)

2010/6/2(水) 午後 0:48 スピノザ 返信する

スピノザさん♪
原作、一気に読ませてくれますよね。
ただワタシは、教師の論理の破たんがダメだったんですよね〜。
「語るに落ちる」とでもいいますか、結局、娘の死を悼むことではなく、
復讐の味に酔いしれてしまっている…というのが。
だって、スピノザさんも仰るように「娘はかえってこない」んですもん。
映画では、そのへんもうまく加工されていたのがスゴイなぁと。^^;

2010/6/3(木) 午前 9:25 [ エンジェル ] 返信する

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原作、読んで、かなり衝撃的でした。映画もモノトーン調で中島哲也がうまく料理をしてましたね。

2010/6/6(日) 午後 4:56 mossan 返信する

もっさんさん♪
観た後に気が重〜くなる内容ですが、妙にスッキリした部分もあるという…。^^;
その辺が監督の味付けなんでしょうね〜。

2010/6/7(月) 午前 2:23 [ エンジェル ] 返信する

くるみも原作は一気読みで・・・どんな映像化になるのか楽しみでした。
中島監督らしいエンタメ重視作品になっていて・・・センスが良いなぁ〜と。

2010/6/7(月) 午後 7:46 くるみ 返信する

くるみさん♪
ワタシも、原作もいいのですが映画もよくできてるなぁと。
決して後味の良いものではないでしょうけれど。^^;

2010/6/8(火) 午後 4:09 [ エンジェル ] 返信する

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暗く、重く、後味も悪いのに素晴らしい作品でした。
ほんとあの最後のひと言・・
あれの受け止め方によってこの作品の意味が違ってきて
しまいますよね。
独特の映像美もこの映画のメインの意味に重みを与えてました。
TBさせてくださいね。

2010/6/8(火) 午後 6:30 car*ou*he*ak 返信する

cartoucheさん♪
>あれの受け止め方によって
そうなんですよね〜。
ここの部分については、いろいろ友人とも語ってます。^^;
cartoucheさんの「ミヒャエル・ハネケ」には、なるほど!と思いました。
以前の作品はティム・バートンをほうふつとさせましたが、
こんな映画も撮れるんだぞ!という意気込みを感じました。
TBありがとうございます♪

2010/6/8(火) 午後 8:07 [ エンジェル ] 返信する

これは原作が凄く面白かったので、楽しみです♪
重い内容ですが、中島監督がどのように映像化したのか興味あります!!

2010/6/9(水) 午前 6:51 れじみ 返信する

rejimiさん♪
ぜひ原作との違い、噛みしめてみてください。^^;
これまでの中島監督のものとは、ちょっと違う雰囲気ですよ〜。

2010/6/10(木) 午前 0:04 [ エンジェル ] 返信する

微妙な感情を中島監督が上手い演出で映像として表現していたという印象が強かったです。
松さん演じる森口悠子、ハマリ過ぎていて怖かったですね。
原作を読んでいなかったので、あのようなカタチでの復讐をしてくるとは、想像も付かなかったです。そんなサプライズ的要素も含まれている点も評価できると思います。
人間という生物の弱さを真正面から描いていた作品だったと思いました。

2010/6/13(日) 午前 8:46 ken 返信する

kenさん♪
ホント、松たか子はハマってましたねぇ〜。
最初のモノローグ状態のシーンには見入ってしまいました。
原作未読の友人も、ハラハラワクワクして観たそうです。
かなり話題になってますよね。
いろんな方の感想をお聞きするのが楽しい映画です。^^

2010/6/13(日) 午後 3:59 [ エンジェル ] 返信する

いやいやこれは、ホンマ衝撃作です。
あの神戸の事件の時は、近くに住んでたのですが事情徴収された人とかいましたからね〜
現実にないわけでないフィクション。。。怖い。
TBありがとうございました。

2010/6/18(金) 午後 8:46 [ MA2DA裏BLOG ] 返信する

MA2DAさん♪
>神戸の事件
レビューでこの事件に触れていた方もいらっしゃいましたね。
そしてここ数日に起きた、生徒同士の傷害事件。
…フィクションではない事件が、フィクションを追い抜いてしまいそうで怖いです。
TBお返しありがとうございます。^^

2010/6/18(金) 午後 9:24 [ エンジェル ] 返信する

トラバありがとうございました。
原作との違いって、最後の台詞だけなんですかぁ〜
もしかして、あの四文字だけ?
まぁ、何にしろ、原作、読んでみようと思ってます。
今頃ですがf^_^;

映画とは全然、関係ないけど、
人間不信になっちゃうような出来事ありました。
今晩も今から、その件で出掛けるのですが(>_<)
だけに、
俺も信じたいです。

2010/6/20(日) 午後 6:48 samo 返信する

せいもさん♪
>もしかして、あの四文字だけ?
他にも変えられてるところはあるんですが、
あの言葉までの流れ〜四文字のあたりは、人によって解釈が違うみたいです。^^;

不信感って、それを抱えること自体がツライですよね。
せいもさんの思いが叶いますように…(祈)

2010/6/28(月) 午後 2:03 [ エンジェル ] 返信する

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