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愛すべき孫娘 鮒子へ
もうわかったと思うが
ワシがお前に残した地図は
決して目の眩(くら)むような財宝や 富を約束するチェットではない
自分の存在や 意味を考えて しまうだろうその歳に
ワシはお前に 旅立ってほしかったのだ
もちろんお前次第で 世界はいろいろ語りかけて くることも あれば
何も語らないこともあるじゃろう
世界はお前に何かを 語ってくれたのだろうかの・・・?
「夏休み」・・・
「宝探し」・・・
人はそういう幻みたいな 時間を持ったほうがいい・・・
意味や結果だけを 求める行為というのは不毛じゃよ
途方も無いバカな時間・・・
本当はそういう幻のような時間が 人としての豊かさの源泉に繋がっとる・・・
すぐには手の届かない モノを想い 追い求める気持ち
そして
それを「よし」とする気持ち
そんな・・・おおらかさが・・・
人の気持ちは何モノかに 支配されるほどちっぽけな ハズがない
しかし人は毎日自分の境遇を グチったり 他人と比べ羨(うらや)んだり
妬(ねた)んだり、ただ日常を たゆたうように生きとる
そんな人生を 死ぬまで続けるとしたら
それは 不幸であるに違いない
人は自分を 大切にして生きている
大人が 今まわりに どれだけいることだろうかの
狭い気持ちで 生きてはいかんのだ
お前に贈った大漁着・・・
万祝ハッピ・・・
万祝=祝福 とは
そもそも おおらかなものでは ないかのう
人は日々の生活に流され冒険心を 忘れがちじゃ
だが人は生まれて死ぬ定めじゃから
生きている間は 楽しむべきじゃよ
自分を自由に解き放つがいい
恐れず 好奇心に 身を委ねるべきだ
今この瞬間に全力を尽くし
真剣に大切に生きるんじゃよ
ママは心配しとった
年端(としは)もいかないお前が
繊細すぎ 優しすぎるからと・・・
強くなってねっての・・・
お前はどこかで聞いて知った 環境問題や紛争
動物実験などに悩み
円形脱毛に胃潰瘍 結石まで併発していたからのう
過去を悔いたって 先を憂えたって なんにもならん
人生は波のように 上がったり下がったりするもの
舵を握るのは 己なんじゃ
だからこそ
人間の生きている時間の瞬間 一つ一つが宝物なのだ
決して刹那(せつな)などではない
今この瞬間を努力する 積み重ねが人生なんじゃよ
どうか思う存分人生を 楽しんでもらいたい
願わくば 家に帰っても
幻のような時間に得たものの 温度を保ったままでいてほしい
そういうものは 往々にして 移ろいやすいもの だからの
それが年老いたワシの 最後の 切なる 願いじゃよ
人生は楽しいものだよ
吉日 大和 兆治郎
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