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高校入試のシーズンも終わりました。第一志望校に合格し,これから始まる高校生活に 胸をときめかせている方もいれば,運悪く第一志望校に合格できず,落胆しこれからの 高校生活または大学受験に失望している方もいると思います。しかし,どちらも間違って いると私zxは思います。 運よく第一志望校に合格できた人は,「勝って兜の緒を締めよ」という言葉通り,ここで 有頂天になり,天狗になってしまうと3年後の大学入試ではあまり良い結果が得られない かもしれませんね。 逆に,第一志望校に合格できなかった人は,合格できなかった原因がかならずあるはず ですから,その原因をまずつきとめてください。それができなくては高校生活3年間でも 同じ過ちを犯すかもしれませんよ。 今回はタイトル通り,第一志望校に行けなかったあなたのために聞いてほしい話があります。 私は,現在 大学進学を目指す学生たちの指導に当たっています。しかし,最初から進学目的 の高校生ばかりを相手に指導してきたわけではありません。詳しいことは事情があって言え ませんが,私はある事情があって大学での研究者の道を捨て,これからどうしたものかと悩ん でいた時期がありました。そんなときに,近所の方から中学になる息子さんの勉強を教えて もらえないかと頼まれました。しかし,その子は小さい頃から重い癲癇(てんかん)を繰り 返し,いわゆる「知恵遅れ」ぎみの子でした。最初は,そんな子を教えることに私自身も躊躇 しましたが,ご両親の息子さんを思う気持ちに打たれて引き受けることになりました。 すると,どこからこのことを聞きつけたのか,私の所へいけば問題のある子でも引き受けて くれるということで,あと2人の子がやってきたのです。一人は病気ではないのですがやはり 完全な知恵遅れの中学生の男の子。もう一人は脳性小児麻痺からくる,両手としゃべることが 不自由な中学生の女の子でした。この女の子は知的な遅れはありませんでした。 こんなわけで,癲癇が原因で知恵遅れのA君,単に知恵遅れのB君,脳性小児麻痺で頭はいい のですが手を動かすことと,しゃべることが不自由な女の子Cさん そして私のヘンテコな 4人での勉強会が始まったのです。 しかし,実際にA君,B君,Cさんを教えてみると・・三者三様違った問題を抱えていますから それは,極端かもしれませんが戦場よりも過酷な状況であったと,今振り返ってみても思います。 A君はまず,集中力が持たないのです。教えている合間に泣くは叫ぶは,彼の発する奇声のオン パレードでした。そしてB君は一番物覚えが悪いのです。たった一つの英単語を覚えるのに10分 以上かかってしまうのです。そして「先生,覚えたよ!」というので試験したら,もう忘れて しまっていて・・・「僕は何でこんなに頭が悪いんだ〜,この馬鹿野郎!」と泣きじゃくり ながら,自分で自分の頭を拳で力一杯殴っているのです。それを見て,私も泣いてしまいました。 また,Cさんは頭は良いのですが両腕が自由に動かせないために,ノートを取るのに人の3倍 くらい時間がかかります。しかも,ノートの字は通常の人には判読が難しいものでした。彼女 の字になれている人はなんとか読めるといった代物でした。 この状態で,よく養護学校ではなくて普通の中学校へ通っているものだと思いましたが,そこは ご両親が子供達の将来をいろんな角度から検討した結果そうなっているのでしょうから,他人の 私ごときが口をはさむべきではないと思い,その疑問は頭の中から削除するように努めました。 この三人との勉強会は約1年半続きましたが,その間は私も自分を捨ててあらゆることにチャレ ンジしてみました。A君には,奇声を上げさせるだけ上げさせておいて,疲れ切ってしばらく静か にしている間に教える。B君にはすべてマンガと語呂合わせで教えて覚えさせる。Cさんには腕が ぶれないように,両ひじから固定する道具を木工で作ったりです・・・。 ただ,三人も私も懸命になればなるほど・・はたして高校入試でこれが報われるのだろうかという 不安がつのっていったと思います。 まさに
であったような気がします。 最終的には,A君とB君は公立高校の全日制に合格することができました。もちろん,公立高校でも 最底辺レベルの高校でしたが・・・。でも,本人達にとっても私にとっても奇跡に近いものがある と思います。二人とも合格したと言って,号泣していたのを今でも覚えています。 一番優秀なCさんですが,彼女は自分の身体のハンディーを学歴で乗り越えよとうして公立の 進学校を受験しましたが・・・不合格でした。点数的には合格する力はあったと思います。 しかし,これは憶測ですが・・・たぶん答案用紙の字に問題アリとされたか,試験時間になんらの 特別処置が施されませんでしたから,答案を作成する時間が足りなかったかだと思います。 それで,私立の2次募集にかけることになりました。私はあらかじめ,先方の高校の校長を訪問し 詳しく,事情を説明し何とか特別に考慮された環境で試験を受験できないものか頼んでみました。 しかし,返答はそっけないもので「うちは受験校ですから・・,そういった生徒さんが一人でも いると,正直困るんですよね・・・」と言われました。 もう,このときは
結局,Cさんだけが駄目で・・定時制高校に通うことになってしまったのです。 試験終了後,Cさんがご両親とお姉さんと一緒に私の所へ御挨拶に見えましたが彼女は私に涙 ひとつ見せずに,明るく振舞おうとしていました。それが返って不憫で仕方ありませんでした。 今も,このご家族とは仲良くお付き合いさせていただいています。 ここで,結論を急ぎますね。
**追記** Cさんを不合格にした私立高校から1年後,私の方に特進クラスの数学を担当してもらえ
ないかとの打診がありました。私の返答は以下の通りです。『似非教育者が校長をやっている 間は引き受けることは100%あり得ませんので他をお当たり下さい。』 |
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田中です。ご両親とお姉さまとご挨拶にいらしたCさん、きっと家族に大切に思われているでしょう。Aさん、Bさんもおそらくはご立派な両親をお持ちでしょう。そしてZXさんという素晴らしい先生にもめぐり合えた。3人とも恵まれたご縁をお持ちだったんだ。最近「獄窓記」という障害のある方を扱った本読んだところだったのでいっそう3人のもつ美しいご縁が貴重なものに思われます。
2008/3/14(金) 午後 8:21 [ - ]
最近、涙がよく出るようになりました。特に障害を持つ子供達の頑張りを見たときなどです。
今日も・・・泣かせていただきました。
これからも、子供達の為によろしくお願いします。
色んな事が書きたいのですが、私の言葉足らずの文章では失礼になりますので控えますね・・・・
私なりに考えさせられました。有り難うございました。
2008/3/15(土) 午前 9:17
私も泣いちゃった(^^;
努力するためになんの障害も無いのに、肝心の努力ができない。
私も含め、けっこういるように感じています。
2008/3/15(土) 午後 10:15
あちこちで聞く話です。
少しブログの趣旨と違うことを承知で先生への評価制度ということで、書いております。
小学校の作文教育で著名な、土佐いくこ小学校教諭がいますが、先日の講演会の後の座談会で、障がいをもった子供達の教育である感想をお話されていました。
大阪では、S、A、B、C、Dと教師が5段階で評価されるそうです。評価するのは、校長先生ですが、校長先生もやはり市教育委員会から同じような評価基準で判定されます。
基準は、減点査定です。いじめなどの問題があれば、Dとかになり、ボーナスや退職金、賃金カットに反映され、カットした分、S査定の方に回っていきます。だから、障がいをもった子供の担任の引き受けがない、排除するという現場になってきているそうです。積極的に進めていらっしゃられる土佐先生ですら、Cランクの査定になっているそうです。
<続けます>
2008/3/16(日) 午前 5:48
小学校と高校と差はあるけでも、先生への評価は同じなのでしょう。それがやるせないですね。憂いる方はみんな、低い査定になる。教育の現場が排除主義になっていくのも理由がありますね。
だから、zxさんのように真剣に子供と向き合って頂ける方が居ると知っただけでも、励まされる話です。
障がいを持った方は、生まれつき1000人に7人、そしてその後も1000人に7人事故とかでうまれるといいます。
100人に一人から二人ぐらい。懸命に努力しています。それを再認識させて頂きました。心打たれる記事でした。ありがとうございます。
2008/3/16(日) 午前 5:48
人が努力する、一生懸命頑張る姿は美しいですね。
しかもハンデを持つ方が頑張っている姿を見ると、心洗われますし、反対にすべて満足な自分が元気づけられたりましす。
そうですね、私も頑張ります!!
受験生でなくっても十分、AさんBさんCさん、そしてZXさんの様子を読んだら、頑張りたくなる記事でした(^^)
2008/3/18(火) 午後 11:05 [ - ]
★花咲さん★
娘さんが疲れていらっしゃるというお話,よ〜くわかりますね。^^
もう,私の方もここのところ疲れてしまっていて・・・返事遅れて申し訳ありませんでした。
A君,B君は高校を卒業してから立派に社会人として頑張っていますよ^^A君はいまだに身体に無理がきかないため、お父さんの建設会社のお手伝いをしています。またB君はとあるカレー屋さん(チェーン店)に就職して頑張っています。そしてCさんですが,定時制を卒業してから情報処理関係の短大に進学しました。そこで,コンピューターを学んで,自分の苦手とする文字を書くことをコンピューターで入力することによってカバーすることにしたみたいです^^今でも毎年お正月に綺麗な年賀状が送られてきます。それを読むのが私の何よりの楽しみになっています。今,お家で花嫁修業中ですが,誰かいい人いませんかね^^
2008/3/23(日) 午後 11:08
★田中さん★
コメントいつもありがとうございます。A君,B君,Cさんともにご家族の方々に恵まれているな〜と感心いたしました。小さい頃からお子さんや兄弟のことで悩んでこられたためか、みなさんとても人間ができていらっしゃるというか,素晴らしい方々ばかりでした。
また,彼らの共通項はみんな明るくて礼儀正しいことです。いまでも街で偶然出くわしたときでも,あちらの方から明るく,礼儀正しく声をかけてくれます。^^そんなとき大変だったけれど,この子達を教えて良かったな〜としみじみ思いますね。^^
2008/3/23(日) 午後 11:16
★Ku:さん★
私も不覚にも一度は泣いてしまいましたが、後で子供たちに悪いことをしたなと思いました。子供たちの前で,子供たちが可哀想で泣くということは、子供らの生まれ持った障害や、今置かれている境遇をマイナスのものとして認めてしまうことになるからです。教える側としては失格であったと思っています。今なら、どんなときも毅然とした態度で臨めるような気がします。あの頃はまだまだ先生としてアマチュアだったんだと振り返って思ってしまいますね。
2008/3/25(火) 午前 1:11
★KANさん★
<努力するためになんの障害も無いのに、肝心の努力ができない。
まったく仰せのとおりです。私もその例外ではありません。私は3人を教えたことになっていますが・・・実は,私が教えられたのだと痛感しています。あの頃から、自分自身が大きく変わってきたように思えます。そういった意味で3人には本当にどれだけ感謝しても感謝しきれません。
2008/3/25(火) 午前 1:16
★Vestelさん★
この記事を書いてから、私はCさんが受験した公立高校が障害児に関して受験上どんな配慮をしているのかを調べてみました。確かに,目に障害がある方や耳に障害がある方にはいろいろな配慮があるみたいですが,脳性小児麻痺からくる身体が不自由な方には配慮が見当たりませんでした。また,この学校は創立以来現在に至るまで,一人の障害者も合格にしていないという事実も明るみになりました。私の知人がこの学校の教師をしているのでその辺の所を聞いてみましたところ、なんとこの学校では内申書に障害の記述がなされていた場合、その時点で入学をオミットにする慣習があることもわかってきました。
こんな公立高校が存在していいものかと今更ながらに憤慨しているところです。Vestelさんがおっしゃるような先生に対する評価法が起因しているのならば即刻なんとか改正してもらわないと,第二・第三のCさんのような子がでてくるのではと・・いてもたってもいられません。
2008/3/25(火) 午前 1:29
★hirochikiさん★
<人が努力する、一生懸命頑張る姿は美しいですね。
hirochikiさん,相変わらずいいこと言いますよね〜^^
その通りですよね。何が美しいかって,人が汗水たらし必死に努力している姿に敵うものはないと私も思います。ですから、なおさらそういった尊い努力を無駄にはしたくはないものです。美しいものを美しいものとして素直に認め,それを賞賛してくれる社会であってほしいものだと思います。
2008/3/25(火) 午前 2:10
数学ばかりに目がいっていて、こんな素晴らしい記事があることを知りませんでした。恥じ入ります。
自分も家庭教師で学費と生活費を稼いで、大学院に行きましたが、どれもしごく当たり前な生徒で、zxさんのように、教育の意味を考えることは全くありませんでした。貴重な体験ですね。そして、zxさんの教育に対する凛とした姿勢の原点を見たような気がします。
2008/10/31(金) 午前 0:03 [ tmuris ]
★tmurisさん★(2)
いゃあ〜,素晴らしい記事などと言っていただくと恐縮してしまいます。ただ,あの頃は何もわからずがむしゃらだったんだな〜と思っています。でも,そういった『がむしゃら』さが現在の教育の現場に欠けているような気もしますね。私自身,あの頃のがむしゃらさを忘れずにこれからも生徒達と接していきたいと思っています。
2008/12/26(金) 午後 4:53
1年後の娘の様子を伝える記事をトラックバックさせて戴きました。おかげさまで前向きに頑張っています。
2009/4/7(火) 午後 0:48 [ bloom@花咲く小径 ]
いや〜、この話は何度読んでも感動するわ。
そのころの実態を実家に帰る度に見聞きしてたからね。
本当に、アナタは大した人だと思います。(愚弟)
2009/5/21(木) 午後 1:57 [ プリズム ]
★花咲さん★
大変ご無沙汰しております。申し訳ございません。
娘さんよかったですね^^どんな境遇に置かれようと前向きな姿勢で頑張れる人は必ず「花咲く」ものです^^これからも,娘さんが充実した高校生活を送れますようお祈り申し上げます。
2009/5/28(木) 午後 11:05
★弟君★
そうですね。この記事は私の教育に対する姿勢の『原点』と言えるものですね。これからもあの当時の気持ちを忘れないようにしないと自分でも言い聞かせています。一流大学へ送り込むことが教育だとは思っていませんよ。今でも・・・
2009/5/28(木) 午後 11:08
はじめまして!
この記事を読んで、とっても感動しました!
私は第一志望の高校に落ち、後悔のどん底に陥ってます…
仲の良い子たちはみんな受かって
羨ましくて、みじめで仕方なかったです
だけどこの記事を読んだら、少しだけ気持ちが軽くなりました
大学受験に向けて、私立高校で頑張ります(●^∀^●)
ありがとうございます!
2011/3/22(火) 午後 6:04
母親のひと言で志望校が決定 ひきこもり青年の歩き遍路9 をアップしたらあなたの記事が紹介されましたので訪問しました。
子どもが将来の夢を持って受験できるように家庭も学校も指導できれば最高ですね。
よかったらこちらの記事へも訪問してみてください。お待ちしています。
2013/1/19(土) 午前 7:58 [ moriizumi arao ]