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子供の肘の骨折手術から10日後、私の勤務する病院を受診してきました。 術後10日目ではさすがにまだ仮骨の上がりは今ひとつ。うちの子は牛乳が嫌いだし、他にカルシウム源になりそうなものも大して食べないので、ちょっと心配になります。術後写真を見るのはこの日が初めて。術前ひどく転位していた骨片も、K-ワイヤーでの整復固定が完璧に決まっています。一安心です。 コンサルタントのドクターからも、『Perfect!』とのことで、ピン刺入部の確認をした後、Long-armのギプスを巻くことになりました。術後はギプスシーネを当てていたのですが、固定性がよく、包帯を巻かなくて済むギプスの方が助かります。 さてギプス室に行くと、ドクターが『あと、よろしく』とばかりにギプス技師にバトンタッチ。この辺も『ほぉー、ドクターはギプス巻きをしないのね?』と分業制にちょっと感心。日本では当然、ギプス巻きも整形外科医の仕事です。 ギプスの巻き方は世界共通、というか非常に丁寧でした。細かいテクニックは、逆に勉強になりました。そして・・ギプスの色が選べる! これはカルチャーショックでしたね。色数は15以上で模様入りまであります。子供に好きな色を選ばせるという粋な計らいです。そしてうちの子が選んだのは・・ カモフラージュ やられた・・(笑)。 中は普通の白いギプスで巻いて、最後の一層をこの模様つきで巻いてくれます。ケガをしてへこんだ気持ちを、ちょっと回復させてくれそうなギプスです。 ちなみに英語でギプスは『cast』または『plaster』。Plasterは、正確にはその素材(石膏)を表すことばで、他に『湿布』の意味もあります。今日のギプスはプラスチック製が増えてきていますから、plasterは当てはまらないことが多いかも・・紛らわしいですね。ちなみに日本で使われているギプス(Gips)という言葉はオランダ語由来だそうで。 日本で整形外科医に戻るときには、このカモフラージュを採用しようかな?(笑)
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毎日の通勤時にCNNのラジオニュース(Podcast)を聞いているのですが、先日こんなニュースが。 サラリーマンの平均年収ランキング 1位 麻酔科医 (410,000ドル) 2位 産婦人科医 (340,000ドル) 3位 精神科医 (280,000ドル) 銀行員等々はそれに続くそうです。ちなみにエキスパートナースは240,000ドル。凄いっすね。 そしてキャスターのコメント。 『特別な教育とトレーニングを受けている職種は、やはり高給なようです』と。 日本でこれだけもらったら、世論からは袋叩きでしょうね。 私としては、整形外科医がどれだけもらっているのかが気になります。 あ、ちなみに私の研究者としての給料は、この数分の一です(泣)。
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毎週土曜日の午前中、ウチのマンションから徒歩5分ほどのところで、Farmer's Marketが行われています。普段使いの野菜を買うのに便利で安いのでよく利用しているのですが、そこで今回は変わったモノを発見。 小振りなピーマンじゃございません。Habaneroというものです。 きれいな色をしていますが、非常に危険なお野菜です。素手で扱うとたちまち手が皮膚炎になってしまうため、研究室から持ってきた実験用のゴム手袋を付けての作業です。もちろん手術用のマスクも。食べ物というよりは、危険物に近いかも・・。強酸でも扱っているみたいです。 辛さの単位に『スコビル』というのがあるのですが、通常のタバスコが2,500-4,000スコビル、このハバネロは300,000と言いますから、実にタバスコの80-100倍の辛さなんですね。 さて今日はこれを使って、いつでも使えるようにハバネロ・ペーストを作ることにしました。 ヘタを取って種を抜いて、フードプロセッサに入れます。ちなみにこの間も、マスク越しに鼻腔と咽頭が刺激されます。うっかりお湯を出して種を流したところ、湯気で思いっきりむせ返りました。恐ろしや・・。 こんな感じ。これを粉砕します。瓶詰めのクラッシュニンニクをテーブルスプーンで一つ混ぜてフードプロセッサで細かく裁断し、これをフライパンに移します。もちろん換気扇は全開、フライパンは蓋をがっちり閉めます。オリーブオイルをたっぷり注ぎ、塩を一振り。中火でオイルが完全に馴染み、かつ火が完全に通るまで炒めます。と、炒めている途中で手の甲がヒリヒリしてきました。一度手袋を外した際に汁がほんの少し付着してしまったのでしょう。これを素手で扱っていたら・・恐ろしくて想像できません。また炒めている間も、かき回すとき以外は蓋を密閉。それでなくても鼻腔と咽頭を、マスク越しに刺激され続けていますので。 ただソフトコンタクトレンズのおかげで、目にはきません。タマネギを切っても、コンタクトで角膜全体が覆われていると刺激されないんですね。眼科医でないので分かりませんが、こういう刺激物に対する反応は角膜が担っているのでしょうか? と10分ほど炒めていると、油が完全になじんでペースト状になってきました。ただ完全に冷めるまで蓋を開けるわけにはいきません。蒸気だけで死にそうになりますので。ということで、完成品の写真は次回のお楽しみ。 ところで手の甲のヒリヒリがとれないため、その部分をちょっと舐めてみました。すると・・激辛です。怖い!!!
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当日はそのまま入院となりました。子供ということで小児科病棟に。 その夜・・既に病院で仮固定をしてもらっていたので痛みはなかったようなのですが、問題はお部屋のお隣さん。夜中12時頃に入院してきた子供が、テレビを大音量で見始めたのです。親は止める気配もなし。明日の朝一番に手術を控えている息子も、さすがに起きてしまいました。ああ・・アメリカはどこまでも非常識な人たちが多いのですが、寄りによってこんな日のお隣さんがそうだとは。 そして翌朝。手術です。手術は経皮的ピンニングといって、レントゲンの透視を見ながら皮膚は切らずに直接太さ1.2-1.5mmのピンを2-3本刺し、うまい具合に牽引しながら整復して固定する方法です。世界各国、至ってスタンダードな方法です。もちろん麻酔は全身麻酔。 ということで手術室まで子供について行くことにしました。実はアメリカで手術室に入るのはこれが初めて。整形外科医とはいえ、契約上、基礎研究員が患者さんと関わることは一切禁止されているため、折角整形外科領域では有名な病院の職員であるにもかかわらず、手術見学はできないのでした(泣)。 まあ設備は世界共通。目新しいモノは何もありませんでした。普通の手術室。使う道具も、道具の準備の仕方も全部同じ。おなじみの光景です。とはいえ6歳になろうという息子には初めての場所ですから、なるべく不安にさせないように励ましてあげます。 麻酔の導入時にはは臭いガスにむせそうになりながら、グズりもせずに頑張って吸い込んだそうで、コメディカルの方からえらく褒められていました。えらいえらい。手術はおおよそ20-30分、前後の麻酔導入と覚醒を合わせても全部で1時間程度だったでしょうか。回復室にはいると程なく目を覚ましました。いくら安全性が高いとはいえ、やっぱりこの瞬間が一番安心しますね。 整形外科医とはここでお別れ、後はまた小児科の担当になります。この辺がちょっと日本と違います。日本は術前術後とも基本的には整形外科の管理になるのですが、こちらは整形外科医は手術をするだけ、その前後の管理は小児科扱いになります。確かに合理的。こういった分業制はアメリカらしいですね。 それから術後の鎮痛は塩酸モルヒネ2mgのワンショット。アメリカではこんなに簡単に麻薬を使うんだなぁと、不思議な気分でした。何だかいつしか見たアメリカのテレビドラマみたい・・。特に子供には痛みを感じさせないことを徹底している様子で、帰宅前にもしつこく鎮痛剤をがっちり使用するように言われました。人道的な見地もさることながら、痛がらせることで裁判になることが多いんでしょうね、きっと。 さて術後は麻酔の抜けもよく、痛がることもなかったので、夜に退院させてもらうことにしました。全身麻酔の手術で当日退院?と思われるかも知れませんが、実は麻酔の『抜け』に関しては全身麻酔の方が腰椎麻酔や伝達麻酔よりも手がかからないことが多いのです。安全性も高いですし。何しろ、もう一泊したらさらに1000ドル単位で治療費が加算されると思うと、どうせ調子がいいのなら帰っちゃおうという感じです。この辺は日本とはまるっきり感覚が逆ですね。日本なら、もっと病院に居させてもらおうとなりますが、こっちはそれがシビアにお金となって跳ね返ってきます。しかもかなりの金額です。まあ、こうやって帰ってきても何も問題がないのですから、日本はやっぱり入院期間が長すぎるのでしょうね。 ちなみに術後は10日から2週間目までキズの手入れは一切なし。そのまま固定して放っておきます。ピンの刺入口から感染することはごく稀ですし、新しい骨が出るまでに固定を着け外しするデメリット、それによって子供が痛がることを考えると、こちらも合理的です(これに関しては、ことこの上腕骨顆上骨折に対するピンニングについては、日本も同様ですが)。 ということで何とか誕生日は自宅で過ごせることとなりました。今週予定していたステーキハウスは来週にしよう!ということで、まずはメデタシメデタシ。
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あ、私じゃないです。もうすぐ6歳になる下の息子です。 Monkey Bar(日本語だと雲梯ですね)から転落して、肘を伸ばした状態で右手をついたそうで、妻から電話がありました。のんびり屋の妻から焦燥感が伝わってきたので『何かあったな・・』と思ったら、『腕の形がおかしく、痛がり方が普通じゃない』とのこと。 私も整形外科医の端くれですから、状況と症状から上腕骨顆上骨折であろうことが容易に想像できました。手術が必要そうなことも。職業柄、手術の術式から術後写真までが目に浮かんでしまう辺りがイヤですね。 とりあえず研究室の同僚に、この病院で診てもらえるのか等々を確認し、急いで帰宅しました。 子供の右肘は案の定フォーク状に変形し、一目で骨折と分かる状態。幸い神経・循環障害はなさそう(これ重要)です。恥ずかしながら、家にあるもので副木になりそうなのはラップの芯だけ・・ということでこれにタオルを巻いて腕を固定。がっちりアイシングしつつできるだけ患部を挙上し(これまた重要)、急いでタクシーで病院に向かいました。 ご参考までに、こういう怪我の場合は、指がきちんと動くか、指がしびれないか、触った感覚があるか(神経傷害)、そして指先が冷たくないか、脈が触れるか、指の色がきちんと赤いか(循環障害)の確認が、骨折の有無より遙かに大切です。 骨折は1週間以内に整復すればOKですが、神経・循環障害は待ったなしです。ちなみにそういう症状が出たときには大至急で手術をやっている整形外科のある病院に連れて行きましょう。子供の手足の怪我で一番怖いのは、腫れに伴うフォルクマン拘縮(腫れによって神経・血管がつぶされ、永続的な麻痺や血行障害による壊死が起こる状態)。腫れをひどくしないためにも、凍傷にならない程度に容赦なく冷やしましょう。 さてニューヨークは新型インフルエンザのメッカ。小児救急外来はわれわれ非感染症患者には危険地帯なので、診察申し込みの後はなるべく待合室から離れて待機です。整形関連の患者が少なかったせいか、程なく呼ばれました。 『ご両親のどちらか、医療関係の方ですか?』問診票にそんなことは書いていないのに、ナースがそう聞いてきたのには驚きました。どうやら副木の当て方でわかったようです。お目が高い(苦笑)。 自分が日本では整形外科医であることを告げると、『骨折はありそうですか?』と。『間違いなさそうです。おそらく手術も。』というと、レントゲン写真も撮る前からドクターコールと同時に手術室の手配も始めた様子。でもそこからが長かった・・。 結局レントゲン撮影とドクターの診察から2時間程待機し、ようやく小児科病棟への移動となりました。当初は即日手術か、翌朝にするかを決めかねていたようですが、(察するに)神経・血管損傷の可能性が低いこと、胃が完全に空ではないだろうという判断から、結局翌朝の手術となりました。 (つづく)
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