■医療・病院

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ニューヨークで骨折。

あ、私じゃないです。もうすぐ6歳になる下の息子です。

Monkey Bar(日本語だと雲梯ですね)から転落して、肘を伸ばした状態で右手をついたそうで、妻から電話がありました。のんびり屋の妻から焦燥感が伝わってきたので『何かあったな・・』と思ったら、『腕の形がおかしく、痛がり方が普通じゃない』とのこと。

私も整形外科医の端くれですから、状況と症状から上腕骨顆上骨折であろうことが容易に想像できました。手術が必要そうなことも。職業柄、手術の術式から術後写真までが目に浮かんでしまう辺りがイヤですね。

とりあえず研究室の同僚に、この病院で診てもらえるのか等々を確認し、急いで帰宅しました。

子供の右肘は案の定フォーク状に変形し、一目で骨折と分かる状態。幸い神経・循環障害はなさそう(これ重要)です。恥ずかしながら、家にあるもので副木になりそうなのはラップの芯だけ・・ということでこれにタオルを巻いて腕を固定。がっちりアイシングしつつできるだけ患部を挙上し(これまた重要)、急いでタクシーで病院に向かいました。

ご参考までに、こういう怪我の場合は、指がきちんと動くか、指がしびれないか、触った感覚があるか(神経傷害)、そして指先が冷たくないか、脈が触れるか、指の色がきちんと赤いか(循環障害)の確認が、骨折の有無より遙かに大切です。

骨折は1週間以内に整復すればOKですが、神経・循環障害は待ったなしです。ちなみにそういう症状が出たときには大至急で手術をやっている整形外科のある病院に連れて行きましょう。子供の手足の怪我で一番怖いのは、腫れに伴うフォルクマン拘縮(腫れによって神経・血管がつぶされ、永続的な麻痺や血行障害による壊死が起こる状態)。腫れをひどくしないためにも、凍傷にならない程度に容赦なく冷やしましょう

さてニューヨークは新型インフルエンザのメッカ。小児救急外来はわれわれ非感染症患者には危険地帯なので、診察申し込みの後はなるべく待合室から離れて待機です。整形関連の患者が少なかったせいか、程なく呼ばれました。

『ご両親のどちらか、医療関係の方ですか?』問診票にそんなことは書いていないのに、ナースがそう聞いてきたのには驚きました。どうやら副木の当て方でわかったようです。お目が高い(苦笑)。

自分が日本では整形外科医であることを告げると、『骨折はありそうですか?』と。『間違いなさそうです。おそらく手術も。』というと、レントゲン写真も撮る前からドクターコールと同時に手術室の手配も始めた様子。でもそこからが長かった・・。

結局レントゲン撮影とドクターの診察から2時間程待機し、ようやく小児科病棟への移動となりました。当初は即日手術か、翌朝にするかを決めかねていたようですが、(察するに)神経・血管損傷の可能性が低いこと、胃が完全に空ではないだろうという判断から、結局翌朝の手術となりました。

(つづく)

病院の『シアター』

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私がいま研究をしている病院にはシアター(Theatre)があります.('e'と'r'が逆なのが英国っぽい!)

この『シアター』って,何のことだかわかりますか?

映画館でも,劇場のことでもないんです.

正解は,手術室

Operation Theatreなんですね.OR (operation room)とか言うものだと思っていたのですが,それはアメリカなんでしょうか(想像)?

ちなみに,脳神経外科が主に使っている手術部があるのですが,そこは『Neuro barn』と呼ばれています.『Barn』って,倉庫とか納屋っていう意味じゃなかったっけ・・?

直訳すると『神経倉庫』・・・価格破壊してそうです(爆).

米語と英語で呼び方の違うものって結構ありますよね.

エレベーター Elevator = Lift
車のトランク trunk = boot
などなど

時間の読み方も,8:30のことは『half past eight』と読む人が多いです.さらに短縮して『half eight』になったりします.電話で車の修理の予約を取るとき,『half seven』とパパッと言われたときには,思わず何度も聞き返してしまいました.

やっぱ英語難しいっす・・

医者のための保険

何を想像しますか?

今回私が話題にするのは,『医師責任賠償保険』です.

簡単に言うと,医師が診療行為に関わる訴訟等を起こされたときに生じる賠償金・示談金等をカバーしてくれる保険です.保険支払金の上限が設定されており,1億円,2億円あたりが一般的です.病欠による長期欠勤を余儀なくされた場合の休業補償を特約に盛り込んだ保険も売られており,当然保険料は跳ね上がります.

保険ですから,当然保険料を払います.しかもこれは病院が勝手に加入してくれるようなものではなく,『自腹』です.加入するコースによって保険料は様々ですが,私が加入している上限1億円・休業補償なしの保険の保険料は,月々3500円程度です.年間4万円程度ですから,保証内容に比べればむしろ安いのかも知れません.

医師賠償責任保険の保険料が飛び抜けて高いのは,訴訟大国アメリカです.以前アメリカの有名な脊椎外科医が私の大学(日本)で講演されたとき,その保険料の話題になりました.保険料の支払いが,年間4万ドル(!)だそうです.保険料だけで約500万円ですよ!私の給料なら,その大半が保険料に消えることになります.この話にはオチがあって,その先生の年収は日本円で軽く『億』を超えるそうで・・.

アメリカでは,医師という職業はあらゆる意味でハイリスクですが,実力に見合った収入が得られることも事実です.

それに引き替え日本の医師は・・・.少なくとも勤務医である限り,どれほど働いても,いやいかほどの名医であっても,純粋な医療行為による収入が億を超えることはないでしょう.むしろ働けば働くほど,労働当たりの単価が安くなるように給与が設定されています.その上,度重なる診療報酬の改悪(敢えて『改訂』と言わず,この言葉を使わせていただきます)により,特に中小病院に対する締め付けは凄惨を極めています(私のお気に入りブログ:医師になる君・・・をご参照下さい).

病院の収入減 → 経費削減(=人件費カット)

は小学生でもわかる構図です.

さらには,最近は何かと医療訴訟に持ち込む風潮となり,一定の割合で起こる不可避な事象まで『安全義務違反』などという浅薄な言葉で片付けられてしまう世の中です.全力を挙げ,一般的に正しいと言われている医療行為を行っても,結果が悪ければ訴えられます.たまったものではありません.今まで以上に訴訟リスクに怯えながら,給料は減らされる,それが今の医療職全般における流れです.

でも開業すればバラ色なんでしょ?というご意見もあるでしょう.しかし残念ながら,それは時代遅れの意見と言わざるを得ません.いわゆる私立の中小病院は,上記の理由から火の車です.またいわゆる無床診療所(クリニック)も,それなりの収入を上げている医師は(一部の悪い人を除いて)確かな技術を持ち,大変な『営業努力』をなさっているものと思います(ここ数年の診療報酬改悪は,こと整形外科開業医にとって『イジメ』に近いものがあります).診療所によっては,昨今の診療報酬改悪で収入が3割減ったところもあります.

例えば整形外科など,高齢化社会の『恩恵』を受け,毎日『電気』をかけに来る患者さんだけで儲かっていると思われているのではないでしょうか?ここでキーワードとなるのが,『毎日』と『電気』です.

まず,再診料(2回目以降の受診料)が抑えられました.加えて,一人の患者さんが月に一定以上の回数受診した場合,上限以降の再診料は算定できなくなりました.毎日のように来院される患者さんからは,月後半の数回分の再診料は頂けないことになります.さらに理学療法(牽引・温熱療法・リハビリなど)の診療報酬が大幅に削減されました.簡単に言えば,『電気』をかければかけるほど,リハビリに力を入れるほど赤字が膨らむようになりました.言い方は乱暴ですが,毎日電気をかけにいらっしゃる患者さんは,病院には赤字になるわけです.

・・・ついアツくなってしまいました.さて,逸れた話を戻しましょう.

医師賠償保険金は,訴追の元となる医療行為を行ったときではなく,訴追を受けた時点の加入者に対してカバーされます.即ち医者を辞めようが,基本的に保険金を払い続けなければなりません.そういう私も現在は研究目的の留学中ですから,医療行為は一切しないのですが,保険料は払い続けています.保険って,うまくできていますね.

ここまでお読み下さり,誠にありがとうございました.

救急医療について思う

今日あたりから,風邪でちょっと調子が悪くなってきました.

娘が数日前に高熱を出し,治りかけの矢先です.大体親が最後に一番酷い風邪を引くというのが良くある話です.

今回の私はただの風邪だと思うのですが,こちらではインフルエンザが流行っているようです.イングランド北部から流行しだし,徐々に南下してきたようです.一部では学校そのものが臨時閉鎖されたところもあるとか.

そんなこともあろうかと,わざわざ日本からインフルエンザの簡易診断キット,そして噂のタミフルも持ち込んできました.こちらは病院にかかるにも,高熱があろうとGP(かかりつけ医)に予約を取ってからでないと診てもらえません.『インフルエンザくらい』で救急病院にかかろうものなら,担当のナースや医師に本気で怒られるそうです.まあ私も日本で当直バイトをしているとき,子供に38度の熱があると夜中の2時3時に救急外来を受診させに来る親には閉口していましたが・・(勿論,面と向かっては言いません.私も人の親ですから,高熱だったらさすがに同情しますヨ).

さて救急医療(特に一次救急)の話になりました.イギリスでは救急(A&E: Accident & Emergency)指定病院以外では『絶対に』救急患者を診ません(それ以外の病院では『飛び込み』であっても,うちは救急はやってない,A&Eに行けと冷たく言われる).しかも指定病院は町でたいがい1つか,多くても3つです.
確かに虚血性心疾患や脳血管疾患が日本より多いらしく(統計を見ていないので,あくまでも印象ですが・・),車を運転していると,必ず1台以上の救急車(出動中)とすれ違います.1つの病院に集中して救急車がバンバン入るわけですから,風邪引きにいちいち救急外来に来られると,パンクするというのはよくわかります.こちらの人も,ハナから指定病院以外では診てもらえないという意識が徹底していますので,その点は諦めているようです.

一方,日本の話です.日本なら『病院なんだから医者の一人くらいいるだろう!!』と怒鳴り込んで来る患者さんが必ずいます.そういう人に限って,緊急性が低い人が多いのですが(笑).私の印象(独断と偏見)では,日本人はすぐに救急病院にかかりすぎです.勿論,子供が熱を出せば心配になるのはわかります.私も医者とはいえ,子供が高熱でぐったりすれば心配になりますから.ただ明らかに平日の外来まで待てる状況の患者さんが,あまりに救急外来を気軽に利用しすぎる印象はあります.『37.5度の熱が出始めて心配になって受診しましたとか』,『1週間前から腰が痛いんだけど,昼間仕事が忙しくて病院に来られないんだよね・・(こういう人に限って妙に馴れ馴れしい)』と夜の10時頃来る人など,私的に『あり得ない』受診をしてくる人が少なからずいます.こうなると病院は一種の『コンビニ』です.営業時間が終わったお店のシャッターを叩いて,今からものを売ってくれ!と叫ぶ人はまずいないでしょうが,病院ではそれが『当たり前』だと思われています.『救急外来』と『夜間営業』を勘違いされている方がたくさんいます.確かに日本では,病院にきて『診て欲しい』という患者さんを断ることは出来ませんが(医師法で『応召の義務』といいます).一人当直の小さな病院であれば,まだそれも許されるのでしょう.しかしこれを救急指定病院でやられるとかなり迷惑です.次の話ともつながるのですが,結局優先度の高い患者さんがそのしわ寄せを受けることになります.

さて次は田舎の医者的にみた,日本の高次救急の話です.東京・大阪などの大都市圏では当てはまらない内容であることは,あらかじめお断りします.あくまでも私の勤務していた『地方』,すなわち田舎での話です.

日本では救急車の『たらい回し』がよく問題になっております.

私のようにシタッパの医者(特にマイナー系)をやっている人は,以下のような経験があると思います.田舎の病院で一人当直(バイト)をやっているときに,『交通事故で乗用車にはねられ,レベル300です!いまから診てもらえませんでしょうか!?』など,救急隊から良く電話がかかってきます.レベル300とは,痛み刺激を与えても全く反応しない,いわゆる『意識不明』の状態です.このケースでは明らかに頭部外傷を考えますよね.CTすらすぐに使えない,医者も『整形外科医』一人,脳外も標榜していない田舎の病院に,どうして運ぼうとするのか理解に苦しみます.必要な応急処置を施してから三次救急の指定病院に転送すればよい・・と『キレイゴト』を語る人たちもいます.しかし私に言わせてもらえば,一刻を争う患者さんに対し,ロクに処置も出来ない病院に搬送させて時間をロスすることは,患者さんにとっても不利益です.今ここにわざわざ搬送させて自分がで診ることが,患者さんにとって最善ではないという判断になります.専門的なケアができる病院にいち早く行ってもらうことが,『最善』なわけです.それでも救急隊の方には,『7-8カ所の病院に受け入れを断られて,どうしようもない,とりあえず診てくれる病院を探して欲しい』と泣きつかれることもしょっちゅうです.こうなると,病院に搬送すらされないわけですから,『たらい回し』にもなりません(苦笑).問題は,そういう患者さんを,3次救急を掲げている病院が受け入れを断るケースが少なくないことでしょう.一方3次救急を扱う病院も,病床が完全に埋まっているなど,本当に受け入れが出来ないケースがあります.問題がたくさんありすぎて,いろいろ話し出すとキリがありません.(逆に大都市圏,特に東京など私大医学部の附属病院が密集している地域では,患者さんの取り合いになるという話も聞いたことがあります.)

話は脱線しましたが,英国では病院の受け入れについての問題はありません.受け入れる病院が決まっていますから.ただ別の問題があります.一番話題に上がるのが待ち時間です.救急車で病院に搬送されても,病院で数時間待たされることはザラだそうです(特にロンドン近郊).折角搬送されたのにしばらく放置されるのは辛いですよね.よく笑い話として聞くのですが,激しい腹痛に襲われて救急病院を受診し,10時間近く痛みに転げ回りながら待った挙げ句,診断が『虫垂炎の穿孔』で臨時手術になった・・とか.中には,本当に待っている間に急変して亡くなった方もいるとか.そうなるともう笑い話では済まないですね.

救急医療を巡る問題は,どこの国も抱えてるようです.

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