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橋下徹大阪市長による「慰安婦」問題発言など政治家の一連の言動に抗議し、その撤回を求める
橋下徹氏(大阪市長、「日本維新の会」共同代表)が、旧日本軍「慰安婦」問題に関して、「慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる」などと発言したこと(二〇一三年五月一三日)が、日本国内やアジア諸国はもとより世界中の大きな批判を浴びている。 橋下氏の発言は、沖縄に駐留する在日米軍に「風俗業の活用」を提案したこととも併せて、女性をはじめとする人間の尊厳を貶めるものでもあり、内外各層から厳しく批判されているのは当然のことであり、こうした発言と大阪市長という公職の地位は全く相容れない。今回の橋下氏の発言は、日本軍の関与を認めて日本政府として心からお詫びと反省の意を表した「河野談話」(一九九三年八月)について「(慰安婦の)強制の事実については…論拠がありません」(二〇一二年八月二三日)などと述べ、事実上否定した昨年来の発言の延長線上にあるが、こうした発言は、「慰安婦」問題についての歴史学研究の成果を歪曲・無視するものであり、到底容認できない。また、こうした市長のもとで「近現代史教育施設」の構想が進められることには大きな問題がある。 第二次世界大戦期の軍「慰安所」は、軍直営・民営を問わず、その設置や管理に軍が深く関与し、「慰安婦」の募集でも、現地軍が直接連行する例や、朝鮮・台湾の植民地で総督府の関与のもと、だまされて慰安婦にされた例や、誘拐、暴力的連行による例も相当数あった。また「慰安所」で女性たちは、外出や通信も困難な無権利状態で、軍人への過酷な性的奉仕を強要された。「慰安婦」問題は、軍の支配下での性暴力を通じた女性に対する人権侵害であり、民族差別や国際法違反の戦争犯罪の側面も伴う複合的な人権侵害であった。以上は、歴史学研究に基づいて明らかにされてきた事実であり、否定することはできない。 一方、安倍政権や与党自民党内からの「歴史」問題に関する発言も、内外の批判と警戒感を招いている。安倍晋三首相は、靖国神社への閣僚らの参拝に対する各国からの批判に対して「どんな脅しにも屈しない」と開き直り(四月二四日)、近代日本の植民地支配と侵略戦争に一定の反省の意を表明した「村山談話」(一九九五年八月)については「安倍内閣として、そのまま継承しているわけではない」とも述べ(四月二二日)、さらに「侵略という定義は、学界的にも国際的にも定まっていない」(四月二三日)などと発言している。高市早苗自民党政調会長も「侵略という文言を入れている村山談話にしっくりきていない」(五月一二日)と発言している。 こうした一連の「侵略」否定発言は、歴史学をはじめとする学問研究の成果を無視するものであるばかりでなく、「侵略」を国際平和に対する犯罪としてきた第二次大戦後の国際秩序に真っ向から挑戦するものであり、国際的にも全く通用しない暴論である。 私たちは、こうした政治家の一連の発言に対して、歴史学研究に携わる者として、また大阪に生活し、学ぶ者として強く抗議し、以下の点を要求する。 一、橋下徹氏と「日本維新の会」に対して 橋下氏は、「慰安婦」問題についての自身の発言について、完全に撤回するとともに、元「慰安婦」の人々に対して謝罪すること。また、こうした歴史認識のもとに進める「近現代史教育施設」の構想を中止すること。 二、安倍晋三首相と自由民主党に対して 「侵略」を否定した安倍首相の発言を撤回し、政府として「河野談話」「村山談話」を継承することを内外に明確に示すとともに、近代日本の植民地支配と侵略戦争に対する反省を表明し、政府・与党関係者がそれに反する言動をとらないようにすること。 二〇一三年六月八日 大阪歴史科学協議会二〇一三年度総会 |
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2013年07月18日
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