諸情報
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戦前、「紀元節」は、初代神武天皇即位の日とする天皇制国家の重要な祝祭日でした。1966年、「紀元節」の復活をねらう政府は、2月11日を「建国記念の日」と定めました。しかし、2月11日を「建国」の日とする歴史的根拠はなく、戦前・戦中に「紀元節」が果たしてきた役割に照らしても、この日を国民の祝日とすることには大きな問題があります。 |
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橋下徹大阪市長による「慰安婦」問題発言など政治家の一連の言動に抗議し、その撤回を求める
橋下徹氏(大阪市長、「日本維新の会」共同代表)が、旧日本軍「慰安婦」問題に関して、「慰安婦制度が必要なのは誰だってわかる」などと発言したこと(二〇一三年五月一三日)が、日本国内やアジア諸国はもとより世界中の大きな批判を浴びている。 橋下氏の発言は、沖縄に駐留する在日米軍に「風俗業の活用」を提案したこととも併せて、女性をはじめとする人間の尊厳を貶めるものでもあり、内外各層から厳しく批判されているのは当然のことであり、こうした発言と大阪市長という公職の地位は全く相容れない。今回の橋下氏の発言は、日本軍の関与を認めて日本政府として心からお詫びと反省の意を表した「河野談話」(一九九三年八月)について「(慰安婦の)強制の事実については…論拠がありません」(二〇一二年八月二三日)などと述べ、事実上否定した昨年来の発言の延長線上にあるが、こうした発言は、「慰安婦」問題についての歴史学研究の成果を歪曲・無視するものであり、到底容認できない。また、こうした市長のもとで「近現代史教育施設」の構想が進められることには大きな問題がある。 第二次世界大戦期の軍「慰安所」は、軍直営・民営を問わず、その設置や管理に軍が深く関与し、「慰安婦」の募集でも、現地軍が直接連行する例や、朝鮮・台湾の植民地で総督府の関与のもと、だまされて慰安婦にされた例や、誘拐、暴力的連行による例も相当数あった。また「慰安所」で女性たちは、外出や通信も困難な無権利状態で、軍人への過酷な性的奉仕を強要された。「慰安婦」問題は、軍の支配下での性暴力を通じた女性に対する人権侵害であり、民族差別や国際法違反の戦争犯罪の側面も伴う複合的な人権侵害であった。以上は、歴史学研究に基づいて明らかにされてきた事実であり、否定することはできない。 一方、安倍政権や与党自民党内からの「歴史」問題に関する発言も、内外の批判と警戒感を招いている。安倍晋三首相は、靖国神社への閣僚らの参拝に対する各国からの批判に対して「どんな脅しにも屈しない」と開き直り(四月二四日)、近代日本の植民地支配と侵略戦争に一定の反省の意を表明した「村山談話」(一九九五年八月)については「安倍内閣として、そのまま継承しているわけではない」とも述べ(四月二二日)、さらに「侵略という定義は、学界的にも国際的にも定まっていない」(四月二三日)などと発言している。高市早苗自民党政調会長も「侵略という文言を入れている村山談話にしっくりきていない」(五月一二日)と発言している。 こうした一連の「侵略」否定発言は、歴史学をはじめとする学問研究の成果を無視するものであるばかりでなく、「侵略」を国際平和に対する犯罪としてきた第二次大戦後の国際秩序に真っ向から挑戦するものであり、国際的にも全く通用しない暴論である。 私たちは、こうした政治家の一連の発言に対して、歴史学研究に携わる者として、また大阪に生活し、学ぶ者として強く抗議し、以下の点を要求する。 一、橋下徹氏と「日本維新の会」に対して 橋下氏は、「慰安婦」問題についての自身の発言について、完全に撤回するとともに、元「慰安婦」の人々に対して謝罪すること。また、こうした歴史認識のもとに進める「近現代史教育施設」の構想を中止すること。 二、安倍晋三首相と自由民主党に対して 「侵略」を否定した安倍首相の発言を撤回し、政府として「河野談話」「村山談話」を継承することを内外に明確に示すとともに、近代日本の植民地支配と侵略戦争に対する反省を表明し、政府・与党関係者がそれに反する言動をとらないようにすること。 二〇一三年六月八日 大阪歴史科学協議会二〇一三年度総会 |
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ピースおおさか(大阪国際平和センター。以下「ピース」)は、2013年4月上旬、展示リニューアル構想を公表しました。大阪歴史科学協議会・大阪歴史学会は、この構想をめぐる意見交換会を開きます。
ピースは「大阪府民・市民と国内外の人々との間に相互交流を深めることを通じて、大阪が世界の平和と繁栄に積極的に貢献する」(設置理念)ことを目的として、1991年9月、大阪府・市の共同出資により設立された平和博物館です。しかしピースは設立以来、右翼・保守的政治勢力による攻撃にさらされてきました。さらに2008年以降、府・市の補助金支出が中止され、企画展の開催が不可能となるなど、平和博物館としての役割を十分に果たすことが困難となっています。 そして現在、政権は公然と改憲を政治目標に掲げ、大阪府・市は「近現代史の教育のための施設」構想を検討しています。そのような中でリニューアルが実施されることで、ピースの設置理念や目的に反する施設に生まれ変わってしまうことが危惧されます。今こそ、広範な府民・市民がピースの現状と今後に関心を寄せてゆくことが必要なのではないでしょうか。そして在阪歴史学会には、この問題を多面的・学問的に検討するための視点を示す責任があると考えます。 このような問題関心に基づき、下記の要領でピースの見学会と意見交換会を開催します。 多数のご参加と活発な議論を期待します。 日 程 13:00〜14:30 ピースおおさか見学15:00〜16:30 意見交換会 (会場は17:00まで使用可) ・地下鉄中央線「森ノ宮」駅、1番出口から西へ約200m ・地下鉄谷町線「谷町四丁目」駅から東へ約1100m ・JR大阪環状線「森ノ宮」駅、出口から西へ約400m ※展示見学終了後、会場のアネックスパル法円坂(大阪市教育会館)・A棟7号室へ徒歩で移動します。 主催 大阪歴史科学協議会・大阪歴史学会
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大阪府市の「近現代史の教育のための施設」構想について、当会では要望書を府知事及び市長に6月22日提出しました。以下、その全文を掲載します。 == 「近現代史の教育のための施設」構想と大阪人権博物館・大阪国際平和センターに関する要望書 == 去る5月29日、第12回大阪府市統合本部会議において「近現代史の教育のための施設」の設立方針が決定されました。その具体的な構想は、都市魅力戦略部会(部会長橋爪紳也氏)の検討に委ねられていますが、提案者である橋下徹大阪市長は、同会議において、この施設は次世代を担う子どもたちが、国際社会における日本の位置を理解できるよう日本の近現代史を学ぶ教育的施設であり、また物事を多面的に考える力を養うべく、一つの歴史観に偏ることなく、歴史的見解の対立も示すべきと説明されています。しかし、橋下市長はこの施設の内容について、扶桑社版や育鵬社版の歴史教科書の執筆・編集に携わった有識者から助言を受ける方針であると報じられています。 私たちは、歴史の見方は多様であるべきだと考えています。しかし公的施設が提供する歴史像は、多様な見方を示す場合でも、あくまでも学問的検証を経た科学的なものでなければなりません。この点において私たちは、「近現代史の教育のための施設」が、扶桑社版や育鵬社版の歴史教科書の執筆・編集に携わった有識者の助言を受けて構想されることに強い危惧を覚えます。なぜなら彼らの歴史の捉え方は、今日まで積み重ねられてきた歴史学の成果を無視した、非学問的でイデオロギッシュなものだからです。私たちは、このような人々の助言を得ることを前提として、「近現代史の教育のための施設」の計画が進められることに断固反対します。 さらに「近現代史の教育のための施設」の構想が、大阪人権博物館(リバティおおさか、以下、この通称を用いる)および大阪国際平和センター(ピースおおさか、以下、この通称を用いる)の廃止ないし統合の計画と一体で進められていることも問題と考えます。5月11日、大阪市は今後三年間に取り組む「市政改革プラン」の素案を発表しました。この素案では、府・市が補助金を支出するリバティおおさかを「廃止に向けて検討」する方針が示され、その後の予算折衝で、補助金を今年度限りで打ち切ることが決定されました。大阪府も同様の方針のようですが、リバティおおさかは、橋下大阪府知事(当時)の意向を受けて昨年度末に展示をリニューアルしたばかりです。 また橋下市長は、「近現代史の教育のための施設」を、やはり府・市が補助金を支出するピースおおさかに代わる施設として、それを統合する形で設置する意向であるとも報じられています。ピースおおさかでは展示リニューアルのための調査費予算が、今年3月の大阪府議会・大阪市議会で可決されているにもかかわらず、「近現代史の教育のための施設」構想の登場にともない、同予算の執行が停止されたと伝えられています。 リバティおおさか・ピースおおさかは、それぞれ固有の設置理念を持ち、固有の社会的役割を担っています。それらは、府市統合本部で議論されつつある「近現代史の教育のための施設」の目的や機能とは異なるものであり、同施設の設置によって代替できるものではないと、私たちは考えます。それにもかかわらず、「近現代史の教育のための施設」の構想は、両施設の廃止や統合と密接に関連づけられて検討されようとしています。私たちは、こうした大阪府・大阪市の動きを見過ごすことができません。 以上の理由により、私たちは、以下の3点を要望いたします。 一、歴史学研究の成果に基づかない「近現代史の教育のための施設」をつくらないこと。 二、リバティおおさかの廃止方針を撤回すること。 三、ピースおおさかの設立理念を尊重し、それに基づいたリニューアルを行うこと。 以上 2012年6月22日 大阪歴史科学協議会 委員長 村田 路人 |





