牡丹亭と庵の備忘録

映像業界人の某が日々のあれこれを興に乗せて語る茶席風

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昨夜の『龍馬伝』――。

“Season2 RYOMA THE ADVENTURER”とシリーズ名が変わったところで、
「ドリーマーからアドベンチャラー」に昇進はいいが、ちょっと「チャラ男」みたいな
響きで締まらないなと、やや斜に構えながらドラマに対する。

相変わらず龍馬はまだ果たすべき役割を持たず、
進行役的なキャラクターしか与えられていないのが苦しいが、
唯一、佐藤健演じる「
人斬り以蔵」のエピソードが見せてくれた。

頭脳明晰とは言い難い若者がたどった、魂の彷徨(咆哮)の果ての悲劇。
一人のテロリストの誕生を、
人斬りならぬ絞殺という意表をつく手段で、ローアングルの手持ちカメラ風演出が、
ケレン味たっぷりに描写していて、存外に引きつけられた。

以後、狂気じみたテロリズムの渦中に自ら身を投じ、
土佐勤皇党の仲間たちからすら、蛇蝎のように嫌われ恐れられていく残虐な剣の使い手。
すさまじい拷問の果てに憤死するその末路をどう演じきるか。
非ジャニ系の若手俳優にとって、これが本物になれるかどうかの正念場。

以後の行く末を占う試金石になる役だというと、幾らなんでも
買いかぶりすぎだと、アイドル嫌いのドラマファンからブーイングを受けるだろうか。

一 やくざの胸は なぜに淋しい
  流浪の果ての 虫ケラに
  心をゆるす 仲間(ダチ)もなく
  黒匕首ひとつ にぎりしめ
  男が咲かす 死に花は
  花なら赤い 彼岸花

二 俺しか知らぬ 無頼の心
  匕首できざんだ お前の名
  うつろな胸の 片すみに
  想いを今も 抱きながら
  夕陽の果てに 燃えあがる
  明日と呼べる日が いつか来る

で、思い出したのが、渡哲也主演の日活映画『無頼シリーズ』(1968年〜69年)。

一匹狼のアウトロー藤川五郎が、組織の犠牲となって抹殺された者たちのために、
単身ドスを呑んで立ち上がる。
シリーズを通じて、ラストシーンは必ず
ぼろぼろに傷ついた五郎が、街をよろめくようにさまよい歩く孤影。

かたくなに組織に属することを拒否し、一般社会と隔絶した一匹狼。
「人斬り五郎」と恐れられ、過去の古傷に引きずられながらも、矜持を貫こうともがく青年。

だが、最後には導かれるようにテロリズムの淵へ沈み込み、
凶暴なドスをかざさざるを得なくなる、理不尽なものへの憤怒。

差別される者の鬱勃とした怨念を抱える無頼派の、
孤独な青春のさすらいを描いたという意味で、
「人斬り以蔵」の心情とも強いつながりを持つと断じるのは、牽強付会に過ぎるだろうか。

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