牡丹亭と庵の備忘録

映像業界人の某が日々のあれこれを興に乗せて語る茶席風

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1975年、三十五年前の1月19日に、今はなき新宿厚生年金会館大ホールで、
一夜限りのある祭りが行われた。

『歌う銀幕スター・夢の狂宴』、いまや伝説となった夭折の名アナウンサー、
林美雄さんが企画し、“映画スターファン倶楽部”なるとぼけた同好会の
名のもとに立ち上げた、たった二千五百人しか見ていない幻のイベント。

その夜、以下の綺羅星のようなスターたちが目の前のステージに立ち、
次々に披露したナマ歌に、幸運な観客たちはただ熱狂し酔いしれた。

M1  菅原文太    『吹き溜まりの唄』
M2  中川梨絵    『雪が降る』
M3  原田芳雄    『プカプカ』 『早春賦』
M4  佐藤蛾次郎   『モズが枯れ木で』
M5  原田芳雄    『黒の舟歌』
M6  桃井かおり   『六本木心中』
M7  宍戸 錠     『黒い霧の町』 『ジョーの子守唄』
M8  石川セリ     『八月の濡れた砂』
M9  高橋 明     『なかなかづくし』
M10 あがた森魚   『昭和柔侠伝の唄』
M11 藤 竜也     『ネリカンブルース』 『任侠花一輪』
M12 菅原文太    『命半分ある限り』
M13 鈴木清順    『麦と兵隊』
M14 深作欣二    『赤とんぼ』
M15 渡 哲也     『東京流れ者』 『望郷子守唄』 『くちなしの花』

人に話すたびに「嘘だろう」、「そんな大スターたちが、たかが素人がやったイベントで
そこまで一堂に会するわけがない」と、
そんなふうに、信じてもらえなかった伝説の祭りの音源を待望久しく手に入れた。

一切のスポンサーを付けず、録音も録画もせず、ただ消え行く幻の一瞬に、
夢のように光り輝いた映画青年たちによる打ち上げ花火。
その音源が何と、林美雄さんの“深夜パック”のエアチェック盤として残っていたのだ。

泣いた。
じつに三十五年ぶりに聴いたスターたちの歌声、そして林さんの驚くほどに若い声。
自分はここから歩きだした、
そして今のこのザマに至ったのだと、しみじみ自らを省み嗤う再会ではあった。

ポスターイラスト:(小説家デビュー前の)島田荘司、
演出:(『青春の殺人者』を撮る前の)長谷川和彦、
構成は、『六連発愚連隊』映画化の夢に燃えていたペエペエシナリオライターの小生。

そのとき、全員がまだ二十代半ばバリバリの恐れを知らぬ若者たちだった。。。。  

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