牡丹亭と庵の備忘録

映像業界人の某が日々のあれこれを興に乗せて語る茶席風

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京都霊界地図

東山の祇園甲部、宮川町、祇園東(乙部)、先斗(ぽんと)町一帯と、
北にやや離れた上七軒の五地区を総称して、京都五花街と呼ぶ。
この五つは、いわゆる芸妓さん舞妓さんが闊歩する街だが、
京都にはもう一つ、遊女の伝統を引く某色街がある。
 
浅田次郎の小説、「輪違屋糸里」で知られる平間重助と糸里、
山南敬介と明里、伊藤甲子太郎と花香太夫などの、
新撰組カップルを生んだ色街といえば、好事家にはお分かりだろう。
 
今も残る、その一軒の揚屋の二階奥座敷に、
遊女の霊がさまよっているという話を聞いた。
 
座敷での酒宴を離れて雪隠に立つ。
と、奥の暗がりから一人の女性が手招きをしている。
ああトイレはそっちかと、誘われるままについていく。
 
一方、座敷に残った者たちは、いつまでも彼が戻って来ないことを訝る。
大の方にしても遅すぎると廊下を覗く。
と、ぼんやりした表情の当人が薄暗がりから姿を現す。
どうしたのだと聞くと、手招きされるまま進んでいくうち道に迷ってしまい、
何も記憶がないまま、気がつくとまたここへ戻っていたのだと言う。
 
聞けば、その廊下の奥には結界が張ってあり、
そこから先へは入ってはいけないという境界線があるのだが、
お客はそれに気付かず誘われるままに行ってしまうらしい。
 
そしてその先にある部屋は……
その昔、不治の病を得た遊女たちが幽閉されていた、
隔離部屋だったのだと。

営業妨害だと訴えられるのは本意でないから、これ以上は書かないが、
うわあ、怖い……!( °O °;)

豆鉄砲を食らって一句

恩返し 大義友愛 トラストミー? (まんまやん 
井上井月(いのうえせいげつ)は、幕末から明治にかけての漂泊の俳人。
その出自は不詳だが、越後長岡藩の下級武士で、
若いころは後に藩を悲劇に追いやることになる藩政、
河井継之助と並び称せられた秀才だったという説が有力。

http://osan6.cocolog-nifty.com/palpunte/images/2008/11/12/031_2.jpg 落栗(おちぐり)の 座を定めるや 窪溜(くぼだまり)
この句は、思うところあって藩を捨て、信濃の国伊那谷に流れ着いた井月が、
そこに安住の郷を見いだして詠んだ句だとされる。
写真は伊那市にある、そんな井月を顕彰する句碑。 

http://osan6.cocolog-nifty.com/palpunte/images/2008/11/12/032_4.jpgその井月を限りなく尊敬したのが、後の漂泊の俳人山頭火。
写真は、そんな山頭火が念願叶って、井月の墓を訪れたときに詠んだ四句を記した句碑で、伊那市の外れ“六道原”という場所で、
上の句碑と寄り添うようにひっそりと建っている。
 
お墓したしくお酒をそそく
お墓撫でさすりつつ はるばるまゐりました
駒ヶ根をまへにいつもひとりでしたね
供えるものとては 野の木瓜の二枝三枝

http://osan6.cocolog-nifty.com/palpunte/images/2008/11/12/034_2.jpg左の写真は、時代を隔てたその二つの句碑が並ぶ、
“六道原”から上記三句目の霊峰“駒ヶ岳”を望んだ一枚。
じつはいま、その井月を主人公にした映画の企画が進行中なのだが……。
それはそれとして、井月の句には他にも以下のような格調高い作品がある。
 
若鮎や 背すじゆるさぬ 身のひねり
松よりも 杉に影ある 冬の月
降るとまで 人には見せて 花ぐもり
旅人の 我も数なり 花ざかり
何処やらに 鶴(たづ)の声きく 霞かな
イメージ 1
 
こんな仕事をしていると、たまにエキストラに駆り出されることがある。

業界用語でいう“内トラ”というやつで、主に経費節約の名目でノーギャラ出演をさせられるのだ。
早い話、テレビの2Hで現場整理の制服警官をやっているのは助監督、
クラブのホステスはアシスタントプロデューサーやメイクさん、
呑み屋のオヤジはうるさ型の古スタッフあたりだと思ってまず間違いない。

少し意味合いは違うが、ヒチコック監督のお遊びワンカット出演はあまりにも有名だし、
神代映画に顔を出す、カメラマンの姫田真佐久さんも毎回笑わせてくれた。

で、自分はどんな作品に写っているのだろうと、戯れに思い出してみた。

『喜劇・女の泣きどころ』〜松竹大船撮影所に他の用事で行った折り、
太地喜和子さんが演じるストリップのかぶりつき観客として座席に着かされた。

『ピンクのカーテン』〜第一作冒頭、池袋の街を歩く美保純ちゃんの脇を、
颯爽と(?)走りすぎていく、SUZUKI・GSXに乗ったバイクのライダー。

『ダブルベッド』〜同じく池袋の街で、大谷直子さんをナンパする若者。
セリフあり。監督の藤田敏八さんに、「お前、芝居上手いな」と褒められた。(笑)

『恋文』〜ハギワラさんと高橋恵子さんの結婚式のシーンで、
倍賞美津子さんの後ろにいる白衣の医者役。
このシーンにはプロデューサーの三浦さんや、制作のKさんなども写っているが、
興を削がれることはなはだしいと、知人たちには不評だった。

『リボルバー』〜手塚理美さん演じる、クラブのママと話をしている客。
『ダブルベッド』の好演に直々の声掛かりで、藤田敏八カントクの映画に二度目の出演。

『スイートホーム殺人事件』〜火曜サスペンス・六月の花嫁。
鈴木京香さん演じる、手タレのヒロインのCM撮影監督役。
結構セリフがあったが、下手を実感。
ただ鈴木京香さんと共演したことはいまも自慢。(当人は憶えていないだろうが……) 

『木村家の人びと』〜主人公の鹿賀丈史、桃井かおりさん夫妻の息子が
通う小学校で、
算数を教える担任の教師役。
幾ばくかの出演料をもらった記憶あり。

『愛のことば』〜東海テレビ・昼の帯ドラマ。
メインセットの一つの喫茶店で、病に倒れる寸前の峰岸徹さんを発見する客。
「マスター」と、一言のみのセリフ。

『灰の迷宮』〜TBS・月曜ミステリー。
鹿賀丈史さんが並ぶ、行列ができるラーメン屋の客。
出演を熱望した、小学校のときの担任の先生(女性教師)と共演で並ぶ。

そして『熱血ニセ家族』第一話〜CBC制作・昼の帯ドラマ。
ヒロイン須藤温子ちゃんが営む居酒屋の客。
きちんとセリフもありの町内会長役だった。

等々、ほかにもあったかもしれないが、もはや記憶の彼方だ。

あ、そう言えば、後年になってパキさん(藤田敏八監督)が
拙作『白愁のとき』(TBS系水曜・大山勝美演出)に出演してくれ、
「『ダブルベッド』と『リボルバー』のときのお返しだ。どうだ、お前よりずっと芝居は上手いだろう」
と笑っていたことを思い出した。

今日も暑うなるぞ

イメージ 1
 
タイトルは『東京物語』(小津安二郎監督)のラストシーン、笠智衆の名台詞より引用

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