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いつかミステリー作家の島田荘司氏と会食したとき、
一本の作品を書く際にそのドラマのテーマ曲を決めてかかるのだという話になったことがあった。
その時撮影中だった島田さん原作の2Hは、
ボブ・マーリィの『I SHOT THE SHERIFF(ライブ盤)』を聴きながら書いた。
主人公の吉敷刑事は、果たして携帯の着メロを何に設定しているだろうかと考えたとき、
自然に浮かんできたのがかの名曲だったのだ。
同席した編集者氏は、その話を聞いてエリック・クラプトンのカバーを思い浮かべたようだが、
かつて(今はない)新宿厚生年金会館で、ボブ・マーリィのライブに接した貴重な経験をもつ私には、
『アイ・ショット……』とくれば元祖のボブ以外にはない。
同じように、『ピンクのカーテン』の美保純ちゃんには
「♪昨日さがしたアイウエオ いつか忘れたカキクケコ〜」と三上寛の歌を唄わせ、
他のロマンポルノでも「♪牛のように豚のように殺してもいい われ一介の肉塊なり〜」と
戸川純ちゃんを口ずさむヒロインを設定し、
某昼帯では悩めるヒロインのテーマ曲を、
「♪笑って〜笑って〜笑ってキャンディ〜」と『キャンディ・キャンディ』のアニメ主題歌に据えた。
どうでもいいことなのだが、その人物のテーマ曲が浮かんできたときに、
自分の中でキャラクター設定が出来てしまう瞬間があるのだから仕方ない。
というわけで、次回作を書く際のテーマ曲として、
いまはエタ・ジェイムスの『I'D RATHER GO BLIND』を聴いている。
このセンチメンタルなブルースがまた、
近ごろめっきり涙腺の緩んできたオヤジの、琴線をくすぐってたまらないのだ。
伝説のハスラーの隠し子と伝えられる、この稀代のブルース歌手は、
容貌と歌の巧さの二点において、天童よしみと相似しているという説がある。
誰が言いだしたことなのか、初めてその説を聞いたときには、「なるほど!」と思わず膝を打った。
一見冗談めかしているようでありながら、そのじつ深いところである本質をえぐっている。
こういうアフォリズムが、私は昔から好みだ。
おっと、そうこうしている内に、曲はB・B・KINGの『THE THRILL IS GONE』に変わった。
しばらくはブルース三昧の日々のなかで、柳ジョージばりに
「♪古い回帰の上をさまようか〜」と“プリズナー”を気取ってみるのも、
シャレにならないオヤジギャグで、そのぶんシニカルかつアイロニカルに笑えるかもしれない。
http://www.youtube.com/watch?v=YApNirMC9gM&feature=related Etta James I'D RATHER GO BLIND
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