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故加藤泰監督は、仕事がないときにひたすら庭の草むしりをして、無聊を慰めていたという、
いまも関係者の間で語られる伝説がある。
その衣鉢を継いだわけではないが、
今年の夏は酷暑のなか、そのぶん元気に生え繁る庭の雑草をむしる作業に忙殺された。
格差社会の拡大が叫ばれる昨今、一部売れっ子たちを除いて、
映像関係に従事する者の生活は、いよいよ困窮の度合いを深めつつあるようだ。
映画関係者で自殺した者はいないという、いい加減さを笑い飛ばすような言い伝えも今は昔、
ぽつぽつと聞く斯界の連中の訃報のなかに、自殺の二文字が混じることも多くなってきた。
(Nよ、Kよ、何で……)
加藤泰監督は晩年、ろうそくの一盛りのように立て続けの大きな仕事をして逝った。
“早い・安い・上手い”が売り文句だったかつての若手も、
“遅い・高い・うざい”の姥桜に変貌し、
一線の若手プロデューサーたちからは敬遠される身となったが、
加藤さんの故事に倣うべく、まだ一花・二花をと今日もワープロに向かう一日だ。
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