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H親方による聚落土を使っての“上塗り”が無事終わり、
どこに出しても恥ずかしくない“土壁”が完成した頃、
今度は“三和土(たたき)”を造りたいと、家人がまたとんでもないことを言い出した。
三和土と言ってもピンと来る方はほとんどいないだろうが、 昔の農家やお寺などでよく見られた、泥で固めた硬い土間を
思い浮かべていただけると分かると思う。
その工法を、茶室の張り出しベランダ風に再現したいというのである。
確かに、茶室にコンクリートのベランダはサマにならない。 図書館等で参考にした本を見ても、 名のある茶室はすべて、古来の三和土で建物の四方を固めてある。
これがまたじつに風情ただようもので、 毒を食らわば皿まで、ヨシ、この際あと一工程気合いを入れて
頑張ってみるかという気にさせられるから困ったものだ。
ところが、絶えて久しい“三和土造り”は さすがの左官の名人も経験したことがないという。
おそらくは京都辺りにしか、専門の職人さんは残っていないだろう。 今どき、そんな面倒なシロモノを造ろうなどと思うのは、 よほどの粋狂な人種に限られているから、
必然的に手間も工賃も膨大なものになるはずだ。
そんな脅しに屈して、ならば窮余の一策のネット検索だと試してみると、 いるのですよこれが、同好の士が何人も。
なかでも本格的に在来工法に挑んでいる、金沢の某一級建築士の方が、 詳しく三和土工法のことについて述べているページを発見し、
さっそく電話してみたところ、喜んで手取り足取りのレクチャーをいただいた。
熊本のF建築士さんからも、ていねいな解説メールをいただき、 それらの情報をもとにアバウトな作業工程を設定したところで、
ついに誰一人経験した者がいないという“三和土作業”が、
木屑や木の根などが混ざっていない、
至極良質のものを1・5立米ほど用意していただいた。
(ここでもまた細かくパウダーにする篩の作業があったのだが……
これを7の割合に換算して、 あとは体積別に面砂利3、砂4、消石灰5、にがり1の割合で混ぜ、
少量の水を加えてひたすら練るのが予備段階。
ところが、面砂利、砂、消石灰は近所のDIY店で手に入るものの、 “にがり”を40㎏手に入れるのがこれまた至難の業。
1キロ一万だ二万だと吹っ掛ける業者を選別して、 最終的に大阪で“とうふ苦汁”一筋に生産をしている某業者さんを見つけ出し、
20㎏で四千円弱という格安値段で入手できたのは幸いだったというべきか。
さて、ここからはひたすら叩く。 道具は何でもいい。 得意のゲンノウ、木槌、角材…… それらを手に渾身の力で、叩いて叩いて固めていくのである。
これがまたじつに重労働で、壁塗りどころの比ではない。 血と汗と涙にまみれながら、ただ日頃のストレス発散だけを願い、 バカヤロー、コノヤロー、呪ってやると叩き固めるのだ。
で、出来上がった三和土が“コレ”。 三和土(たたき)東西南北:http://homepage3.nifty.com/osan6/toan/tataki2.htm そう、やれば出来るのだ。 しかもこのノウハウを心得るのは広い日本に “深草三和土”の京都職人以外、金沢に一人、熊本に一人、
そして自分たちくらいのものだろう。
じつにどうもウットリとする出来に、 参加者の誰もが綿のようにくたびれた疲れを忘れ、
いいねえ、いいよねえと満面の笑みで見入ったひとときではあった。
----------------------------------------------------- SPECIAL THANKS TO:何でんかんでん三和土隊 Ms.Patty、Mr.M230Z、Mr.Andy、Mrs.なを、Mr.TOSHIO、Mrs.CHIHARU、 Msえみり、Mrs.アプリコット、Mrs.黄、Mr.らんまる&Mr.H・O@左官屋さん(順不同)
----------------------------------------------------- 他にも“造園”の苦心談、“四目垣”と“枝折り戸”の製作、露地の造営等々、 話せばきりのない建設譚だが、
関心のない方にはこれ以上面白くも何ともないだろうし
後はとりあえず完成を見た手作り茶室の外観を見ていただくことにして……。
露地から躪(にじり)の提灯:http://homepage3.nifty.com/osan6/toan/gaikan1.htm 建具入り外観と水屋:http://homepage3.nifty.com/osan6/toan/gaikan.htm この稿終わり。 写真は紅葉真っ盛りの秋の杜庵と、珍しく西湘に雪が降った冬の某日の杜庵 |
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