|
寒い日だ。
暖房のとどかない部屋でヒーターをつけた。
ヒーターの赤い色が実際の暖気よりも気持ちを暖めてくれる。
寒い日には北国の昔の冬を思う。
亡くなった母についての思い出は沢山あるが吹雪の夜寒い部屋でコタツに入って幼かった弟と一緒に
暖をとったことは忘れられない思い出のひとつだ。
外は吹雪、風がヒューヒューと吹いている。
建てつけの悪い戸障子から隙間風が容赦なく入ってくる。
そのころ北国の家の暖房はコタツだった。
中学生のころだ。父は亡くいわば母子家庭だった。
背中を丸くしてコタツに入っていても寒い。
コタツの上を食卓にしての夕食、
その後弟と一緒にコタツに入って時々母がしてくれる話を聞くのが楽しみだった。
小さいコタツでそれこそ額を寄せ合うようにして母の話に聞き入った。
母の小さいころの話、女学校の寄宿舎時代の話、母の父母、兄弟や姉の話、実家の商売など、
何かと尋ねながら聞き入ったものだ。
それは母も語るのが楽しそうだった。
今にして思えば苦しいこと、悲しいことも多々あったろうが楽しそうに話をした。
細かい内容は忘れてしまっているがその情況を思い浮かべるとたまらなく懐かしくせつない。
時は移ろって母も弟もすでに亡く記憶は私だけのものになってしまった。
|