北アメリカ(ティランノ類)

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アウブリソドンの歯

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今しばらくこちらでお世話になります。
(移転先はブロ友さんが多いアメブロが第一候補です)
 

 

今回はアウブリソドンの歯です(Hell creek FM, CH:12mm)
断面がD(U)型の歯は、ティランノサウルス類の前上顎骨歯といわれ、その中でも鋸歯を欠くタイプはアウブリソドンとされています(幼体の歯と考えられています)。
 

流通しているこれらの歯を見ると、サイズや形態にバリエーションがあるように思います(中には鋸歯があるものも!?)

 
バリエーションは、成長段階、ポジション(PM1−4、もしくはd1)、はたまた、大型小型のティランノサウルス類の違いによるものか(初期後期、ヘルクリーク層ならティランノとナノ:微妙)等を想像しますが、よく分からず謎多き歯です。
 
ところで、日本でも初期ティランノサウルス類の歯が見つかったニュースは記憶に新しいですが、あの歯も断面がD型で鋸歯を欠くタイプで、アウブリソドン型と考えられます。
 
このタイプの歯はティランノサウルス類の進化や放散を考える上で貴重で興味深い歯だと思います。
更に保存状態の良い歯が見つかることを期待しちゃいますね^^
 

では、各部を見てみましょう。

 
 
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口唇、舌面からのフォルムは先端に幅があります(先細りではない)。舌面は基部に行くにつれ、顕著に幅が狭くなります。
また、舌面には中央に(ほぼ)基部に達するリッジ、その横には細く短い複数のリッジを認めます。
 
 
 
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基部断面のフォルムはいわゆるD型ですが、舌側の幅が口唇側より短く、台形のような形をしています。
カリナは側面から見ると、先端から中央付近まではほぼ垂直ですが、中央あたりから大きく膨らみ、舌側の端に達します(独特なプロフィール)。
鋸歯は認めません。
 
 
 
・カリナの顕微鏡像(深度合成、bar:1mm)
 
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上)歯尖付近、側〜舌側。
下)基部付近、側〜舌側。
 
 
・舌面の顕微鏡像(深度合成、bar:1mm)

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舌面先端部。
舌面中央に明瞭なリッジ(赤矢印)と、その横にやや狭い複数のリッジ(緑矢印)を認めます。
 

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舌面中央部。
中央リッジは認めますが、狭いリッジは消失しています。
 

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舌面基部。
中央リッジ低く幅が出てきますが、基部に達しているようです。
歯冠の両サイドにカリナの下端も観察できます。
 

折れた獣脚類歯の断面

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Hell Creek Formation, Powder River County, Montana,USA



 しつこく断面ネタです^^;
この歯の大きな断面は、拡大するとスジ状の構造や不規則な大凸が観察されるため、摩耗ではなく折れてできたものと推測しましたが、確証はありません。


では、実際に折れた歯の断面はどのようになっているのでしょうか?


私のコレクションの中には不幸にも折れてしまった歯がいくつかあります。

今回はそれらの断面を観察してみましょう。



 

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Bissekty Formation, Central (Kyzylkum), UZB


これは手元に届く前、輸送途中に折れてしまった獣脚類歯です。

(ディーラーさんに話すと、お詫びにもう1本くれました)



 

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断面です。不規則ですが隆起性のスジを認めます。

やはり折れるとできる構造なのでしょうか。


 
 
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断面をよく見ると表面にはゴミのようなものがあり、風化している感じがします。

ディーラーさんの元画像を見直すると、折れた部分にうっすらと線が入っていました。

元々ひびが入っていたものが風化していったのかもしれませんね。


  


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Kem-Kem, Morocco


こちらは10年位前の過去記事(画像は当時のもの)で紹介したスピノサウルス歯です。

記事を読み返すとポロリして折ってしまったようです(あぁ恥ずかしい)。

今見ると、クラックが多く修復されているようです。元々壊れやすかったのかもしれません(言い訳^^;)。





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拡大した断面の表面は比較的平坦で、段状になっています。
前出のような隆起性のスジは見られません。また、断面の色合いも異なっているので石の性状も違いそうです。



 
2つの折れた歯の断面をご紹介しましたが、それぞれ形状に違いがありました。

断面の状態は、もろもろ条件(力の加わり方や、石の性状等)で形が変わるのだろうと思います。


手持ちの標本で折れた断面を観察できる標本は少ないのですが(多かったら困りますね^^;)、もっと違ったパターンの断面があるかもしれませんね。



過去記事


 


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GWも佳境ですが、いかがお過ごしでしょうか。私は親知らずを抜歯したのですが、意外とダメージが大きく、どこにも行かず終わってしまいそうです。その分、ブログをしっかりと^^
 
さて、先端が欠損した獣脚類歯ですが、肉眼で見ても断面はデコボコしており、何かしらの構造がありそうです。
今回はその部分を拡大して観察します。また、比較として平らな断面を持つ獣脚類歯も観察します(画像右端:Judith River FM産)。
 

 
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近心側の欠損部です。
断面は大きく、平坦な部分もありますが、小さな凹凸やスジを認めます。
これらを拡大してみましょう。
 
 

 
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先端部分です(Bar:1mm)。
この部分には大きな段差があります(画像左のピントが合っていない部分)。
画像右側のピントが合った部分は比較的平坦で、縦方向に走る細かなスジを多数認めます。また、それらよりも太い隆起性のスジも認めます。
 
 

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エナメル質辺縁の部分です。
隆起性のスジが縦方向に連続して走っています。(太さにはバリエーションがあります)。
 
 

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断面の下端部分です。
表面には不規則な凹凸を認めます。また、周囲には交差する、やや太い陥凹性のスジ(矢印)を認めます。
 
 

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やや太い陥凹性のスジです。断面にいくつか認めます。
これらの方向性は不規則で、クロスしている部分もあります。
 
 
 
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続いて遠心側です。

断面は狭いですが、大きな段差があります。断面には縦方向のスジを多数認めます(赤線)。

 
 
 
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側面の断面です。
太く短い隆起性のスジが斜め上方に走っています。また、細かいスジが横方向に多数走っています。
 
 
 
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隆起性のスジ。連続して縦方向へ走っています。
 
 

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比較として平坦な断面(前出の別の歯のもの)を提示します。
こちらは拡大しても顕著な凹凸はなく、細いスジ(赤矢印)や、やや太いスジ(緑矢印)を認めるのみです(共に陥凹性)。
 
 
さて、2つの歯の断面を比較していかがでしょうか。
デコボコした断面には、いくつかのパターンの微細構造が観察できました。一方、平らな断面には陥凹性のスジのみで、明らかな微細構造は確認できませんでした。
 
平らな断面は歯と歯の接触や食餌により摩耗したもので、スジはその際に出来たキズと思われます。
このような断面が咬耗ならば、デコボコした断面は別の理由でできたものと思われます。
可能性が高いのは、物理的に強い力が加わっておきた破損(破断)でしょうか。

デコボコした断面に観察される微細構造は、その発生機序は不明で、破損(破断)の証拠になりえるかは分かりません。また、やや太い陥凹性のスジは咬耗と思われる面にもあるのが面白いところです(まったく同じ形ではないので、それぞれ発生機序が違うのかも?)。

最後はグダグダになってしまいましたが、観察ポイントの多い面白い標本でした。
 

コレクター的視点から見ると、このような歯は安価で手に入れやすく、状態の良い化石に負けない魅力があります。
破損や摩耗した歯化石を集めて観察するのもコレクションの楽しみ方の一つだと思います。
(観察するための器具を色々欲しくなるのが難点ですが^^;)
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ティランノサウルス類として入手した、ヘルクリーク層産の獣脚類歯です(Bar:10mm)
この歯は近心、遠心ともに先端が大きく欠損しています。歯根を含む標本長は24.8mm(CH19mm)あるので、先端が保持されていれば30mm以上あったかもしれません。また、CBLも大きく、ヘルクリーク層でこのサイズの歯を持つ獣脚類は、やはりティランノサウルス類が第一候補でしょう。
 
 

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近心(左)および遠心(右)面の像です。
近心面は大きく欠損しています。エナメル質は基部にわずかに残り、この部分にカリナは認めません。また、遠心面は先端が欠損していますが、残ったエナメル質にはカリナを認め、鋸歯を伴っています。
カリナは長軸の中央ではなく右側(口唇寄り)に位置しているので、ティランノサウルスの異歯性を考えると、アゴ前方に生えていた歯と思われます。
 

 
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上(左)および下(右)からの像です。
この歯は口唇‐舌側に圧縮されており、平べったい印象を受けます。
もともとこのような形なのか、化石化の過程で圧縮されたのかはわかりませんが、面白い形をしています。
 

 
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央付近の鋸歯の拡大画像です(左:口唇面、右:遠心面、Bar:1mm)。
鋸歯は立方状です。
 
 

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遠心面の基部です(Bar:1mm)
鋸歯は少し上の部分より小さく、DB(遠心基部の鋸歯密度)は20/5mmです。
ティランノサウルスにしては細かな鋸歯です。
 

 
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近心側の大きな欠損部分は咬耗のようですが、表面には凹凸があり平らではありません。一般的な咬耗は平らなイメージがありますが、このような削れ方をすることがあるのでしょうか?
 
 

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ジュディスリバー層産のティランノサウルス類の歯(右端)と比較。
この歯の咬耗は滑らかで、今回の歯とはパターンが異なります。
 
 
 
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遠心側の欠損部です。近心面と比べると凸凹が著しいです。これは咬耗よりも欠けてしまった可能性が高いと思います。
 
 
 
一般的に、欠けたり磨り減った化石は価値が高くないのかもしれません。しかし、顕微鏡を使うと、その部分に面白い構造を観察できることがあり、保存状態の良い化石とはまた違う魅力があります。
 
この標本にも何らかの構造が観察できました。次回はこれらをご紹介します。
 
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Tyrannosaurid(cf.Gorgosaurus) tooth.
Judith River Formation.Montana USA.
標本長:24.1mm

これは化石コレクションを始めたばかりの頃にアルバートサウルスの前上顎骨歯として入手した歯です。今までアップしていなかったので久しぶりに標本箱から引っ張りだしてきました。
今見ると産出地からゴルゴサウルス、近心面に摩耗があるので歯骨歯(Rd1あたり)ではないかと思います。
状態もそこそこでありふれた標本ですが、右カリナ(遠心面から見て)には鋸歯がなく左カリナには中央部のみに鋸歯を認めるという妙な特徴があります。

鋸歯のないティランノサウルス類の前上顎骨歯タイプの歯と言えばアウブリソドンが思い浮かびます。
アウブリソドンは属としては不確定であり、ナノティランヌスの前上顎骨歯がアウブリソドン型との報告があります。

この歯にはわずかながら鋸歯があるのでアウブリソドン型ではないですね、サイズもそこそこあるので亜成体の歯かもしれません。わずかに鋸歯があるのは成長段階の歯はだからだったりして!?ゴルゴサウルスの幼体は鋸歯のない前上顎骨歯を持つ時期があるのかもしれません(勝手な想像です)。 まあ、単なる異型歯かもしれません。
良くわからないのが現状ですが、コレクター的にはパターンの違う歯を集めるのも面白いかもしれませんね。

ミネラルフェアももうすぐですね、初日は横浜で学会があるので行けるかビミョーな状況です。
皆様の戦果、期待してますねー^^



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ジュディスリバー層のティランノサウルス類の前上顎骨歯(Dinosaur Systematics. p120より引用抜粋)。
この2者の関係は!?
ジュディスリバー層にもナノティランヌスに相当する小型ティランノサウルス類がいたとしたら面白いですね。

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