有閑主婦の日常

暇だと感じられるのはエネルギーがある証拠。

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鮮やかな世界

「美味いみかんを買ってきてくれ」
病室の父から3回目の電話を受けた母は、午後の荷物にみかんを追加した。
父の入院は、30年ぶりである。
30年前は、尿道結石だったような気がするが、私は子供だったから良く覚えていない。
72歳の現在まで、暴飲暴食を続けているわりには父の体は丈夫にできているらしい。
今回の入院も体の不調が原因ではない。
老年性の視力低下なのだと私は理解しているが、白内障が原因である。
入院とはいえ食事制限がないため、父の胃袋は快調である。
これまで五年間、いくら言っても覚えようとしなかった携帯電話の操作を
入院を機にちゃっかり覚えた父は、母にちょくちょく電話をかけている。
『ちょっとつまむ菓子』や、『めしの友に佃煮』、そして『美味いみかん』などをその時だけ病人面して要求してくるから始末が悪いと母が嘆いて私に電話をしてきたのだ。

月曜日に右目の手術が成功し、父の右目は霞がはれた。
さらに、医師さえ驚くことに、50年以上近眼で眼鏡をかけていた父の視力は、手術後1.2に回復している。
二日後の今日、左目の手術が無事終わった。
手術前は失明の危険に恐れおののいていた父も、明日になれば両目の靄がなくなって手術の決断を改めて良かったと実感することだろう。

「お父さん、眼鏡いらなくなるんじゃない?」
私の台詞に母は悪乗りした。
「眼鏡いらなくなったら、髪もかつらにしちゃう?お父さん、誰だか分からなくなっちゃうね!あははは」
「まあ、でも本当に良かった。お母さんもうるさい爺さんのお世話お疲れ様」
「まだ、あと退院まであるけどね。本当にうるさい爺さんで困っちゃう。あたしは本当疲れるよ、そろそろ病院行くから。じゃあね」
うるさいと言いながら、母は機嫌よく電話を切った。

居酒屋を閉店後、両親は仲がよい。
「おら、もうこれからは母さんに金魚のふんのようにくっついていりゃあ楽でいい」
と父は公言している。
くっきりと視界が広がった世界で、頼もしい母にひっぱられて、父がこれからも面白おかしい余生を過ごしてくれるだろう事が、私には、ありがたくてならない。

閉じる コメント(4)

よかったですね〜(^^)自分も手術すれば視力上がるかな??余生というより、これから青春してくださいませ☆

2011/11/17(木) 午後 0:07 るな

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お父様、手術成功おめでとうございます。
実は私もそろそろ老人性白内障が始まってきたので、この記事にとても勇気づけられました。

ご両親仲がいいのは一番の幸せですよね。めでたしめでたしのポチ☆

2011/11/17(木) 午後 10:29 もろぼし

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疲れているとイライラして喧嘩もしたのでしょうが今はそういう面では閉店したことも残念ではあるものの悪くはなかったってことなんでしょうね。

ちゃっかり携帯電話をおぼえたんだ。やるぅ〜♪

2011/11/22(火) 午後 8:32 [ おーちゃん ]

内の義母も来週白内障の手術予定ですがこの記事読んで様子を知る事が出来ました。
目の霞みが晴れ見える喜び噛みしめてハッピーですね

2011/12/13(火) 午後 4:40 [ hmatyan ]

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