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何十年かぶりに「キンカン」を買った。
「キンカン買ってきたよ」
「え、どこ?」
長女は冷蔵庫を探している。
「違うよ、かゆいときに塗る方だよ、静岡の家にあるやつ」
と説明して、
「あ、あれか・・・あの瓶のやつか。果物の方かと思った」
とやっと理解する程度にしか我が家では使われていない薬品になっていた。
実家では、私が子供の頃から、虫刺されと言えば「キンカン」であった。
小学生の頃、夏に日焼けして赤くただれてしまった色白の姉が、「かゆいかゆい」
と痒がっていた際、痒いとき=キンカンと思っていた優しい私は、
「これを塗れば治るよ」と姉の真っ赤になった両腕にキンカンをべったりと塗ってあげたことがある。
「ぎゃあっ・・・・!」と悶絶して泣き叫ぶ姉を見て、キンカンは日焼けには塗ってはいけないということだけ理解した。
今になれば、日焼けの痒みは火傷であり、キンカンの成分が有効であるはずがないと分かるが、
当時の私にそんなことを知る由もなかった。
姉はあれ以来、キンカンが苦手になっただろうか?
罪悪感からか、その後姉とキンカンの話をしたことがない。
私は、それほど色白ではないので、日焼けすればしっかり色黒になり、
皮膚が痒くなることはあまりなかった。
日焼けにキンカンを塗って痛かった記憶もないが、
掻き毟った虫刺されにキンカンを塗ったら、猛烈に痛いということは何度も経験済みだ。
大人になるにつれキンカンの痛みは、心地よい物になったので、
私も一人暮らしの頃は、キンカンを買っていた。
ところが、小さなとげでも悲鳴を上げるほど、痛みに弱い夫と出会ってから、
キンカンよりもムヒなどの塗り薬を常備するようになったのだと思う。
その後、子供が生まれ、子供には刺激の弱い塗り薬を使っていたから、
一層キンカンを買う機会は遠のいていた。
これが、今日になってキンカンを買うことになったのは、
次女の切実な願いからだった。
次女は数日前に10歳になった。
成長期真っ最中ということもあり、汗をかきやすい。
公園で遊ぶのが好きだという次女は手足にいくつも虫刺されを作っていた。
「あちこち痒くて寝れないんだけど、なんか他の薬ない?」
「キンカン塗ってみる?もう掻き毟ってあるから、すごく染みると思うけど、気持ちいいかもよ」
「うん、絶対明日買ってきて」
次女は、夜のうちに、ご丁寧に『キンカン買って』と私が忘れないように冷蔵庫にメモ書きを残し、
朝になって早速
「キンカン早く買ってきて!」
と催促。
一番近い薬局の開店時間を待って、キンカンを買ったのだった。
「うー・・・怖い、あ、別に痛くない・・・いたっ!染みる!あ、目が染みる!あ、手も染みる!鼻もつーんとするっ!」
キンカン初体験に、随分ドタバタ悶えていたが、数時間後には、
「あれ塗っていい?・・・なんだっけ?あ、キンカン」
と気に入った様子。
3度目には、
「うーん、キンカン。スーッとして気持ちいいんだよねえ〜」
とうっとりしていたから、次女とキンカンはこの先長い付き合いになることだろう。
そういえば去年の夏、母が楽しそうにキンカンのエピソードを語っていた。
「お父さんがね、『キンカンがねぇっ』て自分で買いに行って、『安かった』って嬉しそうに帰ってきたんだよ。
そうしたらね、暫く使ってて、急に『なんだ、こりゃ、違うじゃん』と言うんだよ。
よく見たら「キンカン」じゃなくて「エーカン」だったんだよ。
パッケージも似てたから、キンカンだとばっかり思ったんだって」
類似品に、「エーカン」という商品がある。
私はこちらの商品は使ったことがないので、効能の違いは分からない。
もう何十年も「キンカン」のコアなファンであり続る両親にとって、
「キンカン」と同じ舞台に並ぶ、虫刺され薬はきっと現れることはないのだろう。
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目覚ましにいいか。。。。。も?



キンカンに類似品があるんだ〜初めて知りました。
最近はすっかり「ムヒ」なんのですけどキンカン懐かしい
2017/7/13(木) 午後 9:08 [ ぽりん ]