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成田空港は明らかに違う世界だった。 普段、朝起きて学校行って、バイトして帰ってくるという 毎日同じ生活をしていた若干18歳の心が 動揺しないはずもなかった。 浮き足立つ。 普段決して使わないような言葉だが、今思えばピッタリだったのだろう。 空港で友人の何人かは、おみやげを渡してくれた。 メッセージとかちょっとしたスナック菓子とかあった中に、エロ本がまぎれこんでいた。 向こうでは困るからという、わかったようなわからないような理由だったが、 恥ずかしさのあまり、すぐさましまった。 みんなは興味本位と心配とが半々ずつで最後の声かけをしてくれた。 本人としては、心配なんて気持ちは全くなく、 ただただ早く新しい世界に踏み込んでみたかった。 新しい世界が今までの自分を変えてくれるような、 そんな錯覚に支配されていたのだろう。
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NZからの手紙
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1992年4月。 適度に晴れた日だった。 成田空港に向かう電車の中には、高校生が十数人、 いや、正確に言うとついこの間まで高校生だったやつらだ。 春休みの午前中を利用して、そいつらはわざわざついて来てくれたのだ。 これから何か新しいことが始まるという気持ちはなかった。 まわりを見渡しても、いつもと変わり映えのしない面々と、 いつもと変わり映えのしない風景。 それらがいつもと同じように目にうつるだけだった。 いつもと違う。 明らかにそう感じたのは、成田空港に到着してからだった。
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