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大槻教授の市民大学講座は7回目「ブラックホールの誕生」でした・・・以下


地球上の8つの電波望遠鏡を結合させた国際プロジェクトが、 4月にブラックホールの撮影に成功したと報道がされたが、それは正確な表現ではない。まるでドーナツ型の可視光線を撮影したかのような誤解(実際ブラックホールはドーナツ型なのかとの質問があった)を生む。周辺の光は、莫大な質量を持つブラックホールの重力にとらえられ、周りを周回しながらやがて吸い込まれていくため、ブラックホールからは光は来ないのでブラックホール自体は撮影できない。「存在を裏付ける」という表現が正しい。
 ブラックホールは、質量は小さいが巨大であるため太陽の100倍明るい「赤色巨星」が、質量が大きいが小さいため輝度は低い「白色矮星」に内容物が吸い込まれ、重力が膨大になり、原子核同士が超新星爆発を起こして生まれる。壊れた原子核はクォークとレプトンになり、γ線も作られるが巨大な重力で外へ出られない。
 天の川銀河の中心には、太陽の300万倍のブラックホールがあるが、中には数十億倍のものもある。なぜ銀河の中心にブラックホールがあるのかはわかっていない。ブラックホールから少し離れて、吸い込まれるのを免れる境界があり、「事象の地平線」といわれている。今回の撮影は、地平の外側のブラックホールに飲み込まれなかった電波に色を付けてシミュレーションしたものである。その内側(ブラックホールの中心点から事象の地平線まで)は、アインシュタインの一般相対性理論から重力場を記述する最初の特殊解を発見し、ブラックホールの存在を示唆した物理学者の名前をとり「シュバルツシルト半径(または面)」と呼ばれる。
亡くなったホーキング博士は、ブラックホールの減衰を唱えた。事象の地平線付近でγ線同士が衝突すると、電子と陽電子が発生し、ブラックホール側へ向かい吸い込まれるものと、地平の外へ出てくるものがある。つまりホーキング理論ではブラックホールが徐々にエネルギーを失い、冷却されることになるが、ブラックホールがどうなるのかが分かるのは、我々の生活とは無関係の200億年後であろう。
そんな生活とは無関係な研究に政府は金(ノーベル賞を受賞した小柴先生には現在の額にして300億円)を出している。私は、貧富の差を拡大した自民党政権を必ずしも評価しないが、科学投資を躊躇わなかった点は唯一評価している。科学技術は楽観性がないと発展しない。「一番でないと駄目か、二番ではいけないのか」と言った国会議員がいたが、一番でなければならない。一番とは、誰もやらないことをやることだからだ。物理学とは、いつでも何処でも成り立つものを探している。宇宙の遥か彼方を研究し、今の世界に役立たせている。宇宙は物理の実験場なのである。
・・・質疑から・・・
Q:ブラックホールはドーナツ型なのか?
A:そうではない。ものすごい重力で原子が壊れプラズマ化して電波を出す。ドーナツ状に見えるのは、ブラックホール自体ではなくそこに落ち込み、その周りに形成される「膠着円盤」である。
Q:ワームホールとは何か?
A:それは存在しないオカルト話である。      (Ⅰ記)

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