いざ進め、満身創痍ing life!

平凡な毎日から生まれた物語・・・

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「鉄の胃袋」〜21〜

 サカキはこの数日間、不吉な予感のようなものを感じていた。その感覚はサカキがこの世界で生きる上でいつの間にか身につけた感覚であった。それはいつも突如として胸の内
に湧き起こる漠然とした感覚であった。まるでこれから起こる予期せぬ事態を誰かが耳元で囁いているような不快感に襲われるのであった。
 サカキは取り憑いた亡霊を振り払うように、頭を大きく左右に揺らした。余りにも急激に頭を揺らしたためにサカキは一時視覚を失い、激しい動悸に襲われた。それでもサカキを取り巻く不快な感覚は消えることなく、サカキは気が狂ったように怒号に近い叫び声を上げた。
「また悪い夢でも見たのですか?」
 いつの間にか部屋の隅にはコルトが独特の笑止顔で目を瞠り、サカキに視線を向けていた。サカキは習慣であるように、コルトに目配せをすると、コルトはサカキの丁寧に畳まれた衣服を差し出した。
「気分が優れぬようでしたら、バンキンスにはそのように伝えますが、如何なさいますか?」
 サカキは衣服を身に纏い、コルトの言葉に首を振った。
「大丈夫だ。何度も追い返してはアウトレイジの統制に問題が生じる」
 そう言ってサカキは外に出ると家の向かいに駐まっている馬車とも牛車とも言えない乗り物に乗り込んだ。その乗り物を引いている生き物は馬でも牛でもなく、この世界特有のバンと呼ばれる黒色の長い毛を纏った河馬に似た動物であった。バンはその容姿に反して機敏に走り、道は舗装などされていないために河馬車は大きく揺れ、サカキは大きな揺れを慣れたように体全身で去なしながら、先程感じた予感について考えていた。
「急がねばならない」
 サカキは自分に言い聞かせるように呟き、目を閉じた。

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