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「夜のピクニック」 恩田陸 著 第二回本屋大賞受賞作。第二十六回吉川英治文学新人賞作。 最近自分の中で本屋大賞はなかなか好感が持てる。 文学云々より、読んでいて楽しい、そんな気楽に読むことが出来る本が多い。 この作品もそれまで自分が恩田陸という作家に持っていたイメージを払拭してくれた。 経験上、夜通し歩き通したことなどないぼくだが、なんだかふと昔を振り返ってしまいたくなる。 ストーリーは実に単純に、大きなエピソードの介入無しで静かに進んでいく。 静かな夜空のしたで二人の主人公の心の動きが鮮明に浮かび上がり、実に静かだが、それでいて活き活きとしている。 ただ一晩を通して歩くだけ、そんな小説なのに飽きることはなかった。 結構なキャラの濃い登場人物に主人公が食われることもなく、スマートに物語を集約している。 (個人的には光一郎がお気に入り) この勢いで映画も、と行きたいところだが、実際映画にすると作品の良さが半減してしまうような気も まぁ、監督の腕次第だが・・・ |
偏見だらけの感想文
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偏見だらけの、批評下手の見解
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「手紙」 東野圭吾 著 兄は強盗殺人で服役中。その時、弟は…。断ち切られた兄弟の絆。希望なき世界を彷徨う人生。いつか罪は償われ、傷は癒されていくのだろうか。『毎日新聞』日曜版連載 表題がシビアな割に所々軽い(安易な感じ)する。お陰で読みやすいのかも知れないが・・・ そう言えば映画化でヒロイン役に沢尻エリカが抜擢されたけど、そもそもこの小説のヒロイン容姿はあまりよろしくないのでは? 大事なのは顔じゃない的なニュアンスが小説の中にはあったのに・・・ 社長の言わんとしていることの意味もいまいちわかりずらいし・・・ 一応これも直木賞候補・・・ やっぱり東野圭吾は読むと少し落ちるかも 面白くてどんどん読んじゃうけど、読み終えても「人生とは?」みたいな凝りが残ってて、ちょっと息苦しい。 落ちたいときには最適かも! |
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「人のセックスを笑うな」 山崎ナオコーラ著 第41回文藝賞受賞作品。 とても久しぶり・・・本を読んでいなかったわけではないが、書く暇がなかった、と言い訳しておきます まず率直な感想を、大変読みやすい小説でした・・・ 豆腐みたいな小説・・・ 豆腐好きにはたまらないかも知れないが、もっと歯ごたえのある憎々しい内容の方が個人的には好き ペンネームとタイトルで結構期待していたが、ここ最近の文藝賞好みの作風? ただ読み終わってから物足りないと思える作品は、自分がその作品に魅せられていた証拠。 きっと心の何処かで共感する部分がたくさんあって、それが形になる前に物語が終わってしまう、そんな未練にも似た感覚かも・・・ 是非次の作品を読んでみたい、そう思う |
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「手鎖心中」 井上ひさし 著 江戸・深川の材木問屋伊勢屋の若旦那・栄次郎は、「絵草紙の作者になって、他人を笑わせ、他人に笑われ、それで最後にちょっぴり奉られもしたい」という願望を持っている。 ある日(山東)京伝店の煙曲(煙草の煙を使った曲芸)会で、絵草紙作者を目指す与七、清右衛門、太助と出逢う。どうしても絵草紙作者になりたいが才能がない栄次郎は、三人に絵草紙を書いてもらったものの、案の定作品は売れない。 そこで、親に無理やり頼み込んで勘当してもらい、入婿となる。読売り(かわらばん)を買収して、自分の愚行を宣伝させる。吉原の女に溺れて婿入り先を追い出される。お上(幕府)の批判を書いた絵草紙を売り出し、賄賂を役人に渡して手鎖をかけてほしいと頼み込む。果ては鎖をかけたまま、人前で心中を企てる――。 金持ち息子の道楽話かと思いきや、そうではない。栄次郎のバカっぷりは、あきれるというより、拍手を送りたくなるほど純粋で可愛い。 まるで落語の寄席を見ているような、歯切れがよく軽妙な文章は最近ドラマであった「タイガー&ドラゴン」を思い出させる。 何となく、読みながら現代版手鎖心中を頭の中で考え、一人にやりと笑みをこぼしてしまう・・・ 言ってみれば現代は若旦那で溢れている。 太宰に憧れ自殺してみれば少しはいいものが書けると入水してみて、死んだら何も書けなくなってしまうことにも気が付かず、満足げに一生を全うする。玉川上水はいずこへ・・・ そもそも志なんてものは裏表二つで一つみたいなもの。いいものをつくりたい、それを人に伝える。金が入って、女にもてて、長生きできれば言うことなし。 この作品を読んで他人事のように笑えない自分が少しだけ可愛そう・・・ |
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「嫌われ松子の一生」 山田宗樹 著 昭和22年、福岡県に川尻家の長女として生まれた松子の一生を描いた作品。 明るく過ごした幼少時代から教師、ソープ嬢へと職を変え、事件を起こし服役。同棲した男に裏切られたりと、不幸な人生だが、精一杯生きた松子の物語。 映画を先に見るべきか迷った末に先に本を読むことにした。 運良く友人が単行本を持っていたために拝借して読んでみた。 借り物と言うこともあって驚くほどの早さで読み終えてしまった。 前評判は色々と聞き及んでいたために、自分の中に架空の松子が存在しそれが小説を読み進めていく上でのちょっとした弊害となった。 想像していたのはもっと根本的な性悪女だった。そしてその生涯には不幸という未来しか存在しないのだと・・・ そのためか実際の松子はなかなかの幸せ者のように思えてしまった。 ただ個人的に嫌いな性格の持ち主であったため更なる不幸を願ってしまう自分がいた。 確かにその人生は壮絶と言えるが、見方を変えれば日常に当たり前にあり得る、起こり得る出来事の延長の話のように思える。松子の性格の欠点に自己中心的とあるがそれは欠点とは言えぬような気がする。利己的な考えを一切持たぬ人間に今まで出会ったことがないからである。 言ってみれば誰もがその小さなつまずきによって同じような人生を辿ることになってしまうのではないだろうか? そう考えれば松子にはそれでもなお彼女を救おうとしてくれる人間がいた。それはある意味では幸せな人間だと言うことではないだろうか? クライマックス、松子の死の真相に少し物足りなさを覚えたが、松子に対してはある種の親近感と同情が芽生え、甥と同じように裁判のシーンでは腹の底が煮えたぎっていた。 一つ何だかあまり納得できないことが残っていて、何故、甥の彼女は医者になると言いだし二人を引き裂くような展開を加えたのかが謎?本編との関わりがほとんどないような気がする。松子の人生を教訓的に現し、それを表現しているのかもしれないが、唐突すぎるような・・・ まぁ、本編にほとんど関わっていない分、それほどムキになって主張することでもないのだが・・・ |






