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ウォン融解
世界経済は、3月の金融サミットでの時価評価の緩和や財政出動の合意により、緊張方向から緩和方向に転じた。そして、懸念されていたクライスラーの破綻、ストレステストを無事に終えたことで、更なる上昇を演出している。
しかし、実体経済を表すファンダメンタルズは改善されず、デフォルトリスクは上昇を続けている。また、時価評価を緩和しても不良債権の塩漬けが可能になるだけであり、銀行の損失そのものが減少したわけではない。
サブプライム問題発覚以降、特にリーマンショック以降、世界の金融当局は積極的な利下げと量的緩和により、通貨の流通量を増加させ、市場の縮小を緩和しようと必死の政策を採ってきた。
レバレッジにより積み上げられた信用マネーが縮小、これが世界中の資産の劣化を招いていた。世界の金融当局はこれ以上の経済縮小を阻止する為に、量的緩和や利下げを行い、バーチャルマネーをリアルマネーに置き換えたと言えよう。
例えば、信用マネーは、元資産となる不動産、それを担保にして借り入れた資金、その資金を原資に投資された債権や株式などと言う形に何倍も膨れあがっていた。この資金の多くは信用により築き上げられた物であり、実体のある物ではない。
今回の金融危機では、信用のベースになる不動産価値が減少、さらに金融破綻などにより債権価格が下落し、負のスパイラルを引き起こし、これが大規模な経済縮小を招いたわけである。そして、人のお金を預かる銀行などの金融機関は、膨大な評価損により苦しめられ、自己資本の確保に奔走したのである。
しかし、金融サミットで時価評価が緩和され、銀行の自己資本確保の圧力が低下、結果として、手元資金が潤沢になり、投資を出来る体制に変化した訳である。当然、銀行としては、赤字からの脱却のため、運用益を出さなければならず、これがハイリスクの投資を促進している。
但し、世界的な実体経済は悪化を続けており、市場の資金の長期化が出来ない状況が継続、キャリートレードなどリスクに対して収益性の高い投機のみが増加するというアンバランスな資金動向を形成している。
簡単に言えば、投機色が強いホットマネーが急増したに過ぎない。
当然、国際的なホットマネーは、韓国にも流入し、これが資金流入に伴う為替と株価の上昇を促進している。しかし、このような投機性資金は流動性が高く、将来のキャピタルフライト要因にも成り、非常に危険な物である。
国際的な市況の反転で、非常に大きなキャピタルフライト圧力と変化する可能性が高い。
また、韓国国内の資金動向に関しても、金融危機に対応する為、利下げと量的緩和で市場のウォンの流通量を増加させており、これが国内の短期流動性資金の増加を招いている。
海外から流入するホットマネーと、国内の過剰流動性、この2つの圧力が韓国のインフレを促進している。
理論的には、ウォン高になれば、輸入価格が低下し、インフレ圧力を低下させるが、この影響が現れるまでには一定の時間が必要となる。しかし、韓国にとってウォン高が諸刃の剣である。なぜなら、輸出企業の競争力を低下させる大きな要因となり、実体経済の悪化を招く要因となる。
そして、急激な為替変動は、企業と国内経済の体力は大きく奪う要因であり、これが韓国企業の破綻リスクを拡大させる要因となるだろう。
一時的には、ドルの流動性リスクは改善方向に進んでいるが、逆に実体経済悪化に伴う輸出企業の破綻リスクにさらされることになっている。
外需依存が強い韓国が経済危機から脱却する為には、世界的な需要の増加と国内の経済構造の改革が必要である。しかし、新興国への長期投資は限定されており、この先、この問題が解決されることはないだろう。
現在は、一時的な資金ショートによる破綻から、経済構造による破綻に駒が進みつつあるといえるだろう。そして、経済構造による破綻は、韓国の内部の資産を食い尽くし、再生可能性を低くするものとなる。
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