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空海のタントラ「仏教」とチベット(25)090407 [ 空海のタントラ「仏教」とチベット ]
=チベットが近年、独立国であった事実はあったか<3>=
1.次に、

「中国軍のラサでの駐留は、元々貧しかったチベットの経済を圧迫したため、中国軍とチベットの民衆との対立が深まり、ついに一九五九年に「チベット動乱」が勃発、ダライラマ十四世はインドに亡命し、チベットは中国に併合された」(参考文献1;p.425-426)

と言う点はどうか?

1.ここで中国側の説明を紹介し、両者を付き合わせることも大切だろうが、実は少々自分でもだれて来た感がある。読者の皆さんも御付き合い下さり有り難いが、余り御疲れの感を抱いて頂いてはならぬ。そこで結論だけ述べる。中国中央政府は、チベットの運営はダライ・ラマ政府の自治に任せた。それは、彼らが民衆の生活を徐々に向上させることを約束したからである。ところがダライ・ラマ政府は全く約束を守らなかった。これは中央政府に取り、ショックなことだった。

つまり、清朝が初めダライ・ラマを信じ、手ひどく裏切られたのと同じことが起きたのだ。共産主義者とは別に宗教に詳しい訳ではない。フランス革命の前、貴族・僧侶・資本家は共同して農民から搾り取っていた。貴族は剣で農民を支配し、カトリック僧侶は「年貢を完納しないと地獄に落ちるぞ」と脅した。マルクスは「宗教は阿片だ」と述べた。革命の後も、カトリック僧侶の一部は何度も「革命政府を倒さないと地獄に落ちるぞ」・「今立たないと天国に行けないぞ」と農民を脅して反革命の武装蜂起を組織してきた。だが徐々にカトリックは新社会に適応していった。

中国共産党のダライ・ラマ政権への見方も当初は、この程度のものだったと考えられるのだ。「秘密金剛乗」なるものが一般の宗教に比べ特に大きな問題が含まれているとの考えはなかったと思われる。それを知ったのは、彼らがチベット住民を脅迫して1958-9年の大規模な蜂起を引き起こし、更にそれを鎮圧後、ポタラ宮殿に踏み込んだ時である。

ダライ・ラマ政権は、いよいよ中央政府が本気になってチベット住民の生活向上を実現しようとしていることを知った。これでは今までの農牧民から甘い汁をたらふく絞り取り続ける状態を多少は変えなければいけなくなる。中央政府は現状をいきなり大きく変えるのではなく、徐々に変えていくことを実行しようとしたのだが、それさえも彼らは我慢の出来ないことだったのだ。

しかも彼らは、武装蜂起が成功するとさえ考えていたのだ。それが失敗して彼らが外国に逃げ出した後、人民軍が彼らの本拠に踏み込んだ時、兵士達は「あっ!」と驚いた。既に1958年には、

「一九五八年春になると、青海省・甘粛省内のチベット族地区では、自覚した農・牧民の間に、小作料引き下げ、利息引き下げ、ラマ寺院内の裁判所と牢獄の廃止、ラマ僧の還俗帰農の自由などの民主改革運動が広がった。青海省牧畜区都蘭県の大衆は立ち上がってラマ寺を捜査した。香日徳寺内から虐殺された農奴の頭蓋骨一〇個、農奴の切り取った手や足でつくった笛、隠匿した多数の武器などをあばき出した」(参考文献3;p.132)。

更に、「人骨の数珠」(同p.58)も発見された。「寺院建設のために、子供を箱づめにして人柱に」ラマ僧がしていたことも発見された(同p.64)。

1959年には「人民解放軍は、二〇の班にわかれて、深く高原のなかにはいり、農・牧民協会を援助して・・いたるところで、農・牧民協会は、領主やラマ寺の牢獄を解き放ち、笞や拷問道具を没収し、おそろしい程巨額な小作料や借金利子の証文や、強制労働・奴隷労働の契約書を焼いた。農奴や牧奴は、凱歌をあげて、一〇〇〇年の鎖をうちこわした」(同p.135)。

こういうナチス張りの悪逆・非道を重ねてきたダライ・ラマ14世には、そもそも「自治」だの「民主」だのと語る資格は全くないと断言出来るだろう。彼らの責任は、虚偽を重ねるのを止め、真実を語り、歴史のゴミ箱の中に消えていくことのみである。

1.また、彼らの中国政府に対する信用は自らの自業自得により一切皆無と言えるだろう。従って所謂「高度な自治」なるものも認められるはずもなく、現状のままでダライ・ラマ14世がチベットに帰国すればそれは認められるだろうが、帰国しないで外国で死んでしまえばチベット内では中国政府と友好的な新たな法王が立てられるだろうから、何れにせよ一件落着だ。

次回は、今後の中国民主化の展望を予測する。

参考文献:
1.「中央ユーラシア史」(小松久男編/2005/山川)
2.「中央アジア史」(江上波夫編/1987/山川)
3.「チベット-その歴史と現代」(島田政雄/1978/三省堂)
4.「ブリタニカ国際大百科事典12」(F・B・ギブニー編/1993/TBSブリタニカ)
5.「ヤングハズバンド伝」 (金子民雄/2008/白水社)
6.「改訂新版 チベット入門」(ペマ・ギャルポ/1998/日中出版)
7.「赤いチベット」(R・フォード/1959/新潮社)

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