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書庫安岡HP資料編

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1.今回、書評と銘打ったが、とても書評などと言えた物でない点は初めに謝罪しておく。どう名付けて良いか困り、とりあえず書評としておく。この本の評価は難しい。書かれていることが事実かどうか分からないためだ。そこで初めは、次の実験を行うことにした。

○ファブリーズを買ってきて部屋に撒き、実際に目が痛くなるかどうかを確認する。
○舌でなめてみて、病院の消毒液(昔の小・中学校で、便所の前に洗面器に入れて置いてあった物)の味がするかを確認する。
○蟻を捕まえてきて、半分くらい漬けて置き、死ぬかどうかを実験する。

だが良く考えると、自分の健康に悪いだけでなく、金も時間も掛かる。そこでやめることにした。だからこの本に書かれていることが真実かどうかは分からない。ただ、これが事実だとしたら大問題なので、消費者庁も発足したことだし関係者の注意を喚起致したい。

1.どういうことが書かれているのか?最近、TVのCMで部屋にさっと撒くだけで悪臭がさっと取れるという便利なものが宣伝されている。それは、

P&G社の「ファブリーズ」・
花王の「リセッシュ」

などである。著者によれば、これらの製品には主に3種類の成分が入っている。
「1」悪臭に対する吸収剤、若しくは吸着剤、
「2」香水、
「3」第4級アンモニウム塩("Quat" とか、逆性石鹸とも呼ばれる)。

このうち「1」は、ファブリーズの場合はトーモロコシ由来のもので、リセッシュの場合は緑茶由来のものである。これらは悪臭成分を吸着する力があり、天然物の成分を使うため消費者の受けも良い。だが著者に言わせるとこれらの消臭力は低く、そこで「2」の香水を使うのだという。

更に著者が問題視するのは、「3」の逆性石鹸である。これは著者の説によると、現在も病院で消毒薬として使っているものの仲間だと言う。飲むと嘔吐、下痢、筋肉の麻痺、中枢神経の障害などが起きる可能性があると言う。

尚ついでに言うと、著者の説によると小林製薬のスプレー式消臭剤「バクテリート」・「トイレその後に」もやはり第4級アンモニウム塩を入れているという。

1.私の考えでは、矢張りこのような商品は意味があるのではなかろうか?著者はきちんと掃除をすればこのようなものは必要ないとかかれているが、又スプレー式の消臭剤でごまかしても悪臭の原因はほとんど取れてないから不衛生になるだけだとも言われているが、忙しい現代人に取り、とりあえず消臭剤でごまかしておくと言うことは必要な場合もあると思われる。

だが私が問題だと思うのは、TVのCMのやり方を見ると、さっと撒くだけで悪臭が消えると言う便利さを強調し過ぎている会社もあり、あれでは製品のプラスの部分は分かるが長く使えば消費者の健康が冒されるという負の部分が分からないのではないかを思うのである。又会社によっては、製品の成分を全部表示していないものもあると著者は言う。特に逆性石鹸が使われている点がこれまでほとんど知られていなかった会社も存在する。

それは著者によると、新しい分野の製品のため法的義務付けがないためだという。

「洗濯用洗剤や台所洗剤には、成分がすべて具体的に書かれています。なのに、なぜ、「ファブリーズ」には書かれていないのでしょうか?それは、法律によって表示が義務付けられていないからなのです」(同書p.22)。

これでは消費者は自分の健康を守ることは出来ない。仮に著者の書いておられることが全部真実ならば、法律による義務付け以前に、現在でも刑法の業務上過失傷害罪に該当すると考えられるのである。

だが、本当に著者は事実を書かれているのだろうか?ここでも私は大きな疑問を持っている。蚊取り線香も健康に悪いとかかれているが、それでも私は矢張り蚊取り線香を使うだろう。だが念のため著者の主張も紹介すると、蚊をやっつけるためにはインターネットなどで通販されている乾電池入りの電撃式ラケットで、蚊を叩くと落下させることが出来ると言う。

1.ここに書かれていることが本当なら大変なことであるが、逆に事実と違うならこれも大問題で、せっかく多くの会社が苦心して便利なものを売られているのに誹謗中傷で妨害することは絶対に許されない。断固たる処断を関係者に望みたい。それはともかく、消費者庁も発足した。この問題にどう対処されるのか注目されるし、是非消費者庁は調査を検討して頂きたい。

参考文献:
「ファブリーズはいらない」 (渡辺雄二/2009/緑風出版)
参考記事:
新政権への提言集
http://blogs.yahoo.co.jp/oyosyoka803/40113899.html

オバマ『合衆国再生』感想と紹介6.(080604) [ 米国 ]
1.第8章「アメリカの対外政策」。
あまり詳しく書くと本が売れなくなっては大変なことになる。既に書きすぎたのではないかと恐れる。だが本日、ついにヒラリー候補が撤退するらしく、オバマ候補が米国大統領に一歩近付いた。そこで、若し書き残したことで重要なことがあれば簡単に記しておこうと思う。

ここの章で分かることは、予想以上にオバマ氏が戦争中毒にかかっているということだ。

・レーガン大統領の大軍拡が成功してソ連を崩壊させたのだとし、先見の明があったとする。
「ベルリンの壁が崩壊したとき、私はあの功績を認めざるを得なかった。彼に票を投じたことは一度もなかったにせよ」(p.327)。
「レーガンが行なった軍備増強の規模については異論があるが、ソ連がアフガニスタンに侵攻した状況を考えれば、軍事的に常にソ連の上を行くのは分別ある方策だったような気がする」(p.327)。

・オバマ氏がイラク戦争に反対したというのも、それほど大きく見解の違いがあったわけではない。
「だが、私は戦争反対が当たり前とは考えていなかった。・・私もサダムは生化学兵器を持っていて、核兵器の保有を望んでいると思っていた。。サダムは国連決議と兵器査察を繰り返し嘲笑してきたし、そういう振る舞いには報いがあってしかるべきだと思っていた。サダムが自国民を殺戮したことに疑問の余地はない。あの男がいないほうが世界とイラク国民は幸せだと、信じて疑わなかった。
しかし私はこうも感じていた。サダムのもたらす脅威は差し迫ったものではないし・・外交努力・・軽率な単独軍事行動の道を選んだら、アメリカは・・幅広い支持基盤を確立する機会を失うに違いないと思っていた。
だから、私は演説した。・・この演説は好意的に受け止められた。・・しかし・・遂に侵攻が始まり、アメリカ軍は妨害を受けずにバグダッドを行進し、サダムの銅像がよろけて倒れ・・を見たとき、自分は間違っていたのではないかという疑いが頭をもたげてきた」(p.333-334)。

「明日イラクから引き上げたとしても、現在の国際的秩序で支配的立場にあることを考えれば、やはりアメリカ合衆国は標的になる。・・アメリカをもっと安全な場所にしたければ、好むと好まざるとに関わらず、世界をもっと安全な場所にすることに力を貸す必要がある」(p.345)。

「私達は北朝鮮やイランのようなならず者国家がもたらす脅威を管理し、中国のような潜在的ライバルが突きつける挑戦を受けられるだけの優勢な戦力態勢を維持する必要がある」p.348)。

只、オバマ氏の場合は知性と感性が発達しているから、幅広い意見を理解する力がある。また「大胆さ」を売り物にしているように、思い切りのよい行動も取れる。だがそれが世界平和の方向に働く保証はなく、軽はずみな性格もあるし、いざとなると自己を過信する所もあるから非常に政治家として怖い。第3次大戦の引き金を引く可能性もある。結局この人は、文学者としては優れているだろう。文章も・演説も旨いだろう。行動力も発達している。だが政治家としては古いタイプの人と余り変わるところが実はなく、妥協的で、私が見るところでは90%はこれまでと同じ。後の10%はいい方向への変化も・悪い方向への変化も両方ありうるから結局、期待の出来る人ではない。

1.第9章「家庭と生活」。
この章がかかれた目的は、1つには米国で家庭の崩壊が激しく、家庭をどうするかが政治の争点となっているからだろう。もう1つは自分の家庭を売り込むことでの選挙戦術だろう。この人はいつも周りの人に気を使っているのだが、自分の奥さんに対しても非常に気を使いすぎている為、一見正直に書かれているようで何処まで本当のことが書かれているかは分からない。

米国保守派との争点を、自分の家庭のエピソードと混ぜながら書いているため、結構楽しめる部分ではある。結論はいつものばら撒きの宣伝である。

エピローグの部分は、内容的には勉強になる部分はないが、オバマ氏の内面に興味ある方は一読の価値があるだろう。(完)

参考文献:
『合衆国再生』(2007/バラク・オバマ/楓[かえで]書店)

オバマ『合衆国再生』感想と紹介5.(080527) [ 米国 ]
1.第7章「人種間のカベ」。
この本の、極めて内容希薄な中で、この章はやや読み応えがある。そこで若しかしたら今回の記事は長くなるかもしれないし・そうでないかも知れないが、肝心なことを全部書いては本が売れなくなる。営業妨害になるので、絶対にそれだけは避けなくてはならない。ほとんど書くべきことは書かれていない点は、あらかじめご了承願いたい。

1.オバマ氏の『マイ・ドリーム』は間違いなく自伝文学の傑作だが、この選挙用の本とも言われる『合衆国再生』はどう見ても百年後読まれるようなものではない。だが、歴史学者が21世紀を振り返るとき、或いは1つのデータとして、参考文献の1つに数えられているかもしれない。現代日本人が、今の米国をリアルに眺める必要があるときも、参考文献になるに違いない。

それはどういうことかというと、1つには、米国内での黒人差別の今現在の実情が分かることである。それは次のようにまとめられる。

1*2050年ごろ、米国人口の過半数は白人でなくなる。ヒスパニックが非白人の中で最多になると考えられる。
ところで、本の内容から外れるが、ヒスパニックは普通日本人は、白人であるスペイン人などの子孫であるか、その混血と思っているが、実はそうではない。彼らは実はインカ・マヤ文明などを築いたインデアン(黄色人種)の子孫なのだ。彼らは非常に頭が良かったし、高度な文明段階にあった為、スペイン人が侵入した時いち早くその優秀性に気付いた。そこでその言葉を習得するだけでなく、更に様々に系図まで偽造し、スペイン人の子孫と名乗ったのである。これが中南米インデアン絶滅の真相である。つまり中南米とは、ブラジル・ウルグアイ・アルゼンチン・キューバ・コスタリカが白人中心の国。カリブ海の島々はほとんど黒人国。それ以外は(フォークランド島のような英国人の住む島を除き、また英国植民地だったとき移入した印度人の子孫や黒人の多いギアナ地方を除けば)全部黄色人種の国なのだ。
ついでに述べれば、カリブ海の島々は黒人と他人種の混合といわれているがこれも嘘。事実はほとんど黒人国。又現在のギリシャ人は古代のギリシャ人の子孫ではなく(彼らはとっくに滅びた)、実はロシア人だ。また、ロシアやギリシャと対立した小アジア半島を中心とするトルコ人もロシア人だ。つまり、祖先に1人でも男性のギリシャ人やトルコ人がいれば、後の99%が南下したロシア人でも(男系主義の為)ギリシャ人・トルコ人というアイデンティティが出来、文化・言語が受け継がれ、戦争まで引き起こす対立が生じている訳だ(現代ギリシャ人が実はロシア人であることは、19世紀からいわれてきたが、次のものを注意深く読めばお分かりになろう;『新版 世界各国史17 ギリシャ史』桜井万里子編/山川出版社/ 2005)。

2*黒人への差別は現在は過去に比べれば相当に薄まっている。
3*だが黒人は「日々の仕事の中でよく言っている。余分の重荷を背負わされている感じがする、と」(p.265)。つまり同じことをやっても黒人への評価は低い。
4*黒人への差別をなくす上で、過去の公民権運動の成果が重要だった。つまり、この成果を下敷きとして、分厚い層としての黒人実業家・中流階級・上流階級が既に存在している。オバマ氏が始めて選挙を初め何かするとき、必ず支援の手がここから上がった。この様に、過去の運動の成果が目に見えるように描かれている点が新鮮なところだ。

「私が予備選中に調達した最初の五〇万ドルの内、半分近くは黒人の企業経営者や知的職業人からのものだった。シカゴで最初に私のキャンペーンを紹介してくれたのは、黒人の所有するラジオ局WVONだったし、最初に私を表紙に飾ってくれたのは、黒人が所有する時事週刊誌アンディゴだった。何度か社有のジェット機を借りる必要が生まれたとき、それを貸してくれた人の中には黒人の友人もいた。
一昔前にはこういう引き受け能力は存在しなかった。・・
現在のシカゴには、医師や歯科医や弁護士や会計士といった知的職業についている黒人がごまんといるだけでなく、シカゴの実業界で最高の経営的地位についている黒人もいる。レストラン・チェーンや投資銀行、広告代理店、不動産投資トラスト、建築事務所を所有する黒人もいる。彼らには、自分の選んだ地域に住み、子供を最高の私立学校に通わせられる経済的な余裕がある。彼らは積極的に市民会議に参加し、広い心で様々な慈善活動の支援に当たっている。・・
メリルリンチ・シカゴ支店のトップ債券セールスマンだった私の友人が投資銀行を立ち上げる決意をしたとき、彼の目標は自分の銀行を黒人の会社で一番にすることではなかった。・・別の友人がゼネラルモーターズ(GM)の管理職の地位を捨て、ハイアットと提携して駐車サービス会社を立ち上げようと決意したとき、彼の母親は気が狂ったのかと思ったそうだ。「母にはGMの管理職を手にする以上のことが想像できなかったんだね」」(p.270-271)。

5*「黒人中流階級が一世代の内に四倍に増え、黒人の貧困率が半減した」(p.272)。
だが、「黒人の平均賃金は白人の平均賃金の七五パーセント・・。白人の平均純資産が八万五〇〇〇ドルに対し、黒人の平均純資産は凡そ六〇〇〇ドル・・。
だがこれが差別のせいなのかどうか、オバマ氏の本を読むかぎり私は非常に疑わしいと思う。
「テレビの過剰な視聴(平均的な黒人家庭は一日に一一時間以上テレビをつけている)、毒物の過剰な消費(黒人は沢山タバコを吸い、たくさんファストフードを食べている)、学力を重視する姿勢の欠如・・。
次に、両親のそろった黒人家庭の崩壊の問題がある。この現象は残りのアメリカ社会に比べて驚異的な割合で起こっていて、かつて程度の差だったことが質の差になろうとしている。黒人男性の性と子育てへの無関心を反映した現象でもあり・・全く言い訳の余地がない」(p.275)。

「・・「変わったのはそこだ・・こういう子たちの態度だ。・・母親たちも何もいえない。彼女たち自身、その多くは子供だからだ。父親は刑務所にいる。あの子らを導いて、学校に通わせ、敬意を教え込む人間がまわりにいない。だから、あの子らは基本的に路上で勝手に育つ。麻薬の売買以外、ここには何の仕事もない。・・だから(まともな人間は)、チャンスをつかむと同時にここから出て行く。状況はさらに悪くなるだけだ」」(p.282)。みな、「自分が三〇歳まで生きることはないだろう」(p.283)と思っている。

「もう、いわゆる”最下層”のイメージはいたるところに定着し、アメリカの大衆文化では永遠の定番になっている。テレビと映画では法と秩序の引き立て役となり・・。知れわたった貧しい黒人の暮らしは同情を呼び覚ますどころか、発作的な恐怖とあからさまな軽蔑を生む出してきた。そこから醸造されたのは、主に無関心だった。黒人の男はアメリカの刑務所に詰め込まれ、黒人の子供は字を読めなかったり暗黒街で銃弾を食らったりし、黒人のホームレスは首都の公園の地べたで寝ている。それが自然の法則であるかのように、私たちはそういったイメージに慣れ、悲劇的な状況かもしれないがそれは自分達の責任ではないし、きっと変えることが出来ない状況なのだと考える。・・
保守派のシンクタンクは、黒人が貧しいのは国家の経済に根付いている人種差別や構造的不平等のせいではなく文化的に病んでいるからだと主張しただけでなく、生活保護のような政府の計画が、犯罪者を甘やかすリベラルな判事たちと相まってそういう病を悪化させたのだと主張した」(p.284)。

ヒスパニックが大量に米国になだれ込んできたとき、初め黒人は自分達の仲間が出来たと考えた。1980年代には様々な改革運動で黒人とヒスパニックは提携していた。ところが1990年代、この関係が大きく変わった。それは、ヒスパニックは黒人よりも一生懸命働くということが原因だった。その為黒人は仕事がなくなっていったのである。

「議員は微笑んだ。「率直に言おう、バラク。メキシコ人の方が一生懸命働こうという意欲が高いんだ」」(p.300)。

6*ではこれらをオバマ氏はどう変えようというのだろうか?聞くべき事を語っている。
つまり、黒人の為に何かやる、まだまだ差別はあるのだからそこで何かやるという方法ではもう駄目なのではないかという。全国民を対象とした、国民全体が良くなるような、国を良くする政策が実現してこそ、黒人もよくなるという。

「白い肌を持つアメリカ人のほとんどは、自分は差別に加担したことなどないと思っている。自分には自分の心配すべき問題がたくさんあると持っている。国家債務が九兆ドル近くにのぼり、年間の財政赤字が三〇〇〇億ドルに近いいま、アメリカにそういう問題で国民を助けられる資源はほとんどないことも知っている。
結果、マイノリティの利益にしかならず、アメリカを”われわれ”と”彼ら”に分断するような提案は」だめだと(p.278)。そういう提案は米国経済が力強く伸びている時期にはある程度通ったろうが、これからは国自体を良くする様な、例えば学校への投資などは国の活力を高めるから全国民から支持を受けられるはずで、結果的に黒人もよくなるという。ここでは、果たして学校への投資(ばら撒き)が逆効果ではないのかという疑問はあるが、中々いいことも述べていると思う。

もう1つの提案は、「犯罪者の積極的雇用の提言」(p.289)である。その成功例が紹介されている。オバマ氏が大統領になれば様々な実験が行なわれるようだ。その結果を見守りたい。
(続く)

参考文献:
『合衆国再生』(2007/バラク・オバマ/楓[かえで]書店)

オバマ『合衆国再生』感想と紹介4.(080525) [ 米国 ]
1.第6章「宗教問題」。
オバマ氏は、両親ともに無神論者だった。母親について次のように書いている。

「しかし、非宗教を公言してはばからなかったにもかかわらず、いろんな意味で、母は私の知る中でも最も精神的に覚醒していた人だった。優しさや慈悲や愛に対するゆるぎない本能を備え、その本能に基づいて人生の大半を生きていた・・。宗教の支えや外部の権威の助けを借りなくても、母はたくましく仕事をし、多くのアメリカ人が教会の日曜学校で学ぶこと、つまり、嘘を付かず、思いやりをもち、節操を失わず、性急に満足を求めず、一生懸命勉強したり働いたりするといった価値観を私に教えてくれた。貧困と不正に激しい怒りを抱き、どちらにも無関心な人を軽蔑していた。
何より母は、驚きの気持ちをいつも失わず、生命とそれがもつ貴重なはかなさに、敬虔という表現がぴったりの敬意を抱いていた。一日を過ごす中で、絵画に出会ったり、詩の一説を読んだり、音楽を耳にしたりして、よく目に涙を浮かべていた。成長期の私を真夜中に起こし、目を見張るような飛び切り美しい月を見せてくれたり、夕暮れ時に一緒に歩いているとき、私に目をつぶらせて木の葉のサラサラいう音を聞かせてくれたりした。・・いたるところに不思議を見、生命の不可思議さを楽しんでいた」。

私にはオバマ氏の母は高度に宗教的な人だったとしか考えられないが、その後オバマ氏がいかにしてキリスト教徒になったかが語られている。一言で言えば、明治時代の日本人が米国の宣教師に布教を受けたのと同じ方式だった。つまり、教会が様々なボランティア活動や社会改革運動を行っているのに先ず心を引かれ、一緒に活動する中で洗脳されたということである。元々母親の影響で本当のところは宗教的な人だったし、現実に神を信じることでより自己の力が引き出され、熱意を持って活動している人が多い現実を見れば、もともと本当に神が存在するかどうか考えることが最も重要な関心を引く型の人間でもなかったため(要するにあの世のことよりこの世のことにしかほとんど関心が元々ないため)、周りの人が圧倒的に神を信じているのだから自分も本当に神を信じてしまうといういい加減さだ。彼は本当に信心を持っているのではあるが、非常にもろいものであることも事実だと思う。

米国で圧倒的にキリスト教の力が強い現実の中で、どうすれば聖書の言葉が100%正しいと信じる人を敵に回さず、味方に付けていけるかという方法というか戦術が述べられている。中々リアルだ。又大切なことは信教の自由を守ることだという。独立戦争後、米国憲法に信教の自由が書き込まれたのは、独立の父祖の一部に啓蒙主義者がいたためだけではないという。当時は少数派だった福音主義教会[現在はむしろ主流]が、当時の13州の南部で強かった英国国教会・北部で強かった会衆派教会[当時”ピューリタン”と呼ばれたものの主流]の迫害を受けており、それらが国教化されるのではないかと恐れた為だと。

「・・宗教的少数派である彼らは、自分達の信仰の実践が国の後ろ盾を受けた宗教に侵害される可能性を恐れていたし、それだけでなく、国から強要を受けたり支援を受けたときには宗教の活力は必ず衰えるとも考えていた。(当時のピューリタニストからさえ「過激派」と考えられていた福音主義者の、更にその中でも過激派だったバプテスト派の)リーランド師の言葉にこういうのがある。「とんでもない誤りだ。真実を支えるのに政府が必要だなんて。政府の介在がないほうが真実は上手に働くものだ」」(p.243)。
(続く)

参考文献:
『合衆国再生』(2007/バラク・オバマ/楓[かえで]書店)

オバマ『合衆国再生』感想と紹介3.(080524) [ 米国 ]
1.第5章「再生のための政策」。
ここが大統領選を睨み、公約を並べた部分の中心と考えられる。だが既に「『オバマ語録』紹介・分析080410」でほとんど政策の基本の紹介は終わっているため、そこにもれたものを中心に紹介する。

・「大恐慌の教訓」(p.167)
「フランクリン・ルーズベルトがこれらの法律を通過させた理論的根拠の中には、ケインズ経済学にまっすぐ源をたどれるものもあった。不景気を解決する方法は、アメリカの労働者のポケットに自由に使える収入をもっとたくさん入れてやることだ」(p.169)。
しかし更にオバマ氏は大きな政府の行き詰まり。そこからレーガン政権の実験と更にその行き詰まり。そこでクリントン政権のやった折衷案以外ないとし、
「抑圧的な国営経済か無秩序で容赦のない資本主義かの選択肢しかないわけではない」とする(p.173)。つまり「リンカーンの簡潔な金言にたどり着く・・「政府が介入するのは個人や民間では政府ほどうまく行なえないことだけでいい」」(p.174)。

・「米国の都市部と田舎では・・多くの学校が生徒数の多すぎる教室や時代遅れの教科書・・基本的な設備の費用を自分のポケットから出さざるをえない教員もいる」(p.176)。
「経験豊かで資格と能力たっぷりの教員が、職業人生の最盛期に一〇万ドルの年収を手にしていけない理由がどこにあるだろう?」(p.178)

・グローバル経済について:
「CAFTA(中米自由貿易協定)をめぐって議論が戦わされている最中に、ニューヨークに立ち寄ったとき・・ロバート・ルービンに話を聞いた。かつてクリントン政権で財務長官をつとめた人物で・・。彼は何十年かにわたり銀行家としてウォール街指折りの大きな影響力を振るった・・。そして、私の知るなかでもきわめて思慮深く控えめな人物でもあった。だからわたしはたずねてみた。ゲイルズバーグでメイタッグ社の労働者たちから聞かされた不安、たとえば、自国よりずっと賃金が安い世界の労働者との競争を全面的に受け入れた場合、長期的に見て、アメリカの生活水準の低下は不可避ではないかと。
「それはむずかしい問題だ」ルービンは言った。「おおかたの経済学者は、人間の知恵に限りはないのだから、アメリカ経済が新たに生み出す高収入の仕事の数にもあらかじめ決まった限界はない、というだろう。人々は新しい産業と新しいニーズと新しい欲望を発明する。その経済学者たちは多分正しい。歴史的にそうだったしね。もちろん、そのパターンが今回も続く保証はない。技術が刻一刻と変化していき、競合する国々が大きく、その国々とコストの格差があることを考えれば、別のパターンを見ることになるかもしれない。だから、私たちが正しいことをすべてやったとしても、まだいくつか困難に直面する可能性はあると思う」
その答えではゲイルズバーグの人たちを勇気づけることは出来ないのではないか、とわたしは言った。
「私は可能性があると言ったのであって、充分考えられるといったわけではない」彼は言った。「国の財政を改善して教育制度を改善すれば彼らの子供たちは立派にやれると、私個人は慎重ながらも楽観視する傾向にある。いずれにせよ、わたしだったらゲイルズバーグの人たちに請け合えることがひとつある。保護貿易主義的な努力は全て逆効果だ。それだけでなく、彼らの子供の暮らしをいっそう悪化させることになる」
ルービンの基本的な洞察には否定しがたいものがあった。グローバル化の歩みを遅らせることは出来ても、グローバル化を止めることは出来ない。・・輸入する鉄鋼に関税をかければ、アメリカの鉄鋼メーカーはいっとき胸をなでおろすかもしれないが、製品に鉄鋼を使うメーカーの競争力が世界市場で落ちる。・・
しかし、だからといって、降参のポーズをし、労働者に自力で何とかしてくれと言っていいものか。・・
結局わたしはCAFTAに反対の票を投じ、法案は五五対四五で上院を通過。・・ホワイトハウスは自由貿易の敗者を軽視していると思っていたし、それに対する抵抗を記すには反対票を投じるしかないとわたしは考えたのだ。ボブ・ルービンと同様、わたしはアメリカの経済についても、自由貿易の環境におかれたアメリカ人労働者の競争力についても、長期的には楽観している。ただしそれは、グローバル化のもたらす負担と利益がもっと公平に国民に分配された場合に限られる」(p.192-195)。

・p.195-207では、社会保障・医療制度の強化について公約が並んでいる。

・p.207-216の最後の部分では、「いかにして財源をまかなうか」が論じられている。それは一言で言えば、大金持ちへの課税を強化することだと。つまり、米国では特にブッシュ大統領になってから、大金持ちへの減税が激しく進んだ。そこでオバマ氏は一人の大金持ちを証言させているが、何と彼にかかっている税率は平均的米国人よりうんと安いのだという。その世界で2番目に金持ちの人でさえ、何故こんなに税が安いんだろうと不思議がり、もっと高くて当たり前だといっている。

こういう大金持ちへの課税強化とは成功するものなのだろうか?確かに米国は世界でも金持ちへの課税が低いらしいから、こうしたからといって金持ちが外国へ逃げ出す可能性も低いだろう。だがオバマ氏は結局それを貧困層へのばら撒きに遣うといっているのである。余りにも安すぎる大金持ちへの税を引き上げて代わりに貧困層への税を下げるといっている訳ではない。また、「『オバマ語録』紹介・分析080410」で述べたとおり、オバマ氏は戦争に積極的で、金を今後ともどぶに捨て続けることに変わりはない。様々な公約されているばら撒きは実に半端でないのである。
だからオバマ大統領が実現すれば、結局米国は破局へ向かうだろう。
(続く)

参考文献:
『合衆国再生』(2007/バラク・オバマ/楓[かえで]書店)

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