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オバマ『合衆国再生』感想と紹介6.(080604) [ 米国 ]
1.第8章「アメリカの対外政策」。
あまり詳しく書くと本が売れなくなっては大変なことになる。既に書きすぎたのではないかと恐れる。だが本日、ついにヒラリー候補が撤退するらしく、オバマ候補が米国大統領に一歩近付いた。そこで、若し書き残したことで重要なことがあれば簡単に記しておこうと思う。
ここの章で分かることは、予想以上にオバマ氏が戦争中毒にかかっているということだ。
・レーガン大統領の大軍拡が成功してソ連を崩壊させたのだとし、先見の明があったとする。
「ベルリンの壁が崩壊したとき、私はあの功績を認めざるを得なかった。彼に票を投じたことは一度もなかったにせよ」(p.327)。
「レーガンが行なった軍備増強の規模については異論があるが、ソ連がアフガニスタンに侵攻した状況を考えれば、軍事的に常にソ連の上を行くのは分別ある方策だったような気がする」(p.327)。
・オバマ氏がイラク戦争に反対したというのも、それほど大きく見解の違いがあったわけではない。
「だが、私は戦争反対が当たり前とは考えていなかった。・・私もサダムは生化学兵器を持っていて、核兵器の保有を望んでいると思っていた。。サダムは国連決議と兵器査察を繰り返し嘲笑してきたし、そういう振る舞いには報いがあってしかるべきだと思っていた。サダムが自国民を殺戮したことに疑問の余地はない。あの男がいないほうが世界とイラク国民は幸せだと、信じて疑わなかった。
しかし私はこうも感じていた。サダムのもたらす脅威は差し迫ったものではないし・・外交努力・・軽率な単独軍事行動の道を選んだら、アメリカは・・幅広い支持基盤を確立する機会を失うに違いないと思っていた。
だから、私は演説した。・・この演説は好意的に受け止められた。・・しかし・・遂に侵攻が始まり、アメリカ軍は妨害を受けずにバグダッドを行進し、サダムの銅像がよろけて倒れ・・を見たとき、自分は間違っていたのではないかという疑いが頭をもたげてきた」(p.333-334)。
「明日イラクから引き上げたとしても、現在の国際的秩序で支配的立場にあることを考えれば、やはりアメリカ合衆国は標的になる。・・アメリカをもっと安全な場所にしたければ、好むと好まざるとに関わらず、世界をもっと安全な場所にすることに力を貸す必要がある」(p.345)。
「私達は北朝鮮やイランのようなならず者国家がもたらす脅威を管理し、中国のような潜在的ライバルが突きつける挑戦を受けられるだけの優勢な戦力態勢を維持する必要がある」p.348)。
只、オバマ氏の場合は知性と感性が発達しているから、幅広い意見を理解する力がある。また「大胆さ」を売り物にしているように、思い切りのよい行動も取れる。だがそれが世界平和の方向に働く保証はなく、軽はずみな性格もあるし、いざとなると自己を過信する所もあるから非常に政治家として怖い。第3次大戦の引き金を引く可能性もある。結局この人は、文学者としては優れているだろう。文章も・演説も旨いだろう。行動力も発達している。だが政治家としては古いタイプの人と余り変わるところが実はなく、妥協的で、私が見るところでは90%はこれまでと同じ。後の10%はいい方向への変化も・悪い方向への変化も両方ありうるから結局、期待の出来る人ではない。
1.第9章「家庭と生活」。
この章がかかれた目的は、1つには米国で家庭の崩壊が激しく、家庭をどうするかが政治の争点となっているからだろう。もう1つは自分の家庭を売り込むことでの選挙戦術だろう。この人はいつも周りの人に気を使っているのだが、自分の奥さんに対しても非常に気を使いすぎている為、一見正直に書かれているようで何処まで本当のことが書かれているかは分からない。
米国保守派との争点を、自分の家庭のエピソードと混ぜながら書いているため、結構楽しめる部分ではある。結論はいつものばら撒きの宣伝である。
エピローグの部分は、内容的には勉強になる部分はないが、オバマ氏の内面に興味ある方は一読の価値があるだろう。(完)
参考文献:
『合衆国再生』(2007/バラク・オバマ/楓[かえで]書店)
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