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1.現在政府は、学校・家庭への屋上日光電池発電への補助制度を強めている。多くの人々が、これにより日本のCO2対策は進むし、経済政策としても有効と感じている。
その理由は何だろうか?
1*この補助金により、メーカーの日光電池パネルが売れる。
2*作られた電気を電力会社が買うことで、石油から日光への代替が進んでいる。
3*日光発電が普及し、日光電池パネルが売れることで、メーカーが更に品質改善を行い、競争も進み、より効率的な日光発電が可能となる。
1.だが、こうした「常識」は正しいのだろうか?実はこうした「常識」は必ずしも正しくないことを次にお示ししたい。
現在、日本において日光電池発電はペイしていない。石油発電に比べ、コストが高く、日光電池で作られた電気は2-3倍高い(注1)と言われている。正確なところが分からないため、これが正しいと仮定して話を進める。また、様々なメーカーがお客サイドから見て「一般的に、15年〜30年でもとが取れると言われています」と述べていることを正しいと仮定して話を進める(注2)。一見日光は只の様だが、日光電池はコストがかかり、また寿命が有る。だから、日光電池パネルを購入した家庭はそのままでは必ず20-30年後損するようになっており、故に国が補助金を出すことで初めてトントンになるようになっている。だから、このままではどんどん国の借金が膨らんでいるだけだ。
つまり、国の持ち出しの分だけ、国民が余分に働かされているのであり、それだけの稼ぎを行なうため、石油を余分に使って働いているのである。その分を勘定に入れると、CO2は必ずしも削減されていない(日光電池は電気を作っているとき石油を使わないため、この発電方式で出るCO2はほとんど電池製造中のものだけである。そこだけを見れば、3年でCO2収支は黒字になると言われている。大体電池は20-30年は持つため、残りの17-27年はCO2を出さない発電だと言う言い方が従来はされてきた)。この点の確認を、大雑把な計算しか出来ないが行なってみよう。
=国民が余分に働かされている分も含めたCO2収支=
まず、日光電池発電で出来る電気は普通の家庭用電気の2-3倍の金がかかることを平均して2.5倍の金がかかっていることにする。すると、1.5倍の金を国が20-30年間にわたり負担していることになる(平均化して25年間とする)。つまり、日光電池パネルを取り付けると、25年間にわたり、取り付けた本人は普通に電気料金を払い(注3)、残りの1.5倍の料金を国民全体が負担していることになる(直接的な補助金がパネル設置の家庭に出ることもあれば、電力会社が高く日光電気を買うことでの付け回しもある。又電器会社への研究開発名目の補助金も含まれる;注4)。ところで、一般に普通の家庭は年間どれほどの電気料金を払っているのだろうか?(財)九州環境管理協会HP
www.fccca.jp/q_and_a/51.shtml
によると、「家庭における待機時消費電力は平均的な世帯(全消費電力量4,487kWh/年)で、9.7 %(437kWh/年)、電気料金にして約10,000円に相当します(出典:省エネルギーセンターHP)」とのこと。つまり、一般家庭は年間10万円の電気代を払っている。
処が、ここに大きな問題点が存在している。この年間10万円と言うのは全家庭の平均である。実は大金持ちはたくさん電気を使い、ほとんどの家庭は平均まで電気を使っていない。何処でもぎりぎりまで節約している。つまり、たいていの家庭は平均の半分くらいしか電気を使っていない。一方、金のある家は平均の2倍も3倍も電気を使っているのである。ここが重要なポイントだ。
さて、電池パネルを取り付けるような人は金持ちが多そうだが、一応2倍の電気を使うことにしてして年間20万円としておこう。これの1.5倍を国民全体が負担する必要があり、30万円。これだけ稼ぐためどれだけのCO2が普通出るものか?
環境省HPによると、GDP百円分稼ぐため0.3KgのCO2を平均的に日本人は出すと言う
(「世界の温室効果ガスの排出強度」(環境省/H19年4月17日)
www.env.go.jp/council/06earth/y060-53/ref03.pdf)。
つまり、電池パネルを取り付けると、年間0.3Kg×3000=900KgのCO2を25年間にわたり排出していることになるのである。
さて従来型の電気の場合、1KWhの電気を作ると、どれだけのCO2が出るものだろうか?環境省H記事
http://www.eic.or.jp/qa/?act=view&serial=18750
によると、「電力の二酸化炭素換算係数・・は0.55KgCO2/Kwh」となっている。だが、この数字を鵜呑みにすることは出来ない。東京電力の場合は0.381KgCO2/Kwhとなっている。実は、石炭で発電すると同じ電気を作ってもたくさんのCO2が出来、石油で発電するとあまりCO2が出ない。都会では石炭の煤煙が嫌われ、早くから石油や天然ガスに置き換えられた。今でも石炭で発電しているところは田舎しかない。つまり、人口の多いところはKWh当たりのCO2は低い。田舎でいくら工場で電気をたくさん使っても、今比較しようとしているのは、普通の家庭と日光電池パネルを張った家庭の比較である。そこで東京電力の数字を使うことにする。
そして「東海大学木村研究室」HP記事
「第3回 冷蔵庫の消費電力 (2008年4月13日)」
pubweb.cc.u-tokai.ac.jp/hideki/kimura-lab/iroiro/reizouko.html
にならって1kWh=22円で計算することにすると、普通の家庭は使う電気の発電で、年間(5万円÷22円)×0.381Kg=866KgのCO2を出していることになる(普通の家庭は平均の半分の5万円の電気料金を払うとして計算した)。
つまり、普通の家庭は発電で年間866KgのCO2を出し、日光電池パネルを張った家庭は発電で年間900KgのCO2を排出していることになる。あまり違わないのだ。こうなった理由として、政府のこの間の金持ち優遇政策で一部のたくさん電気を使うようになった家庭の出現と言うことがあるのだ。ただし、中国電力のように0.64KgCO2/Kwhと言ったところも存在し、そこにもやはり普通の家は存在するから、先ほどの「普通の家庭」の数字はもっと高くなる可能性が大きい。しかし、結局日光電池発電をやったところで現在のところでは大した違いが無いと言うのが私の言いたいことだ。そしてCO2だけ考えれば日光発電をやってもやらなくてもほとんど同じだが、お金のことを考えれば圧倒的に日光発電は不利である。国の借金はどんどん増える。
1.そこで、こうしたことが正当化されるとは、将来のことまで考えた時、CO2が本当に大きく減る、確実かつ急激に日光電池の品質がアップすると言う保証があって初めて言えることだ。その保証があるだろうか?
独立行政法人・産業技術総合研究所HP記事
「太陽光発電のコスト」(最終更新:2009年4月24日)
unit.aist.go.jp/rcpv/ci/about_pv/economics/cost.html
によると、
「設備の製造コストは、これまで「普及量が2倍になるとだいたい2割安くなる」という
経験則(*1)に従って推移しています(図1)。このままのペースでいくと、あと10年
しないうちに電力料金より安い価格になりそうです(*2)」。
つまり、後10年程度は日光電池で作る電気は普通の家庭用電気に比べ割高で現在は2-3倍高い状態だ。この差額が税として国民に重くのしかかり続けるわけだ。また注意すべきは、確かに日光電池発電の技術も進化するだろうが、同時に従来型の発電技術も進化するということだ。東京電力の場合は0.381KgCO2/Kwh。ところが北海道電力は0.502。東北電力は 0.510。中国電力は0.668。沖縄の場合は正確な数字を忘れたが、0.8くらいだった。だが、現在世界不況で石油・天然ガスの値段も下がっている。石炭をこれらに置き換えるのは簡単で、あっという間に大きくCO2を減らす道が開けているのだ。
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