Making Of An Architect Named おず

4月から建築専門学校の夜間部に通うことになりました。

全体表示

[ リスト ]

新日曜美術館-伊東豊雄

昨日放送されたNHK新日曜美術館は「建築 現在進行形 伊東豊雄の挑戦」でした。

司会は檀ふみさんと野村正育アナ、出演は出演順に伊東豊雄氏ご本人、藤森照信氏(建築史家・建築家)、佐々木睦朗氏(構造家・法政大学教授)、飯田尚樹氏(型枠大工・ぐりんぐりん統括工事長)で、45分の放送とは思えないほど盛りだくさんな内容でした。放送で紹介されたのは下に挙げた15のプロジェクトです。

台中メトロポリタン・オペラハウス (2005年コンペ応募案)
アルミの家 (デビュー作1970-71)
中野本町の家 (White U 1975-76)
シルバーハット (伊藤豊雄氏私邸1982−84藤森照信氏の回想つき)
東京遊牧少女の包I (1985)
横浜風の塔 (1986)
八代市立博物館・未来の森ミュージアム (1988-91)
仙台メディアテーク (1995-2001)
リラクゼーション・パーク・イン・トレヴィエハ (2006年12月現在建造中)
サーペンタイン・ギャラリー・パヴィリオン (2002)
TOD’S 表参道ビル (2002-04)
Mikimoto Ginza 2 ビル (2003-05)
瞑想の森 岐阜県各務原(かかみがはら)市営斎場 (2004-06)
福岡アイランドシティ中央公園中核施設「ぐりんぐりん」(2002-05、2007年開設予定)
多摩美術大学新図書館 (2007年竣工予定)

    xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx

以下は伊藤豊雄氏の番組内での発言をなるべく本人が選択した語彙を尊重しながらまとめたものです。

---放送冒頭の言葉として---

「建築の理想は内と外の区分がないことである。つまり、中でもあり外でもあるという空間は理想の建築空間である。しかし、その一方で建築とは外と中を切ることである。これが僕の抱えている永久の矛盾だ。」

---台中メトロポリタン・オペラハウスに関して---

「(どこまでが床かどこからが壁かよくわからないような建築は)通常の梁や柱をコンピューターによってねじっていくことにより、連続する洞窟のような空間を生み出すことで創造した。・・・(中略)・・・オペラハウスのような建築は長い歴史の中で形態が型にはまってしまったが、元来演劇は、日本の歌舞伎がそうであったように、屋外で行われていたものだ。だから屋外的空間を、開放感を含めてそのまま建物内部に持ち込むことは意味のあることだ。ストリート・パフォーマンスを楽しんでいる時のようなくつろいだ雰囲気を可能にする空間を作りたかった。」

---仙台メディアテークに関して---

「設計の初期から水のイメージを強く意識していた。川の流れにさした棒の後ろにできる渦のような建築を作りたかった。渦は周りの環境(水の流れ)とは少し異質なものであるが、周りが変われば渦もまたそれに対応して変わってゆく。このように周辺の環境にフレキシブルに対応してゆく建築を目的とした。」

---三次元曲面の床について---

野村正育アナウンサー 「(曲面の床を歩きながら・・・)酔ったような気分になり、平衡感覚を失いますね。」(このあと、野村アナウンサーは実際に転びかける。)
伊藤豊雄氏 「でもここに子供達が来ると、どんなに走ったらだめだと言っても走り始めるんですよ。大人の人たちも穴に入り込んでみたり、ねっころがったりするようです。床が波打っているといろんなものが流れ始めるんですよ。」

---最後に、今後の自分の建築について---

「これまで静的であった建築というものに流動性を与えたい。これは建築がもう少し自然界のシステムに近づいていくことを意図している。単に形態を有機的にするのではなく、(建築形態を律する)原理を作り出していきたい。・・・(中略)・・・ものを作っていくというプリミティブな喜びがコンピューターテクノロジーの先にもまだある。仙台メディアテークがオープンしたとき初日から利用者が建物を使いこなしている様子を見て、世の中で建築はこうあらねばならないとされている約束事とは結構いいかげんなものなのだなと思った。それが新しい実験を繰り返すきっかけとなった。無意識に実験を繰り返しているうちに木の上にいるような建築(TOD’S表参道)や洞窟の中にいるような建築(台中オペラハウス)が生まれてきたのは興味深いことである。人間はもともと木の上や洞窟の中に住んでいたのである。高層ビルに一度住んでしまった現代人がそこに戻ることはもうできないが、コンピューターテクノロジーの先にある自然を模索してみたい。モバイルフォーンを使いながらでも自然を感じ取れるような環境を建築的に実現することは可能であるはずだ。ハイテクを利用した結果として生まれてくる建築ではあるが生身の身体にフィットする建築をつくりたい。」

    xxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxxx


傾斜地に建設中で2007年に竣工予定の多摩美術大学新図書館では一階ギャラリー部分の床をあえて水平にせず土地のスロープをそのまま利用した傾斜にしているそうです。どういう仕上がりになるのか楽しみです。三次元曲面や傾斜を使った床に対しては、水平面が人間に与える心理的安心感や安全に対する人間の潜在的欲求に反するものだとしての反論もあろうかと思います。番組中に野村アナウンサーがうねった床の上でよろめいたのを見て、「それ見ろ」と言う人もいると思います。しかしあれはスタジオ(もしくは展示会場?)内で、うねった床をその床本来の建築から切り離した特殊な状態での出来事なので、あのシーンだけを見てうねった床に対する正当な評価を下すことはできないと思います。大阪に住んでいる私は伊藤さんの作品を体験する機会がないままでいます。 実際に体験する日までは批判的な先入観は持たないでおきたいと思っています。

「コンピューターテクノロジーの先にある自然を模索してみたい」という伊藤さんの言葉が心に残りました。便利さやコスト削減のためにハイテクに頼るのではなく、人間の生活を人間本来の自然さで潤すためにハイテクを使いこなしてやろうという意気込に裏打ちされた言葉だと思います。

閉じる コメント(12)

顔アイコン

こんにちわ!!訪問&コメント、ありがとうございました。 コメントで教えてくださったNHK『新日曜美術館』、私がコメントに気づいたときには時すでに遅し、で、見損ねてしまいましたが、詳細な番組レビュー読めてよかったです!・・・でも、やっぱり見たかったなぁ。 また遊びに来てください!!遊びに来ます♪

2006/12/5(火) 午後 8:52 [ sou*d*of*peac*2002 ]

顔アイコン

見逃してしまいましたか。残念でしたね。また、お邪魔します。

2006/12/6(水) 午前 3:00 おず

訪問、コメント、トラックバックありがとうございました。伊東さんは芸術家の域に達してきましたね。しかも、思考(趣向?)の速度が速い!驚きです。

2006/12/6(水) 午前 9:10 [ rou*ht*m* ]

顔アイコン

次に何をするのかが楽しみな人ですよね。番組のなかで藤森さんも伊藤さんのことを「周りを平気で置いてけぼりにしていく人だ」と、言っていました。

2006/12/7(木) 午前 1:24 おず

顔アイコン

わたしは建築の内部にも、土間とか、土をもっと取り入れてほしいですね。従来のは硬すぎます。。。。歩く楽しさを入れたほうが良い。

2006/12/7(木) 午後 5:21 [ ファレル ]

顔アイコン

福岡のぐりんぐりんが出来上がると、歩いて楽しい建築になりそうですね。いつか是非いってみたいです。

2006/12/7(木) 午後 9:33 おず

顔アイコン

伊藤の弟子に、妹島和代という人がいます。金馬本社屋で、カラミました。メチャ火花が散りましたが・・・。今も相当憎まれてるはず。施主のコンサルで入ったので。。伊藤www・・・。

2006/12/8(金) 午後 4:12 [ ミュウ2 ]

顔アイコン

妹島さんというのは慶応大学の教授もやっているんですよね。大学教授というと非常に弁が立ちそうですが、そういう人と議論(口論?)するのは大変だったでしょう。

2006/12/9(土) 午前 2:55 おず

顔アイコン

↑ミュウ2 この人の講演会に行かれたことがありますか?。弁はたちません。講演会の話ですが、原広司?(雑誌は、意識してみないので名前が・・)は、難解です。面白いのは出江寛。内藤廣も面白いと思ったのですが、一緒に行った素人は、退屈だと帰ってしまいました。

2006/12/9(土) 午前 9:27 [ ミュウ2 ]

私はこのnhkの「新日曜美術館」は見る事ができなかったのですが、予想どおり内容の濃い、伊東さんの思想をしっかり聞き取れるないようだったようですね。私は新しいリアルの伊東展に行ってきましたが、あの伊東さんの”過去と今”がギュッと結晶化されたような展示空間を想像しながら、この記事を読まさせていただきました。TBさせていただきます^^。

2006/12/10(日) 午後 6:07 m_s_k_z

顔アイコン

ミュウさん> お名前を挙げていただいた方たちの講演会にはまだ行ったことがありませんが、出江さんの講演会は面白そうですね。出江さんの事務所の前を通ることがよくあるのですが、なかなか個性的な建物ですよ。2階建ての土蔵のような建物で、波板スレートとアルミの縁取りで出来ている新しいのか古いのか良くわからないような建物です。

2006/12/13(水) 午後 4:31 おず

顔アイコン

MSKZさん> コメントとTBありがとうございます。「新しいリアル」は来年仙台と神奈川でも開催されるそうですが、大阪に住んでいる私はおそらく見に行けないでしょう。MSKZさんの体験記事を楽しく拝読いたしました。

2006/12/13(水) 午後 4:45 おず

開く トラックバック(1)


よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事