Making Of An Architect Named おず

4月から建築専門学校の夜間部に通うことになりました。

建築技術覚書

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トロンブ壁

関西にお住まいの方、昨夜は冷え込みましたね。私はRC造のマンションに住んでいるので、寒い夜には冷えた壁から冷気が伝わってきます。こんな夜は海外(特に欧米)のウェブ・サイトでたまに見かけるトロンブ壁のことを思い出します。
建物南側の壁を蓄熱壁として利用するトロンブ壁は日本での施工例もほとんどなく、ご存じない方や、ご存知でも日本の風土には合わないものだとおっしゃる方が多いのですが、使いようによっては日本でも利用できる技術なのではないでしょうか?
トロンブ壁は新しいハイテク技術ではなく、アメリカでエドワード・モース(Edward Morse)が1881年に特許をとった技術です。1960年代にフランスのフェリックス・トロンブ(Felix Trombe)が研究に取り組んだことからトロンブ壁という名前が一般的になりました。
トロンブ壁では、建物の南側に表面を黒く塗った厚いコンコリート(または石)の蓄熱壁を設置し、その表面をガラスで覆います。ガラスと蓄熱壁の間には空気が入る隙間を残します(↓資料をもとに模式図を作ってみました)。

イメージ 1
←日中はガラスと黒壁の間に閉じ込められた空気が太陽光で熱せられ、蓄熱壁に設けられた通気口を経由して空気対流により室内を暖めます。











←日没後はガラス表面と通気口を断熱シャッターで覆い、熱の放出を避けます。加えて、日中暖められた蓄熱壁(厚い壁)が熱を室内に放射するので、日没後も暖房効果が継続します。

断熱シャッターは夏季には日中・夜間を問わずに使われ、トロンブ壁を無力化します。




トロンブ壁を設置する際の最大の弊害は、南面の眺望・採光を犠牲にしなければならないことで、この点が南面に執着する日本の建築事情になじまないところだと思います。
しかし、日本でも建物の南面を全てガラス張りにするわけではないので、開口部とうまく組み合わせることでトロンブ壁を利用することはできないものでしょうか。特に美術館や劇場など、南面からの採光を必要としない大空間では暖房費の削減にトロンブ壁を利用することは可能なのでは?
太陽光発電などを利用したハイテク技術の開発から目をそらすつもりはありませんが、自然の恵みをそのまま建物に利用するトロンブ壁は魅力的に思えます。トロンブ壁は電気機器の使用を前提としていない技術なので、メンテナンス・コストの面から見ても検討の価値があるのではないでしょうか。
私は日本でのトロンブ壁の施工例をまだ見たことがないのですが、愛知県知立(ちりゅう)市のチリウヒーター株式会社のホームページには同社が手がけた愛知県内の実験ハウス「岡本ソーラーハウス」での施工例が掲載されています (→http://www.chiryuheater.jp/okm/index.html) 。この「岡本ソーラーハウス」は見学可能らしいので、いつか見てみたいです。
今月中旬より、新日軽株式会社がカナダ製の「太陽熱集熱外壁パネル 『 ソーラーウォール 』」という商品を日本で発売するそうです(詳細はこちら→http://www.shinnikkei.co.jp/company/news/2007/003.html)。この「ソーラーウォール」はトロンブ壁の原理を応用した技術なので、今後の日本での施工例に注目したいと思います。

引き舞い工事

木造家屋を土台ごと動かすことって出来るのですね。「引き舞い」というこの工事、名前すらも知りませんでした。
今朝、「大改造!劇的ビフォー・アフター」の再放送を見ていると、あまり小さいとも言えない家をいきなり動かし始めたので「あんなこと、できるのか」と感心しながら番組を見入ってしまいました。
2005年10月に放送された「お風呂が氷点下の家」と題された番組の再放送で、青森にある築70年の古民家を平川徹氏がリフォームするという番組です (http://www.asahi.co.jp/daikaizo/banote/contents/rf21hirakawa.html )。
平川さんは兵庫県明石市でアトリエCINQを主宰されている方です。番組で取り上げられたリフォームはアトリエCINQのホームページ(http://www9.plala.or.jp/CINQ/index2.html )の作品集では「弘前の家」として掲載されています。
番組の構成上 (? だと思うのですが) 床板を解体した平川さんが地盤沈下に気づき、軟弱な地盤を避けるために家を「引き舞い」工事で動かすというストーリー展開でした。途中で急に計画を変更したとしたら(そんなことはないのでしょうが)かなり大きな変更ですね。
リフォーム前の家は南北に長く自然光の取り入れにくい配置となっており、この「引き舞い」工事には家を90度回転させて南からの自然光を屋内に取り入れるという目的もありました。
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引き舞い工事では
(1)家を土台ごとジャッキで持ち上げ
(2)鉄製のH鋼を土台の下にかませて土台に固定し
(3)丸太をコロとして使い、家をウィンチで引っ張りながら動かします
延べ床面積235平米のこの建物を動かすのに約10名の人手とトラック車載型の小型ウィンチ一台を使っていたようです。

番組で紹介されたリフォームの概要は

- 引き舞い工事
- 新規ベタ基礎の設置(先に家をジャッキで持ち上げ、防湿シート・断熱材を設置)
- 床、壁、天井の断熱
- コンクリート・パネルによる外壁仕上げ、ガルバニウム材による屋根仕上げ
- 床下暖房の設置
- システム・キッチン、風呂、トイレ、鉄製螺旋階段の新規設置
- 家屋周囲4面にパーゴラを設置(夏は濡れ縁として、冬は雪囲いとして使用)

リフォームの費用は

- 工事費 12,619,000 
- 材料費 11,996,000 
- 建具・照明費 3,231,000

合計は 27,846,000円 でした。
 
この合計金額↑には含まれていないデザイン料を併せると約3,000万円のリフォームということでしょうか。古い民家の再生には費用もかさむようですが、今の住人に「先祖の残してくれた建物を家族の営みの基盤にしたい」という明確な意思があり、それを実現するための財力もあるのなら有効なお金の使い方であったのだと思います。

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