| 関西にお住まいの方、昨夜は冷え込みましたね。私はRC造のマンションに住んでいるので、寒い夜には冷えた壁から冷気が伝わってきます。こんな夜は海外(特に欧米)のウェブ・サイトでたまに見かけるトロンブ壁のことを思い出します。 |
| 建物南側の壁を蓄熱壁として利用するトロンブ壁は日本での施工例もほとんどなく、ご存じない方や、ご存知でも日本の風土には合わないものだとおっしゃる方が多いのですが、使いようによっては日本でも利用できる技術なのではないでしょうか? |
| トロンブ壁は新しいハイテク技術ではなく、アメリカでエドワード・モース(Edward Morse)が1881年に特許をとった技術です。1960年代にフランスのフェリックス・トロンブ(Felix Trombe)が研究に取り組んだことからトロンブ壁という名前が一般的になりました。 |
| トロンブ壁では、建物の南側に表面を黒く塗った厚いコンコリート(または石)の蓄熱壁を設置し、その表面をガラスで覆います。ガラスと蓄熱壁の間には空気が入る隙間を残します(↓資料をもとに模式図を作ってみました)。 |
←日中はガラスと黒壁の間に閉じ込められた空気が太陽光で熱せられ、蓄熱壁に設けられた通気口を経由して空気対流により室内を暖めます。
←日没後はガラス表面と通気口を断熱シャッターで覆い、熱の放出を避けます。加えて、日中暖められた蓄熱壁(厚い壁)が熱を室内に放射するので、日没後も暖房効果が継続します。
断熱シャッターは夏季には日中・夜間を問わずに使われ、トロンブ壁を無力化します。
| トロンブ壁を設置する際の最大の弊害は、南面の眺望・採光を犠牲にしなければならないことで、この点が南面に執着する日本の建築事情になじまないところだと思います。 |
| しかし、日本でも建物の南面を全てガラス張りにするわけではないので、開口部とうまく組み合わせることでトロンブ壁を利用することはできないものでしょうか。特に美術館や劇場など、南面からの採光を必要としない大空間では暖房費の削減にトロンブ壁を利用することは可能なのでは? |
| 太陽光発電などを利用したハイテク技術の開発から目をそらすつもりはありませんが、自然の恵みをそのまま建物に利用するトロンブ壁は魅力的に思えます。トロンブ壁は電気機器の使用を前提としていない技術なので、メンテナンス・コストの面から見ても検討の価値があるのではないでしょうか。 |
| 私は日本でのトロンブ壁の施工例をまだ見たことがないのですが、愛知県知立(ちりゅう)市のチリウヒーター株式会社のホームページには同社が手がけた愛知県内の実験ハウス「岡本ソーラーハウス」での施工例が掲載されています (→http://www.chiryuheater.jp/okm/index.html) 。この「岡本ソーラーハウス」は見学可能らしいので、いつか見てみたいです。 |
| 今月中旬より、新日軽株式会社がカナダ製の「太陽熱集熱外壁パネル 『 ソーラーウォール 』」という商品を日本で発売するそうです(詳細はこちら→http://www.shinnikkei.co.jp/company/news/2007/003.html)。この「ソーラーウォール」はトロンブ壁の原理を応用した技術なので、今後の日本での施工例に注目したいと思います。 |
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