OZの本棚 〜『OZの特撮使い』 開架書庫〜

日本一のHERO俳優 【宮内洋】 出演作品エピソードガイド&各種レポート

全体表示

[ リスト ]

「ジャッカー電撃隊」

【 作品データ 】
放映/テレビ朝日系 1977/4/2〜12/24 土曜午後7時30分〜8時 全35回 原作/石森章太郎 監督/竹本弘一、奥中惇夫、平山公夫、田口勝彦、山田稔、他 脚本/上原正三、押川国秋、曽田博久、高久進、平山公夫、他 特撮/矢島信男(特撮研究所) 音楽/渡辺宙明 出演/丹波義隆、伊東平山、ミッチーラブ、風戸佑介、宮内洋、田中浩、石橋雅史、他 制作/東映

【 STORY 】
 地球征服を狙う犯罪組織クライムの送り出す犯罪ロボットに対抗するため、国際科学特捜隊日本支部の鯨井隊長はサイボーグ部隊を結成する。それがジャッカー電撃隊。人間であることを捨てサイボーグになった4人の戦士とクライムの闘いは、今、始まった。

【 ビッグワン/番場壮吉 】
 現在まで続く戦隊シリーズの第2作目。前作「ゴレンジャー」との差別化を狙い視聴者ターゲットを引き上げハードボイルド路線を狙った「ジャッカー電撃隊」は制作側の目論見が見事にハズれ(^^;第二クールになってもその人気が伸び悩んでいた。そして第三クールを迎えるにあたり大掛かりなテコ入れに着手した制作サイドが投入したリリーフが宮内洋演ずる行動隊長ビッグワン・番場壮吉。近年の戦隊シリーズには番組中盤から投入される新キャラ(「助っ人」「6番目の戦士」などと呼ばれる)が必ず存在するが、ビッグワンはその「はしり」とも言えるだろう。
 
 ビッグワンの登場と同時に作品は大きく方向転換をする。視聴者ターゲットの年齢を下げるため「お笑い担当」の導入、変身に手間がかかるためBパート(CM後の後半部分)でしか出せなかった変身後のジャッカーをAパート(OP後の前半部分)にも出すようにするなど、様々な工夫がなされているが、それまでに出来上がってしまったハードなイメージと新たに加わったコミカルな要素がうまく馴染まずあちらこちらにスタッフの苦労が垣間見られる。

 そんな混沌とした現場に投入された宮内洋は、直前までやっていた早川健の「キザっぽさ」に優しさと年長者(リーダー)としての余裕が加わり安定かつ非常に自由な伸び伸びとした演技を見せる。宮内洋の演技にはケレン味(見世物芸的な味わい)と言われる、観ているこちらの意識をそらさない微妙な呼吸がある。それは子供をメインターゲットとするヒーロー作品にとって必要かつ重要な要素であり「ジャッカー」に欠けていたもののひとつだったが、それが逆にジャッカー4人の「悲壮さ」すら感じさせる緊張した演技との間に大きなギャップを生み、台詞の「間」ひとつにしても場の空気が全く噛み合わず、レギュラー陣との絡みに違和感が否めなかった。
 
 だがビッグワンの登場はそれなりの効果をもたらし宮内洋は初登場からいくらも経たないうちに「ジャッカー」を自分を中心とした世界に塗り替えてしまう。ちなみにこの作品の(本来の)主役は丹波哲郎の実子・丹波義隆(スペードエース)。当時丹波プロに所属していた宮内にとって義隆は弟弟子でもある。師匠の一人息子が主演するドラマに乗り込み主役を(結果的に)ぶん取った形になってしまった宮内洋。視聴率うんぬんのテコ入れとはいえ、さぞかしやりにくい現場だったのではないか。
 
 初登場時の番場壮吉はあまりにも唐突な登場だった故、ジャッカーのメンバーにあまり信頼されていない様子だった。第24話では危機に陥ったジャッカーが、本部に居るはずの番場がパチンコに行ったと聞かされ呆れる様子が描かれる。「まさか、隊長がそんなはずはない」というような「隊長を信頼する」台詞は全く出て来ない(^^;だが得意の変装術を駆使してジャッカーの窮地を救う「番場のやり方」に次第に慣れたメンバーは、最終的には番場を信頼しついて行くのだが・・・。
 
 どうも、ジャッカーのメンバーは番場を心から信頼していないように見える、と言うよりも煙たがっているように見えてしまう(苦笑)。確かに番場はピンチの時に駈け付けてくれる頼もしい味方ではあるが、普段は本部に居て命令を下し自分たちの行動を束縛する「うざったい上司」なのだ。同じ上司でもジョーカーこと鯨井長官は科学者でもあり自分たちの組織を作ったいわゆる「すっごい上の人」だから納得も出来るが、年齢的にも近いキザな上司が突然赴任して来てガンガン命令して顎でコキ使われたら、ジャッカーでなくてもムカつくだろう(笑)。ドラマの
中でのそういう感情と「主役の座をかっさらわれた」現実の感情がミックスしているようなジャッカーのメンバーの表情が何とも複雑。
 
 とは言え、ヒーローとしての存在感という観点からいくと宮内洋の演技力は抜群だ。何よりも目に迫力と何とも言い難い色気がある。特に目が大きいとかそういう事ではないのに、襟元に挿した薔薇の花にふっと落とす視線やちょっと横目でねめつける表情、クライムのロボットをからかうように見開いたお茶目なまん丸な目、そういうひとつひとつの動きについ惹かれてしまう。また、現場に慣れたスタッフが多いためだろうか、似たようなカメラアングルでも「宮内洋が一番カッコ良く映る角度」になっていて、例えば高い場所に立つ宮内を下からのローアングルで撮る場合、靴の裏やパンツの裾から裏地が見えるくらいの角度で撮っている。こうする事で足がスラリと長く映り、まるで挑発でもするかのように薄笑いを浮かべ見下ろす番場の表情を上手く捉えてカッコ良さを割増している(笑)。
 

 その一方で「ヒーローは物を口にしない」という哲学はどこへ行っちゃったの?と首を傾げたくなるような凄まじい食欲を見せたり(第24、25話)、ツンツルテンの短い着物に鼻の頭とほっぺたを赤く染め炊事係の玉三郎に化けて敵のアジトで大暴れしたり(第33話)、番場には絶対に有り得ないと思われた「やられ」が炸裂したり(第34話)と、後半はかなりハチャメチャな展開を見せる。そのハチャメチャさと正体を明かす名乗りのカッコ良さがあまりにも対極的でそれがまた番場の魅力のひとつとも言えるが、そういった番場の活躍が結果的にジャッカーの寿命を縮める遠因になったのではないかと考えてしまうのは、深読みし過ぎだろうか。


[加筆修正:'03/10/24 up date] 

この記事に

閉じる コメント(0)

コメント投稿

顔アイコン

顔アイコン・表示画像の選択

名前パスワードブログ
絵文字
×
  • オリジナル
  • SoftBank1
  • SoftBank2
  • SoftBank3
  • SoftBank4
  • docomo1
  • docomo2
  • au1
  • au2
  • au3
  • au4
投稿

.


みんなの更新記事