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日本一のHERO俳優 【宮内洋】 出演作品エピソードガイド&各種レポート

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第228話「Gメン対香港の人喰い虎 PART 2」 (放送日:1979/10/13)

 香港コネクションの罠に落ちた津川警部補(夏木マリ)は人喰い虎の檻に閉じ込められ恐怖のあまり錯乱する。一方、島谷刑事と合流したGメンは津川と島谷の弟・達也(石田信之)を探していた。その時、島谷の前に達也の恋人・美麗(芦葉京子)が現れ達也が隠れている船へと案内する。そこには達也と人喰い虎の調教師がいた。その調教師は幼い頃ベトナムで生き別れになり行方不明になっていた島谷の弟・邦彦(ジョニー・大倉)だった。孤児としてベトナム難民の中で成長した邦彦は生きるため香港の犯罪組織に加わっていたのだ。愕然とする島谷。そんな兄に邦彦は「弟や美麗の命が惜しかったら俺たちに手を貸せ」と詰め寄る。翌朝、人質にされた津川警部補とGメンが押収した1億ドルのヘロインを交換する取り引きがある。その時ヘロインを持ってこちらへ来い、と。
 
 前半は心理描写もなくただもうひたすらアクションの連続だった島谷刑事。だが後半になりその半生が突如として明らかになる。ベトナムと中国の国境の村で生まれた島谷は両親を失った後ベトナム戦争の北爆から逃れるため兄弟3人で国境を逃げていた。だがその途中で真ん中の弟邦彦がはぐれてしまう。島谷は一番下の弟・達也を連れて帰国し警察官になったのだ。・・・って、ちょっと待て。帰国ったって国籍は日本じゃないだろうし、生まれたのがベトナムだと言葉の問題もあるだろうし、学校へ行くったって保証人とかは、あ、もしかして親戚とか居たのかな、でも外国籍の人は公務員になれないんじゃなかったっけ??・・・などという疑問もあったりするのだがこれはひとまず置いといて(^^;
 
 この兄弟再会の場面。実は筆者の中でとても大事なシーンとしてインプットされている。本放送で観た時、この場面で「島谷刑事=宮内洋」と認識したのだ。ビデオもなかったこの頃、当時の子供なら誰しも「親の都合で好きなテレビが見れない」という体験をしているだろう。筆者もその一人で、親の田舎に居て「人喰い虎」前編を観られなかったため、後半のエピソードを観て初めてGメンに島谷刑事というメンバーが加わった事を知った。そして船の上に立つ島谷刑事を見た時「あれ、この人・・・宮内さんだっ!?」と気付いたのだ(「反応が遅い」とか言わないように(^^;)ただ、イメージや印象というのは恐ろしいもので、この場面で一緒に居たはずの達也、邦彦は筆者の記憶の中に全く存在していない(それだけ筆者にとっては「宮内洋」という存在が大きかったのだろうが)。
 
 この再会場面は兄弟それぞれの性格が明確に表現されている。一般に3人兄弟の真ん中の子供は独立心が強いと言われるがそれを地で行っているような邦彦。神経が細くどこか甘ったれな末っ子・達也。そして長兄として弟たちを育て守って来たであろう和彦の強烈な使命感、正義感。その和彦が邦彦に「俺は香港コネクションを叩き潰すためにやって来た日本の刑事だ!」と見栄を切る場面はもう、もろにヒーローのオーラバリバリに発していて、このインパクトが筆者に「宮内洋」を気付かせる要因だったのかも知れない。
 
 その夜、兄弟の命と職務との間で苦悩する島谷は辞表を書いていた。早朝、取り引き場所である河の堤防の上に立つGメンと島谷。南雲警視(川津祐介)は島谷に取り引きを任せる。驚く島谷に南雲警視は言う。「君は刑事だ」と。島谷の置かれた状況と苦悩を南雲警視は察知していたのだ。さすがは上司、出番は少なくてもキメる所はきっちりキメてくれる♪この場面、南雲警視に託されたヘロインの入ったアタッシュケースを持ってゆっくりと歩いて行く島谷。アップとロングが交互に入る緊張感溢れるカメラワークと、邦彦に向かってアタッシュケースを左手で差し出し右半身をやや後方へと引いて立つ宮内洋のポジショニングがもうムチャクチャカッコいい。そして一瞬の隙を着いて津川警部補奪還に成功する島谷。でもどうしてその時に邦彦を逮捕しなかったんだろう?取り引き現場には組織の連中も一緒に居たんだから一網打尽にしてしまえば大手柄(帰国すれば警視総監賞モノ?)だったのに(^^;
 
 やがて意識を回復した津川警部補の証言で、人喰い虎が「シーザー」という名である事を知った島谷は驚愕する。シーザー、それは兄弟3人がベトナムで避難生活をしていた頃、森の中で拾った虎の子供につけた名前だった。ベトナムに置いて来たはずのその虎を邦彦が香港へ連れて来て人喰い虎として訓練していたのだ。一方、取り引きに失敗した邦彦は組織のボスに懇願していた。「虎の檻にいるのは俺の弟なんだ!弟を助けてくれ!」だが、兄が組織と敵対関係にある事を理由に達也と美麗は見せしめとして虎の餌食にされてしまう。島谷を呼び出した邦彦はトラックに載せた二人の亡骸を見せると「(達也と美麗を見殺しにした)貴様の体の中には人間の血は流れているのか!?」と泣きながら兄を責める。そして「兄弟の縁は切る!俺たちは敵同士だ!」と絶縁宣言をするのだった。
 
 それにしても、よくもまぁこれだけ複雑な設定を作ったものだ。ベトナムから引き上げて来て慣れない日本の地で苦労して警察官になったんだろうな、島谷刑事は。と思いきや、麻薬捜査官の弟は裏切りを余儀なくされ、やっと巡り会えた邦彦は麻薬組織で人喰い虎の調教師として犯罪に手を染めている。その上、島谷が刑事としての自分の職務を貫いたがために達也は殺され、犯罪者と思っていた邦彦には人でなしと絶縁宣言される。ここまで行くとドラマティックな展開を通り越して島谷刑事の立場なしって気がするのだが(^^;
 
 津川警部補の証言を元に香港コネクションのアジトへ潜入した島谷は、敵の術中にはまり人喰い虎の待つ地下牢へと突き落とされる。血に飢えた虎が島谷を狙う。だがその時、シーザーの耳に響いた音色。それは小さな土笛。まだ小さかったシーザーと遊ぶ時、島谷たちが吹いていたオカリナの音だった。このシーザーと対峙する島谷のシーンは屈指の名場面と言えるだろう(筆者勝手に認定(^^;)。「俺だよ、大きくなったなぁ、忘れたのか」と虎に話し掛ける島谷。恐怖と懐かしさと愛おしさの入り混じった複雑な笑顔はこれまで見せた事がない宮内洋の新しい表情だ。そしてシーザーの警戒を解くために吹くオカリナ。獰猛な人喰い虎をも手なずけてしまう辺りはさすが日本一、って違う〜〜っ!!!
 
 言葉には表さないが、前編で留置所に入れられた島谷が小さい虫に向けた優しさが、母親を失った子トラを育てた島谷の本来の性格をよく表現している。きっと彼は弟たちと同じくらいシーザーを可愛がっていたのだろう。そして幼い頃の記憶を取り戻したシーザーは島谷の檻に寄り添うように静かに伏せる。大人しくなったシーザーの頭をなでる島谷。画面に穏やかな空気が流れる。そこへ入って来た邦彦の姿にハッと緊張する目。殺気立つシーザー。激昂する邦彦。「お前まで俺を裏切るのか!」だが本来の心を取り戻したシーザーは島谷を守るかのように邦彦へ襲い掛かる。穏やかさと緊張感。観ている者の意識をそらさない緩急の呼吸が実に見事な演出には脱帽。
 
 哀しい結末だった。シーザーは人喰い虎として「調教」されていただけで、本当は優しい動物だったのだろう。野生の勘で生きるために邦彦に従順なフリをしていたのかも知れない。だからこそ最後の最後に反旗を翻し邦彦に襲い掛かり、そして殺されてしまったのだ。そのシーザーの思いは邦彦にも当てはまる。生きるためにどん底の生活から這い上がるために組織に身を落とした邦彦もまた、兄や弟が恋しくて、ひとりぽっちにされた事が悲しくて悔しくて、だからこそ兄が憎かったのだろう。本当は自分を探し出して欲しかったのかも知れない。そして島谷もオカリナをペンダントにして身につけていたのは、生き別れになった弟やベトナムに居た頃をいつも思い出していたからなのだろう。お互いを思い続けていた兄弟。10年の歳月を経て再会した兄弟たちはお互いの気持ちを分かり合う事なく永遠に別れを遂げた。「ハードボイルドで救いようのないシナリオ」を書かせたら天下一品の、高久進らしいクライマックスである。
 
 シーザーと相討ちして果てた邦彦を残し地下牢を脱出する島谷。その格好が・・・いつの間にそんなになったの!?と思わず突っ込んでしまうほど血だらけでシャツもボロボロ。右袖はちぎれて半分なくなってる。まぁ、確かに右袖はシーザーが噛みちぎってたし逃げている途中であちこちに血がついたのかとも思えるが。おまけにクライマックスで組織のボスと対峙する島谷の顔は、き、汚いーーっ!地下牢の中では薄暗くてあまり気にならなかったが(逆に薄暗い中でアップになる目が毎度の事ながらほんっとに綺麗だった(*^^*))外に出た途端にヤラレ炸裂〜っ!
 

 っかし、いくら何でもそりゃやり過ぎってもんでしょ。と、現場スタッフは止めなかったんだろうか(もしかして誰も止められなかったとか?)。しかもそのアクションの構えはものすごく腰を落としていてほとんど風見志郎化しているし。って、それじゃ仕方ないのか(←納得するなよ@自分)ただ、構えはそうであっても島谷刑事のアクションは風見志郎よりも重量感のある動きになっている。つまりトランポリンを使うなどの「高さのある動き」がない分、よりリアルで実戦的なアクションに仕上がっていてこれはこれで見所が多い。だが実戦的であるが故に「ホントに入ってたぞ、今のパンチ」とか「ヌンチャク、マジでぶち当ってるぞ」と思える箇所もいくつか見受けられる。果たして「Gメン」において「レンズのトリック」が使えたのかどうか、一度問うてみたいものである(笑)。


['04/3/22 up date]

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