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日本一のHERO俳優 【宮内洋】 出演作品エピソードガイド&各種レポート

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【 作品データ 】
放映/NTV系 1986/10/5〜1987/9/27 日曜午後9時〜10時 全51回 監督/西村潔、他 脚本/大川俊道、他 音楽/志熊研三 出演/舘ひろし、柴田恭兵、浅野温子、木の実ナナ、仲村トオル、中条静夫、御木裕、山西道広、ベンガル、他 制作/セントラル・アーツ

【 STORY 】
 10年前に起こった現金輸送車強奪事件の容疑者・寺西の娘と輸送車の警備員・内藤の姪が覆面男に狙撃された。犯人は逃走中に男を一人ひき殺す。やがて鳴海という男が逮捕されるが事件の目撃者・涼子も彼を犯人と断定出来なかった。

【 鳴海二郎 】
 しょっぱな、寺西の娘の誕生パーティ(これが実はマリファナパーティだったりする)にゴリラの着ぐるみで乗り込み銃を乱射、逃走する。立ち上がりからハードな展開だが顔が出ていない着ぐるみでも宮内洋のファンならすぐにそれと判る。そのゴリラはプレゼントに見せかけた箱の中に隠してあるショットガンを取り出す時ほんの一瞬フッと肩をすくめるのだ。そう毎度お馴染みのあのポーズである。大方の視聴者は気づく間さえないだろうがファンはそれだけで安心して作品を見る事が出来る。そこには「宮内洋の芝居」があるからだ。
 
 10年前の現金輸送車強奪事件は輸送車の警備員・内藤が寺西をかばったためお蔵入りしていた。一億五千万の現金を山分けした寺西と内藤は共犯の鳴海が邪魔になり殴って気絶させたうえ山奥にある廃工場の焼却炉に放り込む。ところが首や両手に火傷を負ったものの何故か生き延びてしまった鳴海は二人への憎しみと復讐だけを支えに10年を過ごして来たのだった。
 
 細かい設定に「?」という部分があるが(例えば首がケロイド化するほどの火傷なのに顔が無傷ってのも解せないし焼却炉から脱出するなんてオマエはヒーローかっ!?宮内のキャラクターならあっても不思議ではないが)、仲間に裏切られ復讐を生きがいにして来た男というストーリー的にはよくあるパターンだ。
 
 この作品の宮内洋はとにかく目立つ。存在も目立つんだが衣装もそれ以上に自己主張が激しい。宮内には珍しいブルージーンズと黒の革ジャケットにグラサン。目印としか思えないオレンジ(赤かも?)のマフラーに黒い手袋。マフラーと手袋は火傷を隠す為なのだがあんなに派手なマフラー巻くんだったら何もしない方がよっぽど目立たないと思うが。
 
 鳴海は孤独なキャラクターである。肉親も恋人も友達もなく古びたマンションの部屋でつがいの鳥を飼っている(この描写が孤独感を強める)。そして生活感のない宮内洋は孤独の影が似合う俳優だ。この生活感のなさは長い事「人間でない人間」を演じ続けて来た影響なのだろうか?
 
 何しろ台詞が極端に少ない。だがしゃべらないだけに不気味な存在感があり(グラサンかけてるだけで充分アヤシイ)その芝居には宮内流アクションが前面に出ている。舘ひろしとの立ち回りでは宮内の方が強そうで舘のアクションがひ弱に見えてしまう。結果的には舘にノックアウトされ逮捕されるのだが「そんなか弱いパンチにやられるなよおー!」と思えてしまうのだからどっちが正義だか判らない。
 
 取り調べではひたすら黙秘を続け証拠不十分で釈放されるとその目に勝ち誇った表情を浮かべ唇の右端で微かに笑う。まったく目のアップだけで芝居を作れる役者はそうそう居ない。だが哀しいかな、勝ち誇った演技をさせると完璧ヒーロー状態になってしまうから困ってしまう。宮内洋を見ていると悪役(あくまでも「ドラマの中の悪役」って意味だけど)とヒーローは紙一重の存在であると思える。どちらも「勝ち誇った演技」が必ず要求される。悪役はドラマの前半で、ヒーローはドラマの後半で。だが悪役はこれも必ず追いつめられる。そこで必要なのは「開き直りの演技」であるのだが、宮内洋の場合「開き直り」が開き直りきれず迫力に欠ける。芯から悪役になりきれないという事かも知れない。ヒーロー役者故の性が邪魔をするのだろうか。

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【 作品データ 】
放映/テレビ朝日系 1977/4/6〜1987/3/26 木曜午後9時〜10時 全508回 監督/辻理、天野利彦、他 脚本/佐藤五月、長坂秀佳、藤井邦夫、野田幸男、他 音楽/木下忠司 出演/二谷英明、藤岡弘、本郷功次郎、渡辺篤史、横光克彦、夏夕介、三ツ木清隆、関谷ますみ、他 制作/テレビ朝日、東映

【 STORY 】
  年老いた売春婦の花代が殺された。だが所轄の刑事たちは他の事件にかかりきりで捜査は一向に進まない。かねてより花代を気にかけていた特命課刑事時田は花代殺しの犯人を挙げようと孤軍奮闘、花代が同業のユリと間違われ身代わりとなって殺された事に気付く。やがて容疑者としてユリと関係のあった産業省高官が浮かぶ。

【 産業省総務局渉外部長 瀬川邦彦 】
 39歳と言う若さでありながら中小企業局局次長から産業省の中でもエリート集団の総務局部長に昇進を果たし次期局長の最有力候補と噂されるヤリ手で「この私がいなければ日本は困る」とまで言い切ってしまう超自信過剰なキャラクター。
 
 しかしそんなエリートにも「弱さ」は存在する。いつも肩肘張っているのに疲れたのだろうか、行きずりの若い娼婦を買ってしまった瀬川は同じ局長候補のライバルである吉村部長にスキャンダルを脅迫される。ライバルを蹴落とすにはスキャンダルが一番手っ取り早い。吉村部長は瀬川の弱みを握るために瀬川の身辺を探っていたのだ。でも自分の身辺を嗅ぎ回っているライバルの存在を知っていながら女とホテルに入っちゃう瀬川ってやっぱりどこか抜けている。大事な時期なんだからお遊びはやめて身辺をキレイにしておくのが普通だと思うんだが・・・。
 
 吉村部長に脅かされた瀬川はスキャンダルを糾弾されポストを追われる恐怖から吉村部長を線路に突き落とし自殺と見せかけて殺害する。そして次なるターゲットは一夜を共にした女・ユリの口封じだった。ユリの行き付けのスナックで住所を聞き出した瀬川は深夜ユリの住む部屋へと忍び込む。だがそこにいたのはユリの知り合いで偶然転がり込んでいた老娼婦の花代だった。暗闇の中、間違って花代を手にかけてしまった瀬川は相当慌てただろう。だがそこは偏った選民意識の持ち主。「この私がいなければ日本は困る。その私の価値に比べればたかが売春婦の一人や二人・・・」と自分を正当化し、やがて特命刑事たちの捜査網が自分の身辺に及ぶや産業省を通じて警視庁刑事部長に圧力をかける。
 
 キャラクター的には「迷宮課刑事おみやさん」に登場した倉本捜査次官にかなり似た作り方をしているが、自分の存在価値を日本の利益としてブチ挙げてしまうあたりは倉本以上の自信過剰さ。アリバイを崩され時田刑事(渡辺篤史)に理詰めで自供を迫られても尚薄笑いを浮かべ「君たちはとんでもない間違いをしている。私を刑罰にかけようとする間違いだよ」と開き直るあたりは相当なものだ。ふてぶてしいにも程がある。だが宮内洋が言うと妙に説得力があるから不思議だ。どんなドラマであれ宮内洋の個性が最大限に発揮されるのは「俺人(おれじん)」的なキャラクターなのだ。

  地道な努力で証拠を集め瀬川の逮捕まで漕ぎ着けたのは時田刑事だが、現場からの叩き上げ刑事(デカ)とエリートコースに乗っかりいつの間にか人間としての心を忘れた者とでは同じ場面に居ても全く噛み合わない。「住む世界が違う」とでも言うのか。だが米国帰りのエリート刑事桜井(藤岡弘)と並ぶと「同じ土俵に立っている」感がありどちらも絶対に引かない存在感があるから不思議だ。瀬川を逮捕に来た桜井との無言の対峙は奇妙な迫力がある。これはもうすでにキャラクターの域を越えた役者同士の存在感かも知れない。
 
 己の立場を死守する事しか頭になかった瀬川は殺人を犯した後に捕まる事や受刑する事など考えもしなかったのだろう。だから吉村部長と花代殺しを自供するとそれまでのエリート然とした仮面がはがれ生身の人間としての感情が現れて「私は死刑に・・・?」と泣き崩れる。エリートの座を守る事よりも「人間」として生きる事の方が大事なのだと気付いた時にはもう遅かったのだ。
 
 凄まじいまでの自信過剰さと一旦それが崩れた後の人間の弱さ、プライドの高さは弱い心をプロテクトしているにすぎずそれが壊れた時の人間の変化、そういった部分の表現はやはり宮内洋は上手い。徐々に変わって行く表情、次第にむき出しになって行く感情、それらの変化が実に良く伝わって来る。ドラマと言うのはともすれば「あれ?どうして急に心変りしたの?」と思えるような場合も多いものだが宮内の芝居にそう言う部分は感じられない。演技のつなぎ方が上手いのだろう。

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【 作品データ 】
放映/テレビ朝日系 1985/8/2〜11/8 金曜午後9時〜10時 全13回 原作/石森章太郎 監督/川村透、貞永方久、他 脚本/鴨井達比古、長野洋、他 音楽/津島利章 出演/緒形拳、古手川祐子、新藤栄作、桜金造、小林稔侍、戸浦六宏、織本順吉、他 制作/朝日放送

【 STORY 】
 強盗事件で逮捕された工員・柏木は単純な容疑にも関わらず黙秘を続ける。まるで警察に挑戦するかのような頑なな態度に取り調べ刑事達の間には苛立ちが隠せない。数々の迷宮入り事件を得意の「犯罪考古学」の分野から解明して行く、通称「おみやさん」は、柏木の黙秘には15年前のOLレイプ未遂事件が絡んでいると推理、その裏に隠された柏木兄弟の秘密を探って行く。
 
【 警視庁捜査次官 倉本敏之 】
 38歳の若さながら警視庁捜査次官と言うポストにあり末は警視総監を目指すキャリア中のキャリア。だが彼には人に言えない秘密があった。15年前、勉強疲れからか帰宅途中のOLを襲ったのだ。幸いにして事件は未遂に終わるものの、旧家で名門の倉本家の中で父親の期待を一身に受けエリートコースを進んで来た敏之にとって、事件が明るみに出る事はエリートコースからのドロップアウトを意味した。
 
 幼い頃から仲の良かった倉本兄弟。敏之の弟は兄をかばい警察へ出頭、前科者となる。父親はマスコミに手を回して事件を揉み消し、身内に犯罪者がいてはエリートコースに乗れないと母親は弟を連れて離婚、旧姓の柏木に戻る。それ程までに大切にされ守られて来たにも関わらず、警視庁のキャリア組となった敏之は別れて暮らす母親の葬儀にも出席する事はなかった。
 
 自ら志願した事とは言え、兄をかばって前科者となった弟は心の奥底では「兄のせいで自分の一生は台無しになった」と感じていた。それが母親の葬儀にも顔を出さず何年もの間自分を放っている兄に対しての恨みとなり「気の弱い、けれどとても優しい」男を「強盗犯人」に変えてしまったのだった。
 
 ストーリーの前半は強盗犯・柏木と取り調べ刑事達との根比べが延々と続く。自供しない事が罪を重くすると知っているにも関わらず黙秘を続ける柏木の姿に言い知れぬ執念を感じたおみやさん(緒形拳)は、レイプ事件を洗い直し柏木の兄・倉本の存在に辿り着く。そして後半、倉本が登場するのだが・・・。
 
 いきなり「高校時代の倉本」はちょっと辛い(爆)。勉強部屋で机に向かう宮内洋は黒縁メガネに白いVネックセーター姿で、いかにも受験勉強中と言うシチュエイション。昭和40年代の設定だから確かに黒縁メガネが「インテリ」ってイメージはあるけど、若作りうんぬん(^^;よりも、とにかくダサイ!と言う印象がドーン!と来るワンカット。そして高校の校門から学生服姿で出て来るシーン、土手に座り本を数冊抱えて勉強するシーンと「勉強一筋のダサイ奴」って印象を「これでもか」と突きつけられるような場面が続く。「さすがにこの状態じゃヒーローは出来
ないだろう」と思ったら、何と瞬間的に「新命明」してるのが見えた時にはひっくり返った(爆)
 
 校門から本を抱えて出てきた瞬間、カメラの正面で立ち止まった宮内洋。右手を顔の前から頭に持って行くと被っていた学制帽を新命明風にちょっと直す。そしてカメラアングルから消える。時間にして僅か1秒足らずの間にちゃんと「ヒーローの仕草」を入れ込むのである。このこだわりは流石としか言いようがない。
 
 さんざんダサイ姿を見せ付けられてうんざりする頃、現在の倉本捜査次官が登場する。黒塗り運転手付きの高級車から降り立った倉本はダサダサな学生時代がまるで嘘のようにスカッとしたスーツ姿。黒のスリーピースに襟とカフスの大きいYシャツ、そして黒縁から銀縁のメガネに換えた倉本は一分の隙もない。最も、きっちり七三分けにした髪型も右側の毛先がちょっとハネているのはご愛敬か(^^)
 
 現場のドタバタした刑事達に対し、話し方は丁寧だが一段高い場所から命令を下す倉本はいかにもエリート然としてその存在感は他を圧倒する。特に宮内洋らしさをより際立たせるのが一度軽く目を伏せてから後ろを振り返る独特の「振り向き」ポーズ。この動きが入った事で倉本のクールさが一層強調された。
 
 弟と再会しかつての自分の罪を認める倉本。母親や弟の事を忘れた訳ではなかったと謝罪する兄に激昂する弟。だが何と責められても自分のペースを崩す事なく話し続ける倉本は宮内の得意とするキャラクターだろう。モノローグ的な台詞回しをさせると宮内の台詞は妙に説得力がある。
 
 兄が辞表を出す決意と知り泣き崩れる弟。抱き締める兄・・・ああ、美しき兄弟愛、と思いきや兄は弁護士の資格を生かすと言う。ん?まぁ、15年前の事件は弟が身代わりになって刑が確定してるし、真犯人が判っても今更裁判は出来ないから倉本が罪に問われないのは仕方ないとしても、そんな人間が弁護士になって良いもんか(^^;;

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【 作品データ 】
放映/テレビ朝日系 1977/4/6〜1987/3/26 水曜午後10時〜11時 全508回 監督/辻理、天野利彦、他 脚本/佐藤五月、長坂秀佳、藤井邦夫、野田幸男、他 音楽/木下忠司 出演/二谷英明、藤岡弘、本郷功次郎、大滝秀治、横光克彦、夏夕介、誠直也、関谷ますみ、他 制作/テレビ朝日、東映

【 STORY 】
 麻薬捜査犬イカロスが何者かに拉致された。警察犬訓練士明子と小犬の頃にイカロスを育てた叶は必死に捜索するが行方が掴めない。一方、覚醒剤密輸ルートを追っていた特命課は、大量の輸入品の中に紛れ込ませた覚醒剤を嗅ぎ分けさせるためにイカロスが覚醒剤漬けにされ利用されていると知る。やがて密輸ルートの元締め・川浦の存在が浮かぶが、尻尾を出さない川浦に叶と明子は次第に焦り始める。

【 雑貨貿易商 川浦一宏 】
  輸入会社を経営するヤリ手の若社長だが関連会社を隠れ蓑に麻薬密輸組織Mルートを持ち主婦や学生、会社員など堅気の民間人相手に覚醒剤売買をしている。特命課刑事たちの執拗な追求にも屈せず捜査の先回りをして証拠隠滅を計るなど、麻薬組織の黒幕と言われるだけの一筋縄では行かないしたたかな人物。
 
 最初に目を引くのがオフィスを捜査に来た刑事たちを相手にぬらりくらりと逃げるシーン。イカロスと一緒にいる犯人はボクシングの心得がある人物と判っていた叶(夏夕介)は、取り調べでは落ちそうもない川浦に背後から右パンチを繰り出す。それを振り返りざま左手で受け更に右フックで攻撃を仕掛ける川浦は咄嗟に出た反応に「かなりボクシングをやった事のある身のこなしだ」とツッ込む桜井(藤岡弘)を、静かに、だが冷ややかな目でねめつける。この場面は川浦の静かな顔の裏に隠された狂暴さが伺え、後半クライマックスの唐突とも思える一連の行動の伏線となって行く。
 
 台詞に感情がこもらない、それでいて説得力のある(表現を変えれば舌先八寸で相手を言い包めてしまう(^^;)キャラクターが多い宮内洋。この川浦も「こいつは絶対に嘘をついている」と思わせながらもツッ込む隙を与えない典型的な知能犯。拉致したイカロスが麻薬犬としてはまだ半人前で覚醒剤の嗅ぎ分けには役に立たないと知るや覚醒剤漬けにして利用し最後には殺してしまうなど悪役としては完璧。それでいて戦闘能力もあるからこれはもう「悪の大幹部」タイプ(やっぱり「特最前線」((^^;;;)

 だが悪の大幹部も最後は怪人に変身して闘うのがお約束。川浦も変身こそしなかったが(してもおかしくない作品だが(笑))自分の正体が暴かれたと知るや明子(松原千明)の兄を人質に採掘場に逃げ込む。この採掘場を見た瞬間、東映作品を見慣れている多くの視聴者は「次は爆発シーンの連続か」と期待した事だろう。宮内洋と採掘場。爆発以外に何をする!?(爆)
 
 完全に理性を失い逃げる事よりも「皆ぶっ殺す」事しか頭にない川浦は、明子の兄を負傷させ血のついた上着を地面にこすりつけダイナマイトを仕掛ける。特命刑事たちや警察犬がその臭いを追いかけて来た処を一気に爆発させようという算段である。闘争本能のみで行動し完全にイッちゃってる表情の宮内洋。だがそれが不思議とカッコイイ。負傷している明子の兄を更に叩きのめすシーンなどは狂暴過ぎる程だが、それなのに何故かカッコイイのだ。
 
 特撮に限らずヒーローにはカッコ良いライバルキャラが存在する事が多い。己が存在し得るためにヒーローに闘いを挑むライバルキャラ。その必死さが「カッコ良さ」を生む。川浦が導火線を引きダイナマイトを仕掛ける動作が妙にカッコ良く映ったのはそんな「必死さ」が現れていたからかも知れない。
 
 川浦は立て篭もっている小屋の窓ガラスを足で蹴破り拳銃とダイナマイトで刑事たちを近寄らせない。逃走用のヘリコプターを要求し半狂乱でけたたましい笑い声をあげる。人格が完全に崩壊しているのだ。作品中には描かれなかったが川浦は覚醒剤を使用していたのだろうか。Mルートの表面上のボスと直属の売人は覚醒剤をやっていなかったようだが、川浦が覚醒剤をやっていなくてそれでも極限状態に陥った時に人間はここまで壊れる事が出来るのだとしたら、とても恐ろしくなるような描写である。
 
 イカロスの仲間の警察犬5頭はイカロスの弔い合戦に出る。無線機をつけた無線犬ゲルバーは明子の指示に従い川浦の目に触れぬように地面に這いずって接近、川浦の意識がゲルバーに向いた瞬間、襲撃犬アドルフが川浦に飛び掛かる。いかに狂暴な犯罪者でも5頭のシェパードにかみつかれたらたまらない。何度も川浦に叩きのめされていた叶はこれまでの恨みを込めてハイキックをかまし川浦はあえなく御用となる。2話連続エピソードで展開が粘っこかった割にはあっさりしたクライマックスでちょっと拍子抜けだが、宮内洋のこれまでの悪役とは違った一面を引き出してくれた長坂秀佳作品に乾杯!

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【 作品データ 】
放映/テレビ東京系 1979/9/22〜1984/3/31 土曜午後9時〜10時 全232回 監督/岡康季、手銭弘喜、江崎実生、長谷部安春、他 脚本/山浦弘靖、山崎巖、和久田正明、土橋成夫、他 音楽/玉木宏樹 出演/松方弘樹、瑳川哲朗、夏樹陽子、南条弘二、山田由紀子、他 制作/ヴァンフィル

【 STORY 】
 江戸で1、2を争う呉服問屋・立花屋の娘・お糸の夫・佐平が無残な首なし死体で発見された。立花屋では10年前にもお糸の父親でもある先代がやはり同じ手口で殺されたという。悲しみにくれるお糸は、夫と父の霊を弔うため出家し尼寺に入る。やがて、先代亡き後立花屋の主人に収まっていた先代の弟・幸右衛門とその息子も惨殺される。事件のあった場所では必ず正体不明の尼僧の姿が目撃されていた。

【 立花屋手代 佐平 】
 10年前、立花屋の乗っ取りを企み先代の娘・お糸(麻丘めぐみ)をたぶらかした佐平(宮内洋)は、その結婚に激怒した先代を惨殺する。娘婿の立場で店を仕切る腹積もりの佐平だったが、その計画は先代の借用書を盾に立花屋へ乗り込んで来た幸右衛門とその息子によって中断を余儀なくされる。殺人鬼の本性を隠し、お糸の優しい夫として、そして立花屋の手代として幸右衛門親子に仕え熱心に働く佐平。だがその裏では更に恐ろしい計画が着々と進められていた。
 
 立花屋は呉服問屋としてだけでなく、出世を企む大名や旗本に金を貸して私腹を肥やしていた。やはり出世のために立花屋から多額の借金をしていた平尾をそそのかし、尼寺・妙真院の院代(岡本麗)をたらしこんだ佐平は、刑場から盗んだ首なし死体に自分の着物を着せて佐平に仕立て上げ、首を斬られて殺されたように偽装し妙真院の離れに隠れる。そして自分の野望の邪魔になる幸右衛門とその息子を尼の姿で殺害する。一方、お糸は佐平に金で吊られたお遍路姿の老婆に、立花屋を狙った幸右衛門が父親を殺しそれを知った佐平は口封じのために殺されたのだと吹き込まれていた。佐平はお糸に幸右衛門親子殺しの罪を着せようとしていたのだった。
 
 それにしても、着ているものだけで偽の首なし死体を佐平だと信じ込む立花屋の連中もどうかと思うんだが(^^;同心ももっとちゃんと調べろよ。血液型や指紋までとは言わないが(時代劇だし(笑))せめて身体的特徴の突き合わせくらいしとけってば。ひょっとして佐平は、平尾を通じて奉行所にも裏から手を回した可能性があるな。だとすればまったく大した悪党だ。
 
 悪党と言えば、仏に支える身でありながら佐平に抱き込まれ、首斬りの片棒担いだ院代も相当な生臭尼だ。一体、この二人はどうして知り合ったんだろう?男に溺れた処で所詮は尼の身、夫婦になれない事は分かっている筈。何故に佐平は尼なんぞを味方にしたのだろう?首斬りは単なる辻斬りの仕業にしておけば面倒がないものを。
 
 佐平のやった事だけを羅列するとすごい悪人に見える。確かに佐平はものすごく非道な極悪人で庇い立てする処など塵ほども見当たらない。だがその極悪非道な性質はその生い立ちにあった。兄弟を間引きされるほどの極貧な家に生まれた佐平は貧乏を嫌い、日本一の商人を目指していた。立花屋の乗っ取りも日本一の商人になるための手段だった。目的のためには手段を選ばない、だがただがむしゃらに突っ走るのではなく、緻密な計画を立て、10年もの長い間本性を隠し周囲の信頼を得てから計画を遂行するその行動力と執念は、悪人と言えども凄いの一言に尽きる。
 
 そしてこのエピソードにおける宮内洋はとにかく綺麗。特に、殺害する時に身に纏う白い頭巾と黒い法衣の尼コスプレがメチャメチャ似合うっ!(って、コスなのか(^^;)やられの綺麗さとはまた違う中性的な魅力の綺麗さに、思わずぼぅっと見惚れてしまった(*^^*)でも、尼のコスって要するに女装って事なんだよね(爆)。一度宮内洋の女装が見たいと思っていたので、思いがけなく願望が叶った形にはなったが、それにしてもデカい尼さんだこと!(笑)
 
 妙真院の離れにいる処をお糸に見られ、逃げ出したお糸を追いかけその目の前に立つ佐平。頭巾を脱ぎ捨て正体を明かすその動きが、変装を解く時の番場壮吉状態だったのには爆笑(^▽^)えーっと、何もそんな力いっぱいカッコつけて脱がなくても(爆)。そして、全ての悪事を暴かれ清次郎(松方弘樹)と対峙する佐平は、もうほんっとに綺麗でもの凄くカッコいい。覚悟を決めたようにまばたきひとつせずじっと清次郎を見据えるその目はまさに時代劇版「美形の敵キャラ」とも言えるほど強い光を放ち、立花屋の主人の首を一刀両断で斬り捨てたほどの剣術で隠密同心を相手にしても決して引けをとらない剣さばきを見せる。綺麗(女ったらし)で頭脳明晰で(悪知恵が働いて)剣術(人を殺める技)にも長けている佐平は、ただの商人にしておくのは勿体無い男だ。最も、結果的に「ただの商人」じゃなかったから、最期は清次郎に斬り捨てられてしまうのだが(^^;あー、もったいない(爆)。


['07/1/16 up date]

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