OZの本棚 〜『OZの特撮使い』 開架書庫〜

日本一のHERO俳優 【宮内洋】 出演作品エピソードガイド&各種レポート

刑事ドラマ観察日記

[ リスト | 詳細 ]

レギュラー出演作品から特に刑事ドラマでの活躍をフィーチャー。
記事検索
検索
第240話「'80新春おせち料理毒殺事件」 (放送日:1980/1/5)

 80年代の幕開けとなる新年初出勤日のGメン本部では、新年パーティが行われようとしていた。テーブルには南雲警視や立花警部の差し入れた酒が置かれ、振袖姿も艶やかな津川警部補は大きな花束を抱えて出勤。普段は殺風景な本部もひときわ華やいで見える。そこへ出勤して来る若手刑事三人。それぞれの手には「新年パーティに相応しいモノ」がある・・・はずなのだが、何故か中屋刑事は金魚鉢を持ち、島谷刑事はノラ猫、田口刑事はハムスターを連れて来る(^^;揃いも揃って不可解な部下達の行動に眉間に皺を寄せる立花警部(そりゃそうだ(爆))だったが、とりあえずは新年という事で落着、あとはおせち料理の到着を待つばかりとなる。
 
 冒頭、出勤途中にくっついて来たノラ猫を背中に隠して登場する島谷刑事がすごく可愛い。まるで親に怒られるのを分かっていながらも仔猫を拾って来ちゃった夏休みの小学生みたいな顔で(笑)。いくら足元にまとわりつかれたとしても、ノミとかの心配があるから普通は本部まで連れて来ないと思うんだけど(Gメン本部でノミの被害が出たら大変だし(笑))、きっと放っておけなかったんだろう。ひょっとして島谷刑事って基本的にネコ科に弱いのかしら(爆)。
 
 田口刑事が懇意にしている喫茶店の美人姉妹が、これまた振袖姿でおせち料理を運んで来た。Gメンが今まさにおせちに箸をつけたその時、ボスの皿に載った伊勢海老を島谷刑事の連れて来たノラ猫が奪い取って行く。だが次の瞬間、伊勢海老を食べた猫は痙攣を起こして死んでしまう。おせち料理に混入されていた毒物は青酸ソーダで、肝心のおせちは美人姉妹の店にやって来た謎の老婆が作ったものだった。危うく難を逃れたGメンは正月返上で捜査に乗り出すが、Gメンの毒殺を企む謎の老婆はGメン本部近くの蕎麦屋にも入り込み、ボスが注文した出前の天ぷらそばにも青酸ソーダを盛る。そして、よりによって、老婆に騙されその「毒入り天ぷらそば」を本部に運んだのが島谷刑事と中屋刑事(^^;まったく、自分達が狙われているってのに警戒心のまるでない連中だな。危なくボス毒殺の片棒担がされる処だぞ(苦笑)。
 
 謎の老婆の正体は、以前警視庁捜査二課が担当した汚職事件に絡み自殺した運転手の老いた母親だった。警察が息子を自殺に追い込んだと恨むその気持ちは分からなくもないが、捜査二課への恨みを何故Gメンに向けるのか理解に苦しむ。それこそ逆恨みどころか筋違いもはなはだしい。あ、そうか。Gメンって警視庁のエリート部隊だから知名度があるし、本部も警視庁とは別の所にあるから警備も手薄で、計画を実行しやすいと思われたのかも知れない。天下のGメン様もなめられたもんだ(^^;
 
 犯人の正体を割り出し自宅へ踏み込んだGメンを迎え撃つ老婆の武器はやっぱり青酸ソーダ。ガラス戸を開けて突入して来た島谷刑事に老婆お手製の特製青酸ソーダ入りチーズケーキが見事顔面にヒットする。突然の事に驚き(捜査に乗り込んだ先でまさかチーズケーキぶつけられるとは普通考えないよなぁ(^^;)一瞬きょとんとする島谷刑事がベリーキュート!そしてそれが青酸ソーダ入りと知らされひときわ大きく目を見開くが、中屋刑事と田口刑事に台所へ連れて行かれ首根っこ掴まれて洗浄される(^^;これって一見ギャグだけど、実は島谷刑事かなり危険な状態だったと思うぞ。息を吸って青酸ソーダの粉末が口や鼻から吸入されたらアウトだし、水洗いされても水に溶けた青酸ソーダが体内に入る可能性は極めて高い。ある意味殉職してもおかしくないシチュエイションだよね、これ。もし「毒入りチーズケーキをぶつけられて殉職」してたら、刑事ドラマ史上に残る屈指の殉職エピソードになってたかも(ばきっ!)
 
 今回のエピソードは「キイハンター」第157話「キイハンター皆殺し作戦」のリメイク版と言われている。と言っても脚本家も違うし(「キイハンター」の方は小山内美江子氏)事件の設定も全く違う。唯一似ているとすれば、クライマックスで犯人が本部に立て篭もる場面くらいなので、本当にリメイクと言えるのかどうか疑問。
 
 オープニングから全員が揃うまでの流れがまったりしていて、劇伴で使われている正月曲が余計に間延びした感じを増長させ、とにかく出だしのテンポが悪い。事件が発生した後の緊迫した雰囲気との対比を狙ったものだろうが、これが見事に失敗している。冒頭のテンポに釣られたのか、事件発生、捜査、犯人逮捕に至ってもどこか緊張感が緩く、そこへ毒入りチーズケーキだからほとんどギャグエピソードにしか見えない。監督・鷹森立一、脚本・高久進というベテランコンビにしては今ひとつ納得しかねるエピソードだった。
['06/8/9 up date]
第229話「暴走トラック 殺人ゲーム」 (放送日:1979/10/20)

 押収したはずの10億円相当の覚醒剤が警視庁から消え市場に出回った。警視庁の内部犯罪と睨んだGメンは密売人の時松をマーク。島谷刑事は時松に接近し悪徳刑事を装って密売事務所に潜入し、津川警部補は時松の恋人カヨが勤める飲み屋で働き始める。
 
 Gメンの最初期エピソード第8話「裸の町」のリメイク。にも関らず脚本は高久進だったりするのだが(「裸の町」は池田雄一作品)、リメイクが前提であるためか高久進らしい伏線やお得意の「クライマックス大どんでん返し」が見られず、時系列にそった淡々とした流れでドラマが進行する。
 
 リメイクであるからには当然?(^^;悪徳刑事に化けて潜入捜査をする島谷刑事は草野刑事を、時松の彼女に接近する津川警部補は響刑事の役どころを踏襲した形になっているが、元々がチンピラくさく悪徳刑事をまんまでやってたんじゃないかとさえ思えた草野刑事に比べ、島谷刑事はかなりスマートであまりワルの匂いが感じられない。特に宮内洋らしい目の動きが全くと言っていいほどなく、目線がストレート過ぎて凄味に欠けたのがとてももったいない。観ている者には「島谷刑事は潜入捜査のためにあんなことをやっているんだ」と明確に分かる筋立てになっているのだから、もっともっと裏切り者に見えるくらいワルに作り込んでも良かったんじゃないかと思う。最も、凄む相手(密売事務所の社長)が田中浩@ジョーカーじゃそうも行かなかったとか?(違(^^;)
 
【京急線高架下・市営バス乗り場(撮影'06/12)】

イメージ 1 悪徳刑事に化けた島谷が因縁吹っかけて来た時松を逮捕した高架下。画面からは周辺情報があまり得られないため、詳細な場所は確定出来ず。現在は駅から地下道を抜けて乗り場へ出るようになっているため、放送当時のように自由に歩けないのが残念。
 
 
 
 
 
 
【神奈川県川崎市川崎区・新川通り(撮影'06/12)】

イメージ 6 島谷とお目付け役のチンピラが歩いていた大通り。現在は放置自転車もなく、島谷が電話をかけた電話ボックスの辺りには地下街への階段が出来て景観は随分と変わっているが、向かって左側にある「さいか屋デパート」の壁面照明は放送当時のまま残っている。
 
 
 
 
 [交通] JR線「川崎」駅/京浜急行本線「京急川崎」駅
 
 が、腕力にモノ言わせて相手を従わせる「暴力担当」はさすが捜査四課のご出身(笑)。同じ四課出身の先輩、草野刑事にも負けず劣らず、事ある毎に時松をボコボコに叩きのめす。恋人のカヨに説得され密売人から足を洗おうとした時松を、捜査のためとは言え事務所に無理矢理引き戻す辺り、やり方が強引過ぎるし(^^;最も、途中で肝心の密売人に抜けられてしまったらせっかく潜入した苦労も水の泡になるから、それだけは絶対に避けたい事態だったんだろうけども(^^;
 
【神奈川県川崎市川崎区・多摩川土手(撮影'06/12)】
 
イメージ 7
 島谷刑事が足を洗おうとした時松をボコった多摩川の土手。すぐ横をJR東海道線・京浜東北線の鉄橋が通っている。放送当時は比較的すっきりしていたが、現在は青空テントが延々連なっている。
 
 
 
 
 
 
 
イメージ 2イメージ 3
 殴られてひっくり返った時松の背景には対岸の多摩川緑地が見える。毎度のごとく、かなり木が育ち過ぎているが(笑)。
 
 
 
 
 
[交通] 京浜急行本線「京急川崎」駅 徒歩12分
 
 更に島谷は、時松が次の取り引きに行く事が決まると、事務所の連中は俺が逮捕してやるから金とブツを持ち逃げしろと時松をそそのかす。黒幕をおびき出し確実に取り引き現場を押さえるためには、何よりも時松が怖気づいて逃げ出さないよう「ソノ気」にさせる必要がある。また時松と協力態勢を固め情報を得るための作戦なのだろうが、ほんっと、罪だよなぁ(苦笑)。
 
【京急線高架下・市営バス乗り場(撮影'06/12)】
 
イメージ 4 島谷とお目付け役のチンピラの後を追う田口刑事が歩いていた高架下は、時松を逮捕した時よりも道路側に出た場所が使われ、画面から判断するに、恐らくは29番乗り場付近ではないかと思われる。
 
 
 
 
 
 
 
【神奈川県川崎市川崎区・新川通り(撮影'06/12)】

イメージ 5 取り引き現場に急行する立花警部が走っていた駅前大通り商店街(37番街)。島谷たちが歩いていた「さいか屋デパート」横の大通りを挟み、斜向かいの位置関係になる。
 
 
 
 
 
 [交通] JR線「川崎」駅/京浜急行本線「京急川崎」駅
 
 

 時松から情報を得て取り引き場所で張り込むGメンの前に姿を見せた黒幕は意外な人物だった。・・・らしいのだが、実はこの黒幕が最後まで誰なんだかよく分からない(^^;警視庁の捜査官なのだろうが名前もポストも全く出て来ない。登場のさせ方があまりにも唐突過ぎて、Gメンに追い詰められたその顔がアップになった時、思わず「アンタ誰?」とテレビの画面に向かって突っ込んでしまった(爆)。まぁ、ストーリーの要は時松とカヨの純愛だから、「黒幕は警視庁の捜査官」という既成事実さえ見せればそれでいいのだろう。だがこの辺りの展開も高久進らしさに欠け消化不良感が拭えない。リメイクではなく高久進のオリジナル脚本だったら、クライマックスで時松が口封じのため射殺され、その黒幕をGメンが射殺、「何も知らずに時松を待ち続けるカヨ」という引き画で終わらせるだろう。ベタな展開だが、その方が捜査のために捨て駒にされたカップルの悲哀がより一層強調されるし、「死んだ時松を取り囲み見下ろすGメン」のような画が入ればもっと島谷刑事がカッコ良く描けたのに、と少々残念。


['06/5/29 up date]

第228話「Gメン対香港の人喰い虎 PART 2」 (放送日:1979/10/13)

 香港コネクションの罠に落ちた津川警部補(夏木マリ)は人喰い虎の檻に閉じ込められ恐怖のあまり錯乱する。一方、島谷刑事と合流したGメンは津川と島谷の弟・達也(石田信之)を探していた。その時、島谷の前に達也の恋人・美麗(芦葉京子)が現れ達也が隠れている船へと案内する。そこには達也と人喰い虎の調教師がいた。その調教師は幼い頃ベトナムで生き別れになり行方不明になっていた島谷の弟・邦彦(ジョニー・大倉)だった。孤児としてベトナム難民の中で成長した邦彦は生きるため香港の犯罪組織に加わっていたのだ。愕然とする島谷。そんな兄に邦彦は「弟や美麗の命が惜しかったら俺たちに手を貸せ」と詰め寄る。翌朝、人質にされた津川警部補とGメンが押収した1億ドルのヘロインを交換する取り引きがある。その時ヘロインを持ってこちらへ来い、と。
 
 前半は心理描写もなくただもうひたすらアクションの連続だった島谷刑事。だが後半になりその半生が突如として明らかになる。ベトナムと中国の国境の村で生まれた島谷は両親を失った後ベトナム戦争の北爆から逃れるため兄弟3人で国境を逃げていた。だがその途中で真ん中の弟邦彦がはぐれてしまう。島谷は一番下の弟・達也を連れて帰国し警察官になったのだ。・・・って、ちょっと待て。帰国ったって国籍は日本じゃないだろうし、生まれたのがベトナムだと言葉の問題もあるだろうし、学校へ行くったって保証人とかは、あ、もしかして親戚とか居たのかな、でも外国籍の人は公務員になれないんじゃなかったっけ??・・・などという疑問もあったりするのだがこれはひとまず置いといて(^^;
 
 この兄弟再会の場面。実は筆者の中でとても大事なシーンとしてインプットされている。本放送で観た時、この場面で「島谷刑事=宮内洋」と認識したのだ。ビデオもなかったこの頃、当時の子供なら誰しも「親の都合で好きなテレビが見れない」という体験をしているだろう。筆者もその一人で、親の田舎に居て「人喰い虎」前編を観られなかったため、後半のエピソードを観て初めてGメンに島谷刑事というメンバーが加わった事を知った。そして船の上に立つ島谷刑事を見た時「あれ、この人・・・宮内さんだっ!?」と気付いたのだ(「反応が遅い」とか言わないように(^^;)ただ、イメージや印象というのは恐ろしいもので、この場面で一緒に居たはずの達也、邦彦は筆者の記憶の中に全く存在していない(それだけ筆者にとっては「宮内洋」という存在が大きかったのだろうが)。
 
 この再会場面は兄弟それぞれの性格が明確に表現されている。一般に3人兄弟の真ん中の子供は独立心が強いと言われるがそれを地で行っているような邦彦。神経が細くどこか甘ったれな末っ子・達也。そして長兄として弟たちを育て守って来たであろう和彦の強烈な使命感、正義感。その和彦が邦彦に「俺は香港コネクションを叩き潰すためにやって来た日本の刑事だ!」と見栄を切る場面はもう、もろにヒーローのオーラバリバリに発していて、このインパクトが筆者に「宮内洋」を気付かせる要因だったのかも知れない。
 
 その夜、兄弟の命と職務との間で苦悩する島谷は辞表を書いていた。早朝、取り引き場所である河の堤防の上に立つGメンと島谷。南雲警視(川津祐介)は島谷に取り引きを任せる。驚く島谷に南雲警視は言う。「君は刑事だ」と。島谷の置かれた状況と苦悩を南雲警視は察知していたのだ。さすがは上司、出番は少なくてもキメる所はきっちりキメてくれる♪この場面、南雲警視に託されたヘロインの入ったアタッシュケースを持ってゆっくりと歩いて行く島谷。アップとロングが交互に入る緊張感溢れるカメラワークと、邦彦に向かってアタッシュケースを左手で差し出し右半身をやや後方へと引いて立つ宮内洋のポジショニングがもうムチャクチャカッコいい。そして一瞬の隙を着いて津川警部補奪還に成功する島谷。でもどうしてその時に邦彦を逮捕しなかったんだろう?取り引き現場には組織の連中も一緒に居たんだから一網打尽にしてしまえば大手柄(帰国すれば警視総監賞モノ?)だったのに(^^;
 
 やがて意識を回復した津川警部補の証言で、人喰い虎が「シーザー」という名である事を知った島谷は驚愕する。シーザー、それは兄弟3人がベトナムで避難生活をしていた頃、森の中で拾った虎の子供につけた名前だった。ベトナムに置いて来たはずのその虎を邦彦が香港へ連れて来て人喰い虎として訓練していたのだ。一方、取り引きに失敗した邦彦は組織のボスに懇願していた。「虎の檻にいるのは俺の弟なんだ!弟を助けてくれ!」だが、兄が組織と敵対関係にある事を理由に達也と美麗は見せしめとして虎の餌食にされてしまう。島谷を呼び出した邦彦はトラックに載せた二人の亡骸を見せると「(達也と美麗を見殺しにした)貴様の体の中には人間の血は流れているのか!?」と泣きながら兄を責める。そして「兄弟の縁は切る!俺たちは敵同士だ!」と絶縁宣言をするのだった。
 
 それにしても、よくもまぁこれだけ複雑な設定を作ったものだ。ベトナムから引き上げて来て慣れない日本の地で苦労して警察官になったんだろうな、島谷刑事は。と思いきや、麻薬捜査官の弟は裏切りを余儀なくされ、やっと巡り会えた邦彦は麻薬組織で人喰い虎の調教師として犯罪に手を染めている。その上、島谷が刑事としての自分の職務を貫いたがために達也は殺され、犯罪者と思っていた邦彦には人でなしと絶縁宣言される。ここまで行くとドラマティックな展開を通り越して島谷刑事の立場なしって気がするのだが(^^;
 
 津川警部補の証言を元に香港コネクションのアジトへ潜入した島谷は、敵の術中にはまり人喰い虎の待つ地下牢へと突き落とされる。血に飢えた虎が島谷を狙う。だがその時、シーザーの耳に響いた音色。それは小さな土笛。まだ小さかったシーザーと遊ぶ時、島谷たちが吹いていたオカリナの音だった。このシーザーと対峙する島谷のシーンは屈指の名場面と言えるだろう(筆者勝手に認定(^^;)。「俺だよ、大きくなったなぁ、忘れたのか」と虎に話し掛ける島谷。恐怖と懐かしさと愛おしさの入り混じった複雑な笑顔はこれまで見せた事がない宮内洋の新しい表情だ。そしてシーザーの警戒を解くために吹くオカリナ。獰猛な人喰い虎をも手なずけてしまう辺りはさすが日本一、って違う〜〜っ!!!
 
 言葉には表さないが、前編で留置所に入れられた島谷が小さい虫に向けた優しさが、母親を失った子トラを育てた島谷の本来の性格をよく表現している。きっと彼は弟たちと同じくらいシーザーを可愛がっていたのだろう。そして幼い頃の記憶を取り戻したシーザーは島谷の檻に寄り添うように静かに伏せる。大人しくなったシーザーの頭をなでる島谷。画面に穏やかな空気が流れる。そこへ入って来た邦彦の姿にハッと緊張する目。殺気立つシーザー。激昂する邦彦。「お前まで俺を裏切るのか!」だが本来の心を取り戻したシーザーは島谷を守るかのように邦彦へ襲い掛かる。穏やかさと緊張感。観ている者の意識をそらさない緩急の呼吸が実に見事な演出には脱帽。
 
 哀しい結末だった。シーザーは人喰い虎として「調教」されていただけで、本当は優しい動物だったのだろう。野生の勘で生きるために邦彦に従順なフリをしていたのかも知れない。だからこそ最後の最後に反旗を翻し邦彦に襲い掛かり、そして殺されてしまったのだ。そのシーザーの思いは邦彦にも当てはまる。生きるためにどん底の生活から這い上がるために組織に身を落とした邦彦もまた、兄や弟が恋しくて、ひとりぽっちにされた事が悲しくて悔しくて、だからこそ兄が憎かったのだろう。本当は自分を探し出して欲しかったのかも知れない。そして島谷もオカリナをペンダントにして身につけていたのは、生き別れになった弟やベトナムに居た頃をいつも思い出していたからなのだろう。お互いを思い続けていた兄弟。10年の歳月を経て再会した兄弟たちはお互いの気持ちを分かり合う事なく永遠に別れを遂げた。「ハードボイルドで救いようのないシナリオ」を書かせたら天下一品の、高久進らしいクライマックスである。
 
 シーザーと相討ちして果てた邦彦を残し地下牢を脱出する島谷。その格好が・・・いつの間にそんなになったの!?と思わず突っ込んでしまうほど血だらけでシャツもボロボロ。右袖はちぎれて半分なくなってる。まぁ、確かに右袖はシーザーが噛みちぎってたし逃げている途中であちこちに血がついたのかとも思えるが。おまけにクライマックスで組織のボスと対峙する島谷の顔は、き、汚いーーっ!地下牢の中では薄暗くてあまり気にならなかったが(逆に薄暗い中でアップになる目が毎度の事ながらほんっとに綺麗だった(*^^*))外に出た途端にヤラレ炸裂〜っ!
 

 っかし、いくら何でもそりゃやり過ぎってもんでしょ。と、現場スタッフは止めなかったんだろうか(もしかして誰も止められなかったとか?)。しかもそのアクションの構えはものすごく腰を落としていてほとんど風見志郎化しているし。って、それじゃ仕方ないのか(←納得するなよ@自分)ただ、構えはそうであっても島谷刑事のアクションは風見志郎よりも重量感のある動きになっている。つまりトランポリンを使うなどの「高さのある動き」がない分、よりリアルで実戦的なアクションに仕上がっていてこれはこれで見所が多い。だが実戦的であるが故に「ホントに入ってたぞ、今のパンチ」とか「ヌンチャク、マジでぶち当ってるぞ」と思える箇所もいくつか見受けられる。果たして「Gメン」において「レンズのトリック」が使えたのかどうか、一度問うてみたいものである(笑)。


['04/3/22 up date]

第227話「Gメン対香港の人喰い虎」 (放送日:1979/10/6)

 麻薬ルート壊滅のため香港に潜入していた麻薬捜査官・島谷達也(石田信之)が香港コネクションに捕らわれ消息を絶った。警視庁捜査四課に所属する兄の島谷和彦は南雲警視(川津祐介)の命令を受け弟を救出するため香港へと飛ぶが、その島谷に香港コネクションの放った刺客が次々と襲い掛かる。一方、島谷兄弟の身を案じた南雲警視はGメンに応援を要請、津川警部補(夏木マリ)、中屋刑事(伊吹剛)、田口刑事(千葉裕)の3人は島谷救援のため香港へと向かう。その頃、獰猛な人喰い虎のいる檻に入れられた弟の達也は恐怖のあまり虎の調教師に命乞いをするが、命と引き換えにその調教師が出した条件は東京から来たGメンを虎の檻へおびき寄せろというものだった。
 
 宮内洋、Gメンレギュラー入りの序章とも言えるエピソード。着任エピソードが番組の目玉企画とも言える「香港カラテロケシリーズ」とは随分贅沢な顔見せだったものだ。Gメンの歴史の中でも香港エピソードで着任した刑事は第105話「香港−マカオ・警官ギャング」の立花警部捕(若林豪)、中屋刑事(伊吹剛)、速水刑事(森マリア)の3人くらいだろう。おまけに一緒に登場したはずの南雲警視はほとんど出番がなく(^^;「宮内洋のために書かれた脚本」と言っても過言ではない。とにかく「これでもか、これでもか」と駄目押しかと思う程、宮内洋のカッコ良さが前面出しされていて、アクションありヤラレあり、見せ所、見所がてんこ盛りの大売り出し(何だ、そりゃ(^^;)、実に力のこもった作品に仕上がっている。
 
 初出は警視庁の道場で一人空手の練習をしている島谷に南雲警視が弟の消息不明を伝えに来た所から始まる。これは「新任刑事は空手の達人」という設定の伏線なのだろうが、この辺りからすでに「草野刑事(倉田保昭)の後釜」という印象が否めない。番組初期から香港カラテロケシリーズをはじめとするハードアクションを一人で引っ張って来た感のある倉田保昭が番組を退いた後、華のあるアクションが出来るメンバーが不在だった事もあり東映作品を中心に活動していた宮内洋を加えたのは当然の成り行きだったのかも知れないが。
 
 「弟を救出しろ」南雲警視の指令で香港へ飛んだ島谷は、弟が住んでいた難民アパートを訪れる。そこで弟の恋人と出会ったのも束の間、香港コネクションの刺客に襲われアパートの屋上で戦う島谷。「弟をどこに連れてった!言えっ!」鬼気迫る表情で相手の首を締め上げるという場面ながら、その追求の仕方はどう見ても風見志郎が入っている(苦笑)。放送が10月の初めという事は撮影は8月上旬頃ではなかったかと思われるが、アイスブルーにも見える薄い色のサマースーツの肩や背中が汗で変色するほどのアクションシーンは、現地の過酷な環境を物語っている。
 
 戦いの最中、刺客の一人が地上へ墜落死した。地元住民の通報で犯人として香港警察に捕まった島谷の留置所でのシーンもこのエピソードの大きな見所だろう。薄暗い留置所の片隅、うつろな目で力なく座り込む島谷。そこへ1匹の小さな虫(カナブンに似た小さい甲虫)が飛んで来る。それを片手でひょいと掴むとその手をそっと開き、はかなくも精一杯生きる虫の姿にふっと優しい笑顔を向ける。この生きとし生けるもの全てに向けられる優しさが島谷の本来の性格を表し、後半エピソードへの伏線となって行く・・・のだが、この際そんなこたぁどうでもいい。手の中を見下ろして伏せた目と少し口角を上げたこの笑顔がとにかくムチャクチャ綺麗で、これだけで充分萌えモード(*^^*) ってゆーか、このシチュエイション、どう考えてもV3第49話の再現としか思えないのだが(・・・すでに目と頭が腐ってるかも@自分(自爆))。
 
 そこへまたひとりの男が放り込まれる。ハッと目を上げる島谷。その目がやっぱり(以下省略)酔っ払いにも見えるその男は、だが鋭い眼差しを島谷に向けていた。そして疲れた島谷が寝入った頃に突然襲い掛かる。男もまた香港コネクションが送り込んだ刺客だったのだ。殺気を感じて目覚めた島谷が一瞬の隙に攻撃を避けると男は空手の型を構える。演ずるは石橋雅史。おおっ!番場壮吉VS鉄の爪〜!とか思っちゃいけない(^^;でも、ぶっちゃけた話、殺気を感じて目を覚ます辺り、島谷刑事ってもはや人間捨ててるような気もするんだが(爆)。
 
 島谷に追い詰められて男は自害し、駆けつけた警官をぶっ飛ばして留置所を脱走した島谷はまたしても刺客に発見される。ここからはひたすら両者の鬼ごっこ(笑)。街中、二階建てバスの車内、空き地と逃げ回る島谷。にしても、空き地を走り抜けるのにわざわざ水溜りの中を全力疾走しなくても(^^;この空き地でのアクションはもうひたすらひたすらヤラレの極地。何しろお相手は香港の俳優ヤン・スエ。香港カラテロケシリーズでは常連のヤン氏は隆々な胸の筋肉でコキコキ音を鳴らす動作が当時の子供たちの話題をさらったアクションスター。その存在感と迫力はハンパじゃない。・・・もう見た目ですでに負けてるよ、島谷さん(^^;
 

 彼らに散々痛めつけられる島谷は相変わらずのいいヤラレっぷりでいつの間にかシャツの第三ボタンまではずれているのだが、その頬から首にかけて肌が赤くなっているように見えるのがとても気になった。この後、気絶した島谷の顔に子供たちが水をかけるシーンがあるが、その時コップを持つ手の甲も砂にまみれてはいるが真っ赤になっているのが分かる。これは恐らく炎天下のロケでの日焼けではないだろうか。何しろこの空き地ロケ、日陰はワンカットだけで後は延々と晴れ渡った青空をバックに撮影されている。これって相当過酷な現場だったのでは(^^;


['04/3/22 up date]
第51話「走れヤングライオン」 (放送日:1975/10/27)

 八百屋の店先でチンピラ数人を相手に乱闘騒ぎを起こした揚げ句に気絶した若い男を連れ帰った鉄男。彼は改造モデルガン製造工場摘発のために城西署から派遣された刑事正木(星正人)だった。「城西署の三神」とあだ名されるほど鉄砲玉の正木はコンビを組んだ鉄男を振り回しひとり捜査に飛び出して行く。
 
 大野剣友会の兄さんたちを相手に大立ち回りを披露する星正人。本来ならば鉄男と正木の心の交流が軸になるはずの脚本なのに、いつもより殺陣がふんだんに盛り込まれこれでもかとアクションシーンが続く。スレンダーでアイドル顔の星正人は翌年には桜木健一の後を継いで「二代目刑事くん」となるが今回はあくまでもゲスト主役。まぁ、レギュラー入りの前に「顔見せ」としてゲスト出演させる事が多い東映だから、この時点で内々では二代目の起用が決まっていたのかも知れないが、やはりこれまでゲスト出演した他のアイドルに比べて動きがいい(当然だが『アクションスターシリーズ(第39〜42話)』に登場した4人は比較対象外(^^;) 少し甘さを感じさせるワイルドな風貌は「刑事くん」と言うよりも「仮面ライダー」に向いてる気が(笑)。
 
 今回はほとんど出番のない風間刑事。島さんとコンビで一応捜査はやってるんだろうけど、どうも刑事課に居ると緊張感が足りないし(笑)。それでも鉄男が正木に肩入れし過ぎる事を懸念する辺り、後輩の性格を知り抜いている風間らしい気遣いで微笑ましい。それにしても最近の風間の場面が屋内セットばかりで野外ロケが少ないのは、やっぱり「大人の事情」に依るものだろうか(苦笑)。
 
 そう言えば、次回予告で流れたゲスト主役の役名が「朝比奈」。「正木」に「朝比奈」って、分かる人には分かっちゃう名前だわな(笑)。東映ってば相変わらずネーミングバリエーション少な過ぎ(^^;


第52話「ボクらは兄弟」 (放送日:1975/11/3)

 ある日、足を滑らし川に落ちた次郎を助けようと服のまま飛び込んだ鉄男は激流にのまれそうになる。だが偶然通りかかった若い男性が二人を岸まで引き寄せてくれたため事なきを得るが、男性は名前も告げずに立ち去ってしまう。翌日、刑務所から脱獄した四人組の強盗犯が派出所を襲撃し拳銃を奪って逃走する事件が発生した。捜索を開始した鉄男たちの前に川で鉄男と次郎を助けてくれた男性が現れる。朝比奈というその男性は「小天狗」とあだ名される敏腕刑事だったが、脱獄した四人組の一人中川が幼い頃に養子に出された実の弟で、強盗を犯した上に脱獄という罪を重ねる弟を自分の手で捕まえるために辞職し、脱獄事件を担当する城南署へ乗り込んで来たのだった。朝比奈の事情を知った時村は朝比奈が私情から暴走しないよう鉄男をお目付け役にし捜査に加えるが、追い詰められた弟に鉄男が撃たれてしまう。
 
 養子に出されてグレてしまった中川が鉄男と次郎のお互いを思いやる兄弟愛を垣間見た事で、ずっと恨み続けていた兄の朝比奈への思いを氷解させる、というのがドラマの基本線なのだが、何しろ鉄男は撃たれて血まみれ、中川も仲間に誤射されて血まみれ、朝比奈は殴打されまくってこちらもドロドロで汗まみれという観ているのが辛いくらいの暑苦しさで、放送は11月なのにどう見ても残暑の陽射しが強い中で撮影したとしか思えない。おまけに設定に凄〜く無理がありご都合主義&矛盾だらけなのだが、不思議な事に勢いだけで引っ張られてしまう。そもそも、弟が犯罪者ならその家族は警察官にはなれないはずなのに「罪ほろぼし」「これ以上弟のような
犯罪者を出さないため」刑事になった朝比奈の、弟が脱獄したと知って辞表を出して城南署へやって来たのも不可解な行動。捜査に加わり自らの手で弟を捕まえようと思ったらそのまま刑事で居た方がずっと有利だと思うが、まぁ管轄が違うからそれしか手段がなかったのか。
 
 それにしても、風間〜〜〜っ!アンタってば今回はほんっとに何にもしてないのね(^^;島さんと二人して脱獄犯の捜索してるはずが、その頃連中は鉄男&朝比奈コンビと鬼ごっこしてるし(つまり風間たちは脱獄犯の足取りを全く掴んでいないってコトで)鉄男が撃たれたと知って二人して雁首揃えて城南署に戻って来てるし。そりゃー鉄男の容態が心配なのは分かるけどさ、時村さんじゃなくっても「おまえら何やってんだ」って言いたくなる。これじゃあ「やり手のエリート刑事」の名が恥ずかしがって逃げ出すよ。ったく、仕事しろ、仕事〜っ(苦笑)。


第53話「恋と友情と」 (放送日:1975/11/10)

 暴力団の内偵を続けていた鉄男と風間は三日後に開かれる賭博の情報を入手した。家宅捜索までの三日間を休養するように言い渡された二人の前に、風間の高校時代の親友山下が現れる。久し振りの再会を喜ぶ風間。だが鉄男は建築技師だという山下にどこか胡散臭いものを感じていた。山下と別れ街へ繰り出した風間と鉄男。その鉄男を呼び止める女性がいた。「よう子ちゃん」と呼ばれた彼女は鉄男の高校時代の同級生で皆の憧れだったという。その美しさに息をのむ風間。鉄男の仲立ちでお互いに好意を持った風間とよう子は再会を約束する。
 
 三日後、予定通り家宅捜索に踏み込んだ風間たちだったが、賭場は開かれず空振りに終わる。どこから情報が漏洩したのか。その時、風間はふと別れ際よう子に「本物の暴力団をやっつけに行く」と話した事を思い出す。彼女が密告したのか・・・苦悩する風間。一方、鉄男は道行くチンピラ連中が何故か頭を下げる山下の不審な行動に疑惑を持ち風間に詰め寄る。だが風間は「アイツは俺の親友だ」と引かない。そして山下に組長を別件逮捕すると語り単身アジトへ乗り込んで行く。
 
 文句なしの「風間刑事メインエピソード」・・・と言いたいのだが。観ていて違和感が先立ち素直にストーリーに入って行けない(^^;何しろ風間のキャラがすっごい。よう子と出会い鉄男の気遣いで二人っきりにされた風間の、照れ隠しなのか妙〜にハシャギ過ぎる言動だけでも充分変なんだけど、その割には目が違う。何て言うのか、心を奪われた女性を見る目じゃないんだよね(^^;風間の目に「照れ」はあるが「熱っぽさ」がないから繕ったような印象を与える。それに対して単身アジトに乗り込み袋にされた揚げ句、山下に裏切られたと知った時の風間の、山下を見つめるその哀しく寂しげな表情は憂いを帯びて色気たっぷり。でさ、いつも思うんだけど、どうして相手が同性だとそんなに色っぽくなれるわけ?(大爆笑)ある意味「情に溺れて冷静な判断力を欠いた」風間よりも「風間さんを裏切るやつは許さないっ!」と涙目で山下に鉄拳を振り下ろす鉄男の方が数段カッコ良かったゾ(^^;
 
 で、何しろ一番気になるのは「その後の風間とよう子の仲」。親友に裏切られ傷付いた風間を鉄男が気にかけ、そのお陰で風間も少しずつ元気を取り戻し始めた、というようなシチュエイションで終わるのだが・・・あれ、よう子はどうしたのだろう?もしかして本格的に付き合う前にフラられたのか。そりゃーね、同性の親友は頭っから信用するのに、よう子に対しては密告者だと一人で勝手に思い込んで確認もせず一方的に怒りをぶつけて来る男なんて、いくらカッコ良くても女性の方から願い下げだろうし、やっぱフラれたんだろうな、きっと(^^;;


第54話(最終回)「かがやく明日へ!」 (放送日:1975/11/17)

 ある日、城南署刑事課では鉄男たちがネズミ退治にやっきになっていた。事件のない平和な一日、と思いきや、突然大事件が発生する。鉄男が警察大学の特待生候補になったというのだ。並み居る優秀な刑事たちを差し置いてのノミネートに舞い上がる鉄男。だが「特待生候補」が「特待生」として承認されるのは一週間後、その間に失点がなければという条件が付いていた。しかもそれは「犯人を殴ってはいけない」「物を壊してはいけない」「無闇に民間人の敷地に入ってはいけない」など鉄男には不利(でも当然(^^;)なものばかり。そんな時、管内で発生した強盗殺人事件の容疑者が鉄男がよく知っているチンピラだと分かり、失点を心配する風間らをよそに鉄男は捜査に向かう。
 
 このエピソード、主人公はもちろん鉄男なのだが、鉄男の脇に居る風間刑事の素振りが妙に面白くてついついそちらへ目が行ってしまう(^^;特待生の情報がもたらされた時の「そんなの俺に決まっているじゃないか」とでも言いた気に上着の襟を正したりネクタイを締め直したりする自信過剰さや、鉄男がノミネートされたと知った時にがっくりと机に手を付く仕草はあまりにもベタベタ過ぎ(笑)。何しろ常日頃は自信過剰が服着て歩いてるようなモンだから相当ショックだったのだろうが、その後は鉄男の暴走を食い止めるストッパー役に徹している。普通なら足を引っ張ってやろうとか思うのだろうが、とにかく鉄男に失点を与えまいと必死で押さえに回る風間ってホントにいいヤツじゃん(^^) 恐らく風間の中にはずっと「こいつになら負けてもいい」との思いがあったのだろう。出会った最初の頃は思い入れの激しさや捜査に私情を挟んでしまう鉄男の刑事としての資質に疑問を持っていた風間。だがずっと行動を共にしているうちに鉄男に影響されたのか自らも捜査に私情を挟み冷静さを失うほどキャラクターを変えてしまった風間は、本当は鉄男同様に熱い魂を持った男だったのかも知れない。
 
 鉄男に追い詰められた犯人は子供を人質にして鉄男の拳銃を奪うと遊園地の観覧車を乗っ取り逃走用の車と現金を要求する。署の応援が来るまで時間を稼げという風間の説得にも耳を貸さず鉄男は自力で犯人を捕まえようとするが、犯人の向けた拳銃が火を噴き通りかかったカップルが流れ弾にあたり助けようとした風間も撃たれてしまう。鉄男の尽力で犯人は逮捕されるがその代償はあまりにも大きかった。
 
 だが。運は鉄男を見放さなかった。拳銃を奪われたのは子供を救出するためと見なされ凶悪犯を逮捕した功績を買われた鉄男は警察大学入学が決定する。寂し気な笑顔を向ける風間とこちらは本当に胸が痛くなるほど寂しそうに鉄男を見つめる時村。鉄男の旅立ちは、ある時は上司としてまたある時は亡くなった父親代わりとして鉄男を見守って来た時村の「子離れ」でもあるのだろうか。嬉しさを噛みしめる鉄男は立派な刑事になると決意を新たに城南署を後にした・・・。

.


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事