鈴木康博ソロライブツアー2012@松江松江AZTiC canovaというポスターを松江AZTiC canovaのスタジオ練習に入った時に見た。
鈴木康博って誰よ?という人もいるだろうが、元オフコースのメンバー、メンバーというより小田和正と一緒にオフコースをスタートさせた主要人物である。
初期のオフコースは小田と鈴木の2人(杉田ジローとかがいた時代もあったが)であったが、一般に知られているのは5人のバンド体制になってからだろう。
詳しいことは省くが、武道館10日間連続ライブをした人気絶頂期に鈴木康博はオフコースを脱退した。
というより、脱退の意思を固めていたのは「We are」のアルバムが出るころからであり、その後「Over」「I LOVE YOU」「NEXT」まで発表した後に、オフコースは4人になっており、鈴木が脱退を決めてから実際に抜けるまでそれなりの時間を要している。
ちなみに最高傑作と評される2作品、「We are」「Over」を続けると「We are over」であり、「我々は終わった(解散または休止)」というメッセージは、ファンの間では有名なトリビアである。
実際にはオフコースは解散せず、鈴木が抜け4人で再スタートを切ったわけだが、個人的には4人になった時点でオフコースは終わったと感じていた。
4人になってから発表されるアルバムは正直、どれもピンとこないものばっかりだったし、より小田和正色ばかりが目立つ作品だったからだ。
根強いファンに言わせると、他のメンバーの色だって5人の時より出ていると言うだろうが、松尾や清水の色を出そうとすればするほど、鈴木の存在が僕にとってはクローズアップされてしまい、哀しくなってしまったのを思い出す。
結局、4人となったオフコースも解散していまい、今はご存じのとおりソロとしての小田和正が世間に認知されることになる。
ここでも、僕は小田和正そのものにはあまり興味が持てなかった。
決して彼が嫌いというわけではなく、あくまで鈴木と小田がいるオフコースが好きだったのだなと思う。
小田和正の作る曲は極めて抽象的だが、鈴木博康の曲は逆に具象的であり、それが並列しているのが面白かった。
オフコースは決して小田和正だけのものではなかったはずだが、「さよなら」のヒット以降、色々な大人の事情により小田が全面に出ることとなり、鈴木クレジットの楽曲は削られることになる。
鈴木にとってオフコースは自分と小田の2人で作り上げたものであって、それは5人になってもそれぞれが均等にバンドに関わるものだという思いが強かったといえる。
鈴木が作る歌詞を見ても分かるのだが、小田とは対照的に非常に泥臭くストレートな人なんだと思う。
それだけに、一人だけがクローズアップされるオフコースは、もはや自分の求める居場所ではなく、脱退を決心したのだろう。
当時のオフコースにとっても鈴木の脱退は大問題であり、だからそれなりの期間を要した。
その中で鈴木と小田、両者においてどのような話がなされ、どのような軋轢ができて、どのように袂を分けたのかは想像するしかない、が、その想像を絶する状況下にあったろうと考える。
2人のことは2人にしか分からないことであるし、アマチュア時代から一緒に苦楽を共にしてきた仲にしか分かりあえないことだってあるのだから。
でも、ラストツアー後に出たアルバム「I LOVE YOU」に収められている曲を聴くと、小田と鈴木、2人の個人的な部分を歌っていると思われる部分があり、ついつい思いを馳せてしまう。
3曲目「愛のゆくえ」は鈴木の作詞作曲。
個人的にも大好きな曲である。
「愛のゆくえ」
ゆっくり漕ぎ出したね 小さな船だった
僕らはこの船を止めようとしている もうやり直せない 二度とは戻れない
生きていくこと哀しいね 哀しいね
静かに一つの愛が終わっていく
誰にも止められない 誰にも… なぜ今 ふりかえる 明日さえ見えない
悔しいのに 悔しいのに ふりかえることは いつごろから 急ぎはじめたのだろう
いくつもあった 別れ道 別れ道 いつまでも この夢を追い続けていくさ
くじけても くじけても 果てない夢だから 広い海よ たそがれゆく空よ
ひとりなんだね 僕は今 ひとりだね 静かに一つの愛が終わっていく
誰にも止められない Ah 一つの愛が終わっていく
もう誰にも止められない 歌詞に出てくる「小さな船」は2人時代のオフコースのことを指していると考えると、オフコース脱退を決めた当時の鈴木のやるせない気持ちがすごく伝わってくる。
特に「いつごろから 急ぎはじめたのだろう いくつもあった別れ道」の部分がそれを如実に表現している。
これに対し、小田和正は「きっと同じ」という曲で当時の心情を歌い上げている。 「きっと同じ」 昨日のことは 誰も聞かない
かわっていくのは 心も同じ 走り疲れて ふりかえれば
何もない 今は 誰もいない 今は 僕はここにいて まるで飾り気のない
明日を待っている はじまることも おわることも
きっと同じだね きっと同じだね きっと同じだね オフコースがスタートしたことも、それが終わることも2人の中ではきっと同じことなんだよ、という鈴木に対するアンサーソングになっている。
ちなみに、この曲はアコースティックギター1本での演奏だが、鈴木氏が弾いており、2人で始めた原点を彷彿させている。
(もともとは小田が弾く予定だったらしいが)
僕が聴く限り、このアルバムで収録されている楽曲で唯一、小田と鈴木が生で絡んでいるのがこの曲だと思う。
(シングル曲除く) おそらく、鈴木自身が作った曲のコーラスで小田が参加しているのは無いように思える。
要はそういう状況になってしまっていたということであろう。
そして、アルバムラスト「決して彼等のようでなく」は、小田の曲だが非常に難解且つ抽象的である。
「決して彼らのようでなく」 何を見ても何をしても
僕は僕の言葉でする やりたいことも やるべきことも
今僕の中で一つになる ためらうことはない このまま 走るよ
あなたのために歌う 素敵なことだろ
心はどこにある 心は 心は
君とはいつまでも 心はかよわないだろう 今こそ焦らないで 今まだ語るな
今ならまだ戻れる 今なら間に合う
これは、もう自分たちの力ではコントロールできなくなった「オフコース」とそれを取り巻く様々な異形に対しての決別宣言のような意味合いではなかろうか。
以上は、僕のまったく個人的な解釈、思い込みに近いものだが、確信に近いのではないかとも思っている。
そしてオフコースと決別せざるを得なかった鈴木康博の悔しさを想像すると、自分も泣けてくるのである。
ライブ告知ポスターを見て、そんな思いが蘇ったという話。
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私もオフコースファンですが、もはやこれはオフコース研究ですネ━━━(=゚Д゚)ノオフコース好いです。
2013/4/17(水) 午後 7:33 [ 春のヒッチハイク ]
ありがとうございます。でも、研究というよりはただのヤッさん好きなだけかもしれません(^_^;)
2013/4/20(土) 午後 10:03 [ ozz**oseza*k ]
ヤスさん有ってのオフコース!
小田さん含めメンバー全員が俺の音楽の先生と口を揃えて言う程。
コーラスワークと結果的にポップなメロディーラインは小田さんに軍配だが、
Soundメイキングとアレンジ能力はヤスさんがはるかに上。
コーラスワークでも最高音のハーモニーは全てヤスさんの声、太くは無いが精緻なコーラスワーク。小田さんではあの高音は物理的にも出せない。これがコーラスの厚みを産んでいる。さすが職人ヤスさん。
2013/12/7(土) 午後 4:36 [ harmit0529 ]
はじめまして。
オフコースはヤスさんあってのものでしたね。5人時代からファンになりましたが、デビュー〜FAIRWAY までもかなり好きです。
決して彼等のようではなく
は、オフコース曲では異色の混沌としたアレンジで、歌詞からは怒りにも似た感情を読み取れます。
メンバー当人がコントロールできない、当時のオフコース周辺の騒がしさに対する拒絶を表しているようです。小田さんのヤスさんを失うことへの喪失感、不安感も怒りの背景の一つかもしれません。
次のアルバム
NEXT のテーマでは、
僕等の終わりは僕等が終わる
それを誰も語れはしないだろう
と周囲に釘を刺しつつ、活動休止することによって騒がしさとは一定の距離を置いたからか、怒りからは解放されたようにも見えます。
オフコースというバンド(或いはデュオ)を考えると、本当に切ないです。
小田和正が現役あり続けるのは、オフコースを風化させない意図もあるかと思う今日この頃です。
2014/10/13(月) 午後 7:53 [ l*db**** ]
> l*db****さん
小田和正が現役であり続けるのは、、、の部分にグッときます。
素敵な記事、コメント文章ありがとうございました。
byアメブロ温泉うさぎ
2015/4/25(土) 午後 10:54 [ ons*n*sagi1*0* ]
初めまして。
今頃にコメントする事お許し下さいm(__)m
オフコースの小田さんと鈴木さんとのお話。私も全く同じ考えでした。
小田さんの曲が一般ウケし、オフコースを大きく売り出したいと言ういろんな事情があったんでしょう…ヤスさんの気持ちを考えるとせつなくなりました。
私は今小田さんのツアーのプチ追っかけしています。楽しいです。
オフコースの頃の曲になると、ついつい比べては、やっぱりギターやコーラスはヤスさんでないと…と、思ってしまいます。
でも、小田さんもきっと苦しい思いをされ、今は♪ 1番悲しかったあの日さえ輝いている♪の心境なのかな?などと考えています。
ヤスさんの音楽は高度ですね、
今もお元気に活動され、のびのびされているのがとても嬉しい私です。つまらない事書いて申し訳ありませんでしたm(__)m
2016/8/15(月) 午後 4:06