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甘く、柔らかな舌触りに満たされる。
チョコレートで空腹を満たす日々。
つれあいが、会社の人からチョコレートを貰ってきた。
マルコリーニのトリュフに、
コージコーナーのプラリネに、
手作りのチョコレートケーキ。
...これは先日、知り合いになった会社の女の人から私に。
そして、ゴディバの大きな箱。
おいおい、義理にしてはすごくない?
かなり大きな箱なんですけれど。
絶対、義理ではないサイズですよ。
脳裏に不安がよぎる。
ライバル出現。
いくらでも受けて立とう。
妻という立場に胡座をかく女ではない。
正々堂々と、戦いましょう。
そっちがその気なら。
好きという気持ちを、
私の男だから、夫だから我慢しろなんて言いたくない。
正々堂々と恋をして、
私が負けたら、それはそれで仕方がない。
既婚者だから、と遠慮して欲しくない。
気持ちを受け入れる、入れないは、つれあいの問題で、
好きな気持ちは、誰にも邪魔することができないことなのだから。
好きな気持ちは、彼女も、妻である私も同じ。
どちらかが正しくて、どちらかが間違っているなんてない。
でも、まずは腹ごしらえ。
と私はチョコレートを頬張った。
「それは、お客さんからだよ。」
つれあいが呟く。
ゴディバの箱を指して。
「そう。」
と私は素っ気なく答えたが、
拍子抜けしたのか、安心したせいなのか、
舌の上に溶けていく、甘い固まりに頬が緩んだ。
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