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2017年11月10日
新宿の損保ジャパン日本興亜美術館の東郷青児展を観に行ってきました。
会期は11月12日までなので、何とか間に合いました。
東郷青児と言えば二科展のドンで、私生活を含めセンセーショナルな社会的行動で世間の注目を集めた人ですが、そんな人がどうして誰でもわかる美しくピュア―な感じの女性像が描けたのか不思議です。
飲んだくれでどうしようもない私生活の仏師が、ノミを手に持って彫った仏像に思わず人が手を合わせたくなるように。
人の心の奥底まで覗くことはできません。
東郷青児は前衛画家として出発しました。
コントラバスを弾く
パラソルさせる女
彼女のすべて
ピカソのキュービズムの影響を受けた作品であることが分かります。
そのピカソがキュービズムから新古典主義の作品を描くようになると、東郷青児の絵も変化します。
明代像
ベッド
ピエロ
サルタンバンク
ピカソの「母と子」、「大きな浴女」、「海辺を走る二人の女」等の影響を受けていると思うのですが。
特にサルタンバンクについては、
「この絵が出来上がった時は天下を取ったように嬉しかった。早速ピカソを僕のアトリエに引っ張って来て見てもらったら「自分の絵を見ているような気がする。・・・」これにはぎゃふんとまいった。・・・」
と言っています。
ピカソの目から見てもピカソに似ているということでしょうか。
その後ピカソの名残が見られますが、東郷青児らしさが現れ始めます。
ギターを持つ女
手術室
椅子
テニスコート
そして東郷風な女性像へと変化してゆきます。
テラス
花を摘む女達(部分)
舞
紫
1947年の郷愁です。
受ける印象はタイトルの郷愁のイメージとは違います。
挑発するような視線と手足のポーズ。
美しく魅惑的であるけど、怪しい女性の怖さを感じます。
近づくと自分が破滅してしまいそうです。
密かに眺めておくだけにして置く絵かもしれません。
油絵なのに画面の肌理が細かく、まるで日本画のようです。
この絵は東郷青児の傑作の一つだと思えるのですが。
1950年代の東郷青児ワールドです。
平和と団結
婦人像
四重奏
バレリーナ
望郷
これは東郷青児の最高傑作かもしれません。
日本国際美術展で、第4回と第5回に一般入場者の投票による「大衆賞」が設置され、第4回は東郷の「バレリーナ」が第5回にこの「望郷」が受賞しました。
大衆賞はこの二度だけでした。
若いころ前衛画家と呼ばれながら、当時パリで流行っていたダダイズムには共感しませんでした。
理屈が先行する芸術には興味がなかったようです。
60歳の頃の東郷青児が目指した絵は、普段美術展や美術書と縁のない様な人たちが、理屈抜きで美しい、楽しい、寂しいと共感できる絵だったのです。
だからこそ一般大衆からの投票で「大衆賞」を獲得できたのです。
ちなみに専門家の画家や評論家が選んだ大賞は別の作品でした。
見方を変えれば、女優やアイドルのグラビア写真やブロマイドを魅力的で美しいと感じる次元の観賞の仕方かもしれません。
それでも尚、俯き加減に下を向いている美しくピュア―な感じの少女と背景に古典派を思わせるような神殿を配した絵は、グラビア写真やブロマイドとは一線を画した何者かがあります。
それは作者が無意識に吹き込んだ絵の生命かもしれません。
この絵を契機に美人画に見られるような俯き加減の、すらりとした手足、モダンで中性のような感じの女性像を滑らかな質感で描きつづけました。
同じような絵を繰り返していると評価されても仕方がないような面もあるようですが。
レダ
若い日の思い出
私たちの世代は東郷青児の絵をカレンダー、週刊誌や雑誌の表紙絵、商品の包装紙などを通して誰でも知っています。
誰にでもわかるモダンで美しい女性像です。
これが東郷青児の業績です。
東郷青児展の案内板
損保ジャパン日本興亜美術館の入口
会場入り口付近
バイオレットのレプリカ
ゴッホのヒマワリのレプリカ
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これだけの作品が一堂に会する機会はそう無いでしょうね、素晴らしい展覧会です。
作風の変遷も良く判りますね。
2017/11/16(木) 午後 5:44 [ 梅天神 ]
漫画家の松本零士さんも、初期には、
東郷さんみたいなキャラクター描いてました。
松本さんみたいに、東郷さん、ロマンティストでそれが作品に、良い面として出たのかもしれませんね。
2017/11/16(木) 午後 9:18
> 梅天神さん
おはようございます。
学生時代3年の頃、専門の洋書が高くて手が出せませんでしたが、海賊版が10〜20分の1くらいの値段で買えたのでよく利用しました。
その海賊版のカバーに使ったのがカレンダーの東郷青児の絵でした。
そんな訳で、昔が懐かしくなり東郷青児展に出かけました。
損保ジャパン日本興亜美術館は東郷青児記念館で東郷青児の作品を多く所蔵しているようです。
今回は鹿児島美術館や長嶋美術館などから多くの作品を搬入して展示されていました。
なおこの美術館ではゴッホのヒマワリが常設展示されています。
2017/11/17(金) 午前 10:13 [ pa2***** ]
> 朧月夜さん
おはようございます。
松本零士さんが東郷青児さんと似たようなキャラクターを描いていたことは知りませんでした。
私が知っているのはメーテルだけです。
東郷青児さんは心中未遂を起こしたり、宇野千代とインタビューを受けたその日から同棲を始めるなど女性関係は華やかです。
とことん惚れて愛する、そうゆう人だったのでしょう。
社会的道徳的に見れば困った人ですが、心の奥底にはピュア―なものがあったのでしょう。
それが晩年の作品に現れたのかもしれません。
2017/11/17(金) 午前 10:33 [ pa2***** ]