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2019年6月2日
上野の東京文化会館小ホールでクァルテット・エクセルシオ第36回東京定期演奏会があったので聴いてきました。
クァルテット・エクセルシオについては
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プログラムは
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第1曲目はベートーヴェンの弦楽四重奏曲第1番です。
ベートーヴェンは9曲の交響曲で自己の芸術を聴衆に披露し、32曲のピアノソナタで自己の内なる心情を表現したのに対し、16曲の弦楽四重奏曲で自己や人生の微妙な問題を提示しました。
弦楽四重奏曲は謂わば私小説のようなものです。
第1番となっていますが作曲の順番では第2番の方が先です。
出版は先輩のハイドンに倣って作品18として、6曲セットとして行われています。
ですから第1番は作品18−1となります。
第1番と言えども推敲に推敲を重ねて作曲した作品らしく、青年作曲者ベートーヴェンの気概と頼もしさのようなものが窺え、曲の完成度が高く、聴いていて澱みなく流れていく感じです。
第1楽章冒頭のテーマは繰り返し登場するので馴染め親しむことができ、第二楽章ではロメオとジュリエットの墓場での場面を想定して作曲しているため、この時期のベートーヴェンしては珍しく暗く深刻な感じになっていますが、第3楽章では再び明るさを取り戻し、第4楽章でモーツアルトのロココ風の感じで処理されていきます。
第1番は好きな曲で、作品18の中では1番親しまれている曲ではないでしょうか。
聴いていて本当に心地よい気分にしてくれます。

続いてショスタコーヴィチの第8番です。
ショスタコーヴィチも弦楽四重奏曲を15曲作曲しています。
ベートーヴェンの弦楽四重奏曲を私小説だと言いましたが、ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲もベートーヴェンに劣らずもっと赤裸々な私小説と言えるのではないかと思います。
社会主義レアリズムのもとで、交響曲やオペラが批判され、作曲の自由が制約されていた時の、避難場所が弦楽四重奏曲であったのではないか。
その最も苦しい時に作曲されたのが第8番だと思うのですが。
ショスタコーヴィチは意に反して共産党への入党を迫られ、自殺まで考えて作曲した辞世の作品と言う説が一般的になってきています。
弦楽四重奏曲はシェルターですから、表向きの顔は「ファシズムと戦争の犠牲者」に献呈するようにと表現されていますが。
5つの楽章を連続的に演奏していく、15〜16分ほどの作品ですが、随所に聞いたことがあるパッセージが流れてきます。
そうです第1楽章は第1交響曲の引用、第2楽章はピアノ三重奏曲第2番の「死の舞踏」、第3楽章ではチェロ協奏曲第1番、第四楽章ではスターリンに批判された歌劇「ムツェースクのマクベス夫人」のラルゴが引用されています。
その他にも第8交響曲、第10交響曲も引用されているとかです。
精神的に追い詰められた状態で、急いで自分の作曲した作品群を総括し、わずか3日で第8番の作曲が終わりました。
5つの楽章を通して聴くとショスタコーヴィチの深刻な状態が良く伝わってきます。
演奏者も第2楽章では迫真の演奏で、凄いエネルギーを消耗してしまうのではないかと想像できます。
第3楽章では第1ヴァイオリンの西野ゆかさんの演奏に引き込まれてしまいました。
第4楽章のゆっくりとリズムを刻むを個所などドラマチックで印象的でした。
やっぱり第8番が15曲の中で抜群に輝いているのではと思いました。
 
弦楽四重奏曲の歴史の中でベートーヴェンの16曲が第1のピークでバルトークの6曲が第2のピークだと思っていました。
バルトークの弦楽四重奏曲は彼の人生とか個人の問題とは全く関係ない処、音楽の奏法と言うか技法と言うか、そういった理性的客観的な作品群です。
若い頃は盲目的にバルトークが好きでした。
でも6曲聴くと正直キツイです。
感性で聴くと言うより理性で聴かなければならないからです。
それに対してショスタコーヴィチは標題音楽的手法の私小説を感覚的に聞けばよいので割と気楽に聞けます。
現在の私はバルトークと同じ位ショスタコーヴィチも好きになりました。
ベートーヴェンに続く20世紀の弦楽四重奏曲のピークはバルトークの5番とショスタコーヴィチの8番だと思えるようになってきました。
今日は8番が聴けて良かったです。
 
休憩後はブラームスの第3番です。
ブラームスの弦楽四重奏曲は苦手です。
嫌いなわけではないのですが、聴いていて好きになれないと言うか魅力が感じられないのです。
弦楽6重奏曲やピアノ5重奏曲などは凄く好きなのに、どうしたわけでしょうか。
ただ演奏する人たちにとっては、大曲でやりがいのある曲なのかもしれませんが。

私にとって今日のコンサートは前半の2曲が聴きどころだったと思います。
定期演奏会だったのでアンコールはありませんでした。

クァルテット・エクセルシオ
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