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2019年7月31日
今日ベランダの手摺の柵にアブラゼミが停まっていました。
ニイニイゼミが鳴く頃から、ヒグラシのカナカナと言う鳴き声が時折夕方に聞こえてくることがあります。
この辺りではあまりヒグラシは多くありませんが、夏の遅くまで明け方や夕方に鳴き声を聞くことができます。
ヒグラシは
主人公の光源氏が40歳のとき26歳も年下の14歳の女三宮を正妻として六条邸に迎えています。
その時自宅の二条院には第二夫人と言ってよいのでしょうか、しかし最愛の紫の上が住んでいました。
源氏物語第35帖「若菜下」では、光源氏が体調の良くない女三宮を見舞っているうちに眠ってしまい、ヒグラシの鳴き声で目覚めます。
二条院の紫の上のもとに帰ろうとする源氏に、女三宮はこんな歌を詠みます。
「夕露に 袖濡らせとや ひぐらしの 鳴くを聞く聞く 起きて行くらむ」
ヒグラシが鳴くのをお聞きになりながら、起きて出て行ってしまうのですね。私に夕露で袖を濡らせ(泣いて)いなさいと言うのですか。
困った源氏が詠んだ歌は
「待つ里も いかが聞くらむ 方がたに 心騒がす ひぐらしの声」
私を待っている紫の上はこの鳴き声をどんなふうに聞いているのでしょうか。
それぞれに心を騒がすヒグラシの声ですねと。
結局すげなく帰ってしまうのも気の毒なので、その日もお泊りになっています。
この第二夫人の紫の上という女性は、10歳くらいの少女だったころ光源氏の初恋の人・藤壺の宮に似ていると言う理由で、さらって自分の家に連れてきて、源氏好みに養育された人で、物語を通じて容姿・内面とも優れた人物として描かれています。
源氏に深く愛されながら実子を持つことも無く、生涯の伴侶でありなが葛藤を心に秘めて生き、ついに出家を望むも許されず、源氏に先立って病没します。
一方正妻の女三宮はよく言えば育ちの良い素直な姫ですが、才気に乏しい唯美しいだけの人でした。
やがて不本意ながら頭中将・柏木の子を宿してしまいます。
そのことで悩みこちらは本当に出家してしまいます。
二人のとも数奇な運命をたどった女性です。
ヒグラシが鳴くのを聞くと、ヒグラシの鳴き声は、まるで光源氏を巡る女性たちへの哀歌のようにも聞こえてきます。
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