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小川洋子
「密やかな結晶」
この本、凄く面白かったのですが、396ページ 紹介したいと想いつつ、なかなか書けなくて・・・・・
この島から最初に消えたものは何だったのだろうと、時々私は考える。 「あなたが生まれるずっと昔、ここにはもっといろんなものがあふれていたのよ。
透き通ったものや、いい匂いのするものや、ひらひらしたものや、つやつやしたもの・・・
とにかく、あなたが思いもつかないような、素敵なものたちよ」
子供の頃、そんな物語をよく話して聞かせてくれた。
こんな書き出して、始まります。
この物語で一番問題なのは、消えていったものの事をすぐに忘れてしまう人、 いつまでも忘れないでいる人が居るということで、忘れないでいる人は
記憶狩りをされ秘密警察に捕らえられてしまう。だから、下隠しに隠して生きている。
「わたし」のお母さんも忘れないでいる人で、タンスの中に今までに
消えてしまったものを大事に隠し持っていた。時々、タンスの中のものを見せてくれて、思い出話をしてくれた。
ここで不思議なことは、一つ消えてしまうと、島民は自分の持っているその消えたものを川に流したり、燃やしたりして島にそのものが無くなる様に協力する。
それに協力した人は、そのものの名前から、心の中にある思い出まで全部忘れてしまう。
お母さんはある日、秘密警察に呼び出され、生きて帰えることはなかった。
薔薇の花が消滅し、小説が消滅した時は凄まじい表現でした。 「わたし」の仕事は小説家である。
担当の編集者も忘れない人の一人であった。
その編集者を「わたし」は自分の家の隠し部屋に匿うことになる。 このあたりは、この小説を読む誰しもがナチのユダヤ人狩りを連想する
だろうと思うと解説にも書かれている。
小川さんは、「アンネ・フランクの記憶」という本も書いている。
又、仕掛けとして面白いのは、小説家である「わたし」が書いている
小説が、間に平行して流れている。
その中で、主人公は声を奪われる。
失われた声の変わりにタイプライターを使う。
これも不気味なサスペンスそして、表現が不思議・・・・・
島から何もかもが消えて最後に残るのは何だと思いますか?
ちょっと想像してみて下さい。
最後の数ページ、消滅の表し方が素晴らしく感動します。
小川洋子さんの虜になりましたよ。
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