PANAの言いたい放題

クラシック音楽・時事・映画・ドラマの言いたい放題です。映画、ドラマは完全ネタバレです。

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1984年製作 日本(松竹)

監督:山田洋次
出演:渥美清、中原理恵、倍賞千恵子、佐藤B作、渡瀬恒彦、前田吟、美保純



NHK−BS2放送を視聴。


シリーズ33作目。

寅の夢で始まる。
夜霧の港町。
長い逃亡生活からこの故郷に帰ってきた男・寅次郎(渥美清)が独り佇む。肉親はすでにこの世にいない。
ここにはびこっている悪い奴らのせいで、この世を見捨てて命を絶ってしまっていたのだ。
港のキャバレーで、男は奴らに復讐する。
ちなみに、女が死んだときにベートーヴェンの英雄の第2楽章が流れます。


とらやの家。
タコ社長の娘・あけみ(美保純)が婚約した話を皆でしていた。
そんなとき、寅から満男の中学入学祝として、旅先の盛岡から小さな地球儀が送られてくる。
ひろしは、好意的に、世界的視野を持った人間人なれ、という義兄のメッセージだと受け止める。
地球の球が台から外れて落っこち、コロコロと転がっていく。数作前の紙風船を思い出しますね。


盛岡の祭りで商売をしている寅。商品は地球儀も。
そこで、かつての舎弟・登と出会う。
登は堅気になり、世帯を持って、妻と小さな娘の三人家族。
小さな小汚い食堂を営んでいるが、どうみても暮らし向きは大変そうだ。
精一杯歓待しようとする登を寅は諌め、すぐに去っていく。
追いかけてくる登の妻に寅は、”登のことをよろしくお願いします。”と深く頭を下げる。
”道中ご無事で。親分さん。”と妻に言われた寅は、動揺しながらも肩を揺らせて去っていった。
登には、きつく叱り、その妻には、登をお願いする寅の優しさが伝わってきます。良いシーンです。


北海道の釧路に渡った寅。
床屋に客でいたとき、フーテンの風子こと木暮風子(中原理恵)が飛び込みで職を求めて入ってきた。美容師の資格を持っていると言う。
床屋の主人(人見きよし)は、客と揉め事を起すタイプだとして雇わなかった。
気の毒だと思った寅は、外で声を掛け、話をすると意気投合。仲良くなる。

その夜、寅次郎は、女房に逃げられたという福田栄作(佐藤B作)と相部屋になる。
このネクラの男は、真剣に話をしたり、急に泣いたりしながらの惨めな湿った話。
”いやな話きいちゃったなー”といって、しかめっつらをする寅は、持前の優しさでほっとけない。
寅と風子は、彼の女房探しを手助けする羽目になる。

翌日、寅と風子は、栄作を励ましながら霧多布まで付添って行ったが、新しい夫との幸せな生活をする妻の姿を遠くから見る。
赤ん坊までいたことから、声もかけられず去ることになる。
まるで、「幸せの黄色いハンカチ」のギャグバージョンです。

ネクラの栄作と別れた二人は、風子の伯母の住む根室へ。
久し振りに会った伯母に、しんみりと叱られる風子だった。伯母さんが、深く心配していた様子が伝わってきます。
その様子を聞いた寅は、”そうやって心配してくれる人がいるのは、有難いとおもわなくちゃ。”
実感のこもった言葉です。

祭りに賑わう常盤公園の見世物小屋にオートバイショーが行われていた。
オートバイを巧みに乗りこなす一座の花形トニー(渡瀬恒彦)は、目にとまった風子を小屋に誘い、自慢の技を見せる。

伯父の世話で近所の床屋で働く風子とこの地の祭りで商売する寅は、仲の良い友達として楽しい日々を送る。
寅の旅立ちの日が迫り、寅の宿泊する旅館で、風子は寅と一緒に勝手気侭な旅をしたいと言い出す。
風子は、”寅さんと一緒にいたいの。”と言う。
それを聞いた寅は、昔、妹のさくらから意見された話を風子に聞かせる。
”こんな暮らしを続けていたら、きっとお兄ちゃん後悔するわよ。・・・大きなお世話だ!って相手にもしなかったけどな。ふと、気がつくと仲間は足を洗い、所帯を持ってかたぎの暮らし。いい歳こいて渡世人の馬鹿やっているのは俺みたいな馬鹿ばっかりだ。”
寅は、心を鬼にして伯母のいるこの根室で真面目に働いて、いい男を見つけて世帯を持てと分別を説くのだった。
”そりゃ、長い間は退屈なこともあるだろ。でもな。5年、10年たって。あーっ。あのとき、寅さんが言ってたことは本当だったんだなって、きっと思い当たるときがあるよ。”
優しい寅の素晴らしい言葉です。渥美清の口調が見事でした。説得力あります。
風子は面白くない。”案外、白状なんだね。”
送ろうとする寅に”大丈夫!子供じゃないんだから!”と、怒って飛び出した。


寅が去る日、別れを惜しむ風子は別れ際に”寅さんがもう少し若かったら、私、寅さんと結婚するのに。”と告げる。
”大人のことをからかっちゃいけねえよ。へへへ。”と、寅は冗談っぽく笑いながら去っていった。
電車の中の寅は、真剣な顔つきで風子のことを想っていた。


あけみの結婚式の日。
あっけらかんとしていたあけみも、タコ社長に嫁ぐ挨拶を立派にする。泣くタコ社長。

その日、店番のさくらだけがいるとらやに、ネクラの栄作が訪ねて来た。
丁度、その時、寅も帰ってきて、店で鉢合わせ。
寅は、さくらに”ネクラ。じゃなくて、さくら。ネクラに団子出してやれ。”
この間違いは、元々のセリフでしょうか?NGでしょうか?渥美清のアドリブでしょうか?

栄作は、東京で風子に会ったことを伝えた。さらに、借金を申し込まれたが断ったという栄作に、寅は怒ってしまい、栄作を怒鳴りつけ追い返してしまう。

”労働者を搾取した金で新婚旅行に行くあけみのような娘もいれば、お金に困って、夜露に濡れて泣いている風子のような娘もいる。世の中ー、さまざまだ。”と言う寅。怒るタコ社長。

風子を心配する寅は、居所が分らないので、新聞の尋ね人欄に広告を出した。
そんなとき、トニーがとらやにやってきた。風子が病気で寝込んでしまい、寅さんに会いたいと言っているという。

寅は早速、トニーの住む部屋にいる風子に会いに行く。寅に会った風子は泣いてしまう。
寅は、やつれた風子を、とらやに連れて帰った。

数日後、風子は元気を取り戻す。
さくらは風子に、しばらくここで住んで、おいちゃんの知り合いの床屋で働くことを勧める。
優しい言葉に、風子は涙する。そして、以前、寅に堅気になれと言われたことを、改めて身に染みていた。

寅はトニーを呼び出して、風子と別れるように言い、頭を下げる。寅の気持ちを見透かしたトニーは、”兄さん。見かけによらず純情ですね。”

戻ってきた寅は、未来の堅気の幸せな風子の生活を想像で話す。寅の名台詞です。
だが、風子がトニーに会いに行くというのを、寅がすでに話をつけたと言ったことから、風子は怒ってしまう。
何故、勝手なことをするの、と文句を言い、寅も好きなようにしろと投げやりな言葉。
風子は、そのままとらやを飛び出してしまった。それを、追いかけるさくら。

寅の部屋で、さくらと二人きり。
”俺はきつい言い方をしたか。”という寅。
さくらは、”ううん。大丈夫。お兄ちゃんの気持ちは分ってるわよ。別れ際に言ってたわ。ごめんなさいって言っといてって。”
さらに、”不幸せになることが分っている恋もあるわけでしょ。分っていながら、どうしようもなかったのね。でも、大丈夫よ。あの子は立ち直るわよ。”

風子の幸せを願う寅とさくらだった。


夏の盛り、風子からさくらに手紙が届く。
根室に帰った彼女は、伯母の気に入った真面目な男と結婚することになり、さくらたちにも結婚式に出席して欲しいと書いてあった。

さくら、ひろし、満男は結婚式に出席するため北海道・中標津へ。
地元親戚の盛大な出向かいを受け、風子も再会に大喜び。
そして、北海道を旅する寅からも、式に間に合うよう山越えして行くとの電話が入っていた。
山からやってきた寅は、熊に襲われそうになり、ヘトヘトの登場。
ここでもベートーヴェンの運命が流れます。やっぱりクラシックは変ですよね。
熊に半分食われてしまった自身の雪駄を目の前で見せられ、気絶する寅でした。





堅気になって幸せになって欲しいと願う寅やさくらたちの思いが、風子を幸せな結婚に導いたといえるでしょう。
寅の名台詞や素晴らしい言葉が、今回も沢山ありました。
本当に良いストーリー、良い脚本でした。

タコ社長のおてんば娘・あけみが初登場。いきなり、強烈な個性が身内?(のようなもの)に現れ、違和感ありありですが、これも映画だから許しましょう。

渡瀬恒彦は存在感たっぷりでした。若い頃の彼は、「事件」でもそうですが、チンピラの役が多かったんですね。
このときはまだ若々しいけど、大物ぶりの片鱗が見えます。

中原理恵も好演していました。演技が上手かったですね。
スキャンダルより、欽どこなどお茶の間への露出がバッタリとなくなった彼女は、引退したわけではないようです。
国民的映画のヒロインまで努めた人が、もったいないですね。
昔、ドッキリ・カメラのような番組で、煙草を吸いながらマネージャー?に少々偉そうにみえたシーンを思い出します。欽どこのイメージと違っていたので驚いたことを思い出しました。


2006/10/21 ★★★★☆ (評価:4 /5)

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TBありがとうございました。寅とトニーの渡世人同士の会話は見ごたえがありましたね! 寅が物凄く頼もしく見えました!

2006/10/23(月) 午後 1:59 [ - ]

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TBとコメント有難うございます。TB返し致しました。 また遊びにきてください。コメント大歓迎です。 このシリーズはのべ150回くらい観ていると思いますが、本当に良く練られていますね。この33作も前の印象よりもよく出来ているなあと感心致しました。 最後のクマですが、本当に人間の罪深さに悲しくなりますね。クマが出没するには人間の環境破壊等が遠因としてあるはずですのに、危険だからとこれまた人間に殺されてしまう。 この作品を観ている間はそんなことも忘れられますね。

2006/10/23(月) 午後 6:02 [ オカピー ]

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小寅さん。有難うございます。トニーは寅を目上として接していましたね敬語ですし、一緒に歩くときや階段を登るときの後先の譲り方など。マナーができています。こういう当たり前の振る舞いをチンピラのようなトニーがするのですから、寅を頼もしく見えるひとつの要因なのかもしれませんね。

2006/10/23(月) 午後 11:43 [ PANA ]

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あけみのアドリブ演技はもともと監督の意思では無かったと思います。監督の考えに応える演技をしてもらうよりは、自由に演じさせたほうが生き生きとすると考えたためではないでしょうか。指示することをこなしてくれる役者なら、イメージを持ってイメージどおりに演じてもらいたいと思うでしょう。美保純のアドリブに対して三崎千恵子もアドリブで返したという。三崎千恵子のアドリブのほうが凄いと思う。

2006/10/23(月) 午後 11:58 [ YG−AKIRA ]

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オカピーさん。TB&コメント有難うございました。いつもそちらでTBしっぱなしで、大変失礼しました。また、お伺いしますので、よろしくお願いします。この映画を観て、すぐに熊のニュースを見てしまったので気になってしまいました。そうでもなければ、普通は作品から連想しませんよね。(笑)のべ150回の視聴ですか・・・。考えたこともなかったんですけど、もしかすると、私は、少なくみても100回ぐらいは観ているように思います。

2006/10/24(火) 午前 0:16 [ PANA ]

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YG−AKIRAさん。有難うございました。三崎千恵子もアドリブですか。たしかに凄いですね。そう言われて、あのシーンを思い出すと、実に自然でしたよね。娘の嫁ぐ直前の雰囲気がリアルに出ていたように思います。まさしく、アドリブの成功ですね。

2006/10/24(火) 午前 0:34 [ PANA ]

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panaさん、コメント&TB有難うございました。 100回とか150回とか、皆さん、凄く観ているんですね。びっくりです。 あのアドリブ、確かに、本番で出して、監督がそのままOKしたんじゃないですかね?私も、三崎千恵子もアドリブ返していたと思います。 世間では、この作品、あまり評判が良くないのですか。私は、結構、好きですよ。

2006/10/24(火) 午前 1:16 [ ようちゃん ]

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ようちゃんさん。約35年間で、何回観たかは、正直分りません。(笑)アバウトなイメージの回数なので、実際もっとたくさん観ているような気もします。渥美清さんが良くアドリブ出すそうなんですけど、ほとんどがリハーサル中に出したアドリブを山田洋次監督が本番で採用するそうです。本番一発のアドリブは大変めずらしいですね。評判良くないのは、多くはヒロインのフーテンのキャラのせいのようです。何故、寅があそこまでこの女性を思い遣るのか・・・。これからもよろしくお願いします。(~~)

2006/10/24(火) 午前 7:00 [ PANA ]

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こんにちはーTBさせて下さい。 <渡瀬恒彦 「事件」も良かったですが、こちらのトニーはスターのオーラを感じるかっこ良さで、寅さんも少々押され気味でしたねー。同じヤクザ者として対抗意識も燃やしていたし…^^;)。

2006/10/27(金) 午後 5:23 booska★ぶーすか

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ぷーすかさん。渡瀬恒彦の存在感をこの映画であらためて感じました。堂々と渥美清と渡り合っていましたよね。吃驚です。<風子に恋愛の対象にされてない寅さんが今回はちょっと寂しい感じ。>・・・ですね。ただ、あの発言は、その前に寅さんと一緒に旅に出たいと言ったのを寅から子供扱いされて説教されたことが背景になっているので、本当の風子の気持ちは・・・!?考えすぎですかね?(~~)

2006/10/27(金) 午後 5:57 [ PANA ]

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