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堀江敏幸の『なずな』を読み終えました。
以前『河岸忘日抄』のことをちょっと書いた記憶があるのですが、『河岸忘日抄』もすでに読み終えています。
私は、小説を一気読みするというよりは、たま〜に乗る電車で読んだり、何かの待ち時間に読んだり、寝る前に読んだり、ただ気が向いたら読む、という感じで読み進めるので非常に時間をかけて読むことになってしまいます。
『なずな』も夏に読みだして先週読み終わったので、読み終えるまでにかなり時間かかってます(^^;
『なずな』は、地方の新聞記者の40代独身男性が、事情があって弟夫婦の赤ちゃん(なずな)を預かることになるお話です。
姪っ子を預かり初めての育児に奮闘するのですが、彼一人ではなく、病院の先生やその家族、大家さんや、飲食店の常連さんなど、周りの人々に見守られ助けられながら、なずなは成長していきます。
私自身育児なんてしたことはありませんが、同級生が母親になっていく様子を見てうんざりしている今日この頃です…(笑)
しかし、『なずな』で描かれているのは、母親が子に対する視線ではなく、伯父が姪っ子に対する視線だからこそ私はほのぼのと読めたのかも知れません。
堀江さんの本はどれも心が落ち着きます。
素朴な日常を切り取って、何気ないほんのちょっとした日々の出来事が、こんなにも瑞々しくて豊かなんだな〜と
感じさせてくれるのです。
淡々と綴られる文章や登場人物たちのちょっと冷めた言い回しなどは、映画で言うと、小津安二郎のイメージに重なります。
温かい人情も感じるのですが、主人公はどこか無表情で冷めた印象を感じさせるからかもしれません。
でもそういうキャラクターが私は好きです。
友栄さんという女性との恋愛関係とまでも呼べない微妙な関係性もよかったです。
「私は守っているのではなく、守られているのだ、この子に。なずなに。」
チャイルドシートがどうとか、風力発電やゲートボールや囲碁がどうとか、小さな街のどうってことのない出来事、人々の心の些細な変化などが素敵な文章で語られます。
広い範囲ではなく、ほんのごく小さな範囲での出来事を描きながら、そこには無限の幸せが広がっている気がするのです。
まだ会話もできない赤ん坊に話しかけることがどれだけ幸せか…
そんな幸せを私に伝えてくれる物語でした。
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2016年02月25日
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