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歴史家に見抜かれていた 安倍薄っぺら外交と日韓合意破綻

2018111日 日刊ゲンダイ    

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安倍首相が「最終的かつ不可逆的」と胸を張った合意内容が事実上、破棄された。

韓国の文在寅政権は9日、2015年12月28日の従軍慰安婦問題を巡る日韓合意に関する新方針を発表した。合意に基づき日本政府が拠出した10億円を日本に返すべきだとの一部元慰安婦らの主張を踏まえ、韓国政府の予算で同額を拠出。日本の拠出金は凍結し、扱いを今後、日本政府と協議すると表明した。

10億円で韓国政府が設立した「和解・癒やし財団」の活動も当面、凍結される。昨年5月の大統領選で文氏は日韓合意は「誤りだ」として再交渉を公約。10日の年頭会見で再交渉の公約は撤回したものの、新方針は合意の破棄を回避しながら、その内容を無効化したも同然だ。

新方針に日本政府は猛反発。菅官房長官は「最終的、不可逆的な合意だ。一ミリたりとも動かすことは考えていない」と青筋を立て、外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は韓国の駐日次席公使を外務省に呼んで抗議。韓国でも大使館ルートを通じて同様に抗議した。

官邸幹部は平昌五輪への安倍首相出席は「あり得ない」との見方すら示しているというが、歴史家はこの結末をとうに見抜いていた。歴史作家の保阪正康氏は、2016年2月の日刊ゲンダイ「注目の人直撃インタビュー」で、日韓合意について「言葉は悪いが野合です」と断じていた。その理由は、従軍慰安婦問題について日韓両政府が歴史的検証を行った上で、合意したわけではなかったからだ。

日韓合意を巡って文政権は昨年12月、外相直属の検証作業部会の報告書を発表。合意の最大の問題点を「被害者中心のアプローチ」の不足だったと指摘、文大統領も「重大な欠陥があった」と批判していた。

元慰安婦の意見を集約せず、慰安婦問題の歴史的な真相究明もなされないまま、日韓合意に至ったワケは単純だ。当時、完全に冷え込んでいた日韓関係を懸念したオバマ米大統領の要請に、安倍政権が渋々従ったに過ぎなかったためである。

米国の命令に嫌々従っただけの異例の合意

15年11月の日中韓サミットの機会に、安倍首相と朴槿恵大統領(当時)がそれぞれ就任後初めて臨んだ日韓首脳会談から、慰安婦問題の協議は加速化。たった1カ月ちょっとの急ピッチで協議を重ね、年末のドサクサに合意を発表したのだ。

しかも、合意内容について公式な文書を交わすこともなく、日韓の両外相が共同記者会見を開いて発表しただけ。日韓合意は安倍政権が米国のご機嫌をうかがうための「その場しのぎ」で、保阪氏が指摘した通り「野合」に過ぎなかったのだ。綻びは当然の結果なのである。元外交官の天木直人氏はこう指摘する。

「公式文書も残さずに『最終的不可逆的合意』と言い張る安倍政権の神経を疑います。韓国政府に合意の長期的な順守を求めるのなら、口頭の合意だけでなく、関係者の署名を残し、条約の形式を取って国会で審議し、日韓両国の行政府に限らず、立法府も巻き込んだ合意を形成すべきでした。しかも、韓国政府が求めた安倍首相による元慰安婦への謝罪の手紙などの追加措置も、安倍政権は『最終的不可逆的合意』を理由に突っぱねてきた。果たして安倍首相は元慰安婦に本気で謝罪する気持ちがあったのか。米国の命令に従っただけの合意なら『仏作って魂入れず』で、韓国世論の反発が高まるのも自然の流れです」

文大統領は年頭会見で「日本が心から謝罪するなどして、被害者たちが許すことができた時が本当の解決だ」と強調したが、従軍慰安婦について「どこの国にもあった」「あれは職業だった」と過去に言い放っていたのが、安倍その人だ。

ハナから歴史と真摯に向き合おうとしない姿勢を見透かされ、安倍は文政権に「最終的不可逆的合意」をひっくり返されたのだ。まさに自業自得である。
   

常に目先だけの行き当たりばったり外交


韓国の新方針に安倍政権は自分たちの非を顧みず、怒り心頭になって激しい言葉をぶつけている。河野外相は「合意は国と国との約束。政権が代わっても、責任を持って実施しなければならない」と吠えていたが、お門違いも甚だしい。

むろん、いかなる形の合意であれ、国家間の約束は順守するのがスジだ。ただし、国民世論の強い関心事項であれば、政権交代が起こった時には新たな対応を打ち出すのは当然とも言える。

「例えば米国がトランプ政権に代わった途端、TPP参加合意を覆し、離脱しました。当時、安倍政権は『前政権と異なる対応』を理由に猛抗議しましたか。今回の韓国への激しい怒りとは違って、黙って見過ごしただけでした。安倍外交は相手の国力を見て、強い者には従い、弱い者はくじくというダブルスタンダード。こんな二枚舌外交は国際社会の信頼を失うだけです」(政治学者・五十嵐仁氏)

オバマ大統領の要請に嫌々付き合った日韓合意が典型的だが、いつだって安倍外交は行き当たりばったり。目先のことしか考えない「その場しのぎ」の連続である。

安倍はロシアのプーチン大統領とは、ファーストネームの「ウラジーミル」と呼ぶほどの親交を自慢し、「我々の世代で終止符を打たなければならない」と勇ましく北方領土問題の解決を呼びかけたが、結果は承知の通り。16年12月のプーチン来日時には地元・山口県の温泉旅館などで散々もてなしたのに、3000億円の経済協力を持っていかれただけ。領土問題はいまだ一ミリも動いていない。

米国のトランプ大統領とも安倍は「ドナルド」「シンゾー」と呼び合う仲らしいが、日米外交は常にトランプの顔色をうかがっているだけ。トランプに言われるがまま、場当たり的に無用で高額の武器を米国から買いまくっているが、米軍機の相次ぐ事故やトラブルに抗議すらできない薄っぺらな関係だ。「米国と日本は100%ともにある」という安倍の大げさなセリフがむなしく響く。

八方ふさがりで孤立化の道へとまっしぐら

地球儀俯瞰外交と称した「中国包囲網」の構築も、行き当たりばったりの連続で完全に破綻。就任5年目にして、習近平体制との関係の再構築を余儀なくされるありさまだ。

「外交の安倍」を自任しながら、ハッキリ言って実績はゼロ。いつも口先だけで何ひとつ外交成果を上げていない。

そして最も危ういのが北朝鮮への外交姿勢だ。9日には南北閣僚級会談を開催し、北朝鮮が平昌五輪への参加を正式表明。あのトランプでさえ、「適切な時期に米国も参加するだろう。そうした対話から何かが生まれるのであれば、全人類にとって素晴らしいことだ」と南北対話に期待を寄せているのに、安倍政権は相変わらず圧力一辺倒。10日も「北朝鮮の政策を変えさせるために、あらゆる手段を講じて、圧力をかけていく」(菅官房長官)と、圧力強化路線の堅持を強調した。

「日本の対北圧力路線は米国にハシゴを外されたら、八方ふさがり。日韓合意に固執するのも問題で、世界規模でセクハラが政治問題化する中、日本が慰安婦問題で騒ぎ立てれば、『安倍政権はセクハラだ』と海外メディアから糾弾されかねない。いずれにしても、安倍外交は孤立化の道を歩んでいるようにしか見えません」

(天木直人氏=前出)

前出の五十嵐仁氏は「安倍政権がこの期に及んで圧力強化を打ち出すのは、北朝鮮の脅威を9条改憲に利用したいだけ。目先のことしか考えない『その場しのぎ』のオソマツ外交を物語っています」とバッサリだ。国民も口先首相の正体に気づかなければ、国際社会からの日本の孤立化という国難が待つのみである。

 

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