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昨日は銀座の王子ホールで、ポール・ルイスのシューベルト・チクルス最終回を鑑賞。
19,20,21番と言う最後の3曲のピアノ・ソナタを一度に聞けるとは、なんたる贅沢。
そして、また演奏が実に素晴らしく、これぞ理想のシューベルトといえるものでした。
ポール・ルイスは、2年前にも18番を聞いており、ブレンデルを師と仰ぐだけあって、
音の流れの綺麗な、割と優等生的な演奏というイメージだったのですが
今回はいい意味で裏切られました。
一音一音を大切に、端正に淀みなく音を並べて早めのテンポで進行するの゚は、
前回同様で予想通りなのですが、今回はなんだか、演奏のスケールがぐんと大きくなったというのか、
弱音と強音の間隔が倍ぐらいに広がったというのか、
予想外の奔放さが頻出して、少々面喰うほどでありました。
時に非常に情熱的で激しい響きが印象的で、とりわけ、20番の第2楽章などは
なんとも凄味のある、おどろおどろしい程の演奏。
音の強さもさることながら、なんと言うか、決して激情に駆られるわけではないのだけど
うまくコントロールされた説得力のある情熱というのか。
とにかく、全体の構図を乱すわけではないのだけど、とてもパワフル。
死のほんの数か月前、身体も弱った状態にありながら、シューベルトはここまで充実した力強い曲を
作曲したのかと、そのように思わせる、前向きな演奏。
基本的にはオーソドクスなのだけど、繊細にして大胆。スマートにして情熱的。
相反する要素を同次元に盛り込んだかのような、一筋縄でいかない演奏。
言葉で言うのは難しいのですが、とにかく、非常に良かった。
オイラの中では、これぞシューベルトの理想形、と感じました。
昨年は、アリス・サラ・オット(17番)、ラド・ルプー(21番)、オピッツ(18番)と聞いたわけですが、
今日が、一番、素直にしっくり来たかも、です。
彼は今が一番油が乗り切っているのじゃあなかろうか。
技術的な面でも、精神的な集中力という面でも。
とにかく、これは素晴らしい演奏であったと思います。
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