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じっくり、ゆっくり読みたいと思っていた村上春樹の
「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」。
最後は、ついつい加速して、集中して、読み終えてしまいました。
あぁ、もう終わってしまった。もったいない…という感じ。
個人的にはとても好き。
前にも書いたように、これは現代版の「されど われらが日々」だと思います。
生と死と青春の美しい寓話。
みずみずしい憂いを帯びた文体は実に魅力的だし
お馴染みの、彼にしか書けない素敵な比喩は今回も絶好調。
なんか名人の落語を聞いているような気分です。
前回のヤナーチェク「シンフォニエッタ」に続き、今回、小説のキーポイントとして
度々登場するのはリストの「巡礼の年」から第1年「スイス」の巻8曲目
「ル・マル・デュ・ペイ」。
田園風景が人の心に呼び起こす、理由のない哀しみ、の意味だそう。
いやぁ、知りませんでした、この曲は。
なんか、大昔、ラザール・ベルマンがこの曲のレコードを出したという記事を
「レコード藝術」誌で見た記憶はあるのです。
でも、聴いたことはなかった。
果たしてどんな曲なのか、弥が上にも興味は沸きますが
今は本当に便利なyou tubeというものがあって、すぐに検索できてしまうのですね。
演奏は誰だかわからないけど、とても静謐な、不思議な、ある意味リストっぽくない曲。
しかし、こういう曲を、すっと小説に入れ込むところが
村上春樹の、音の目利き(耳利き?)というのか、センスのいいところですねぇ。
それはともかく。
一文一文を慈しむように読みたい小説です。
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