やきんのおおかみ
日が暮れ始めるとオオカミたちは仕事へと向かいます。
オオカミたちの仕事はほとんどが夜勤で働くのが夜だからです。
オオカミの仕事の多くはブタやヒツジを脅かしてお金や物を奪う事でした。
また、時には相手を食べてしまう事もありました。
そして辺りも暗くなり、人通りも少なくなってきた頃・・・
新入社員のオオカミの一人が路地裏で待ち伏せしていると
どうやら残業帰りらしいブタがやって来ました。
「ああ、すっかり遅くなってしまった。坊やはもう寝てるかな。
今日はお土産があるんだけどなあ。」
ブタはその行く手にオオカミが待ち伏せている事に気付きません。
「ウオー」
ついにオオカミがブタの前に立ちはだかりました。
「うわああ」
ブタは驚いて転んでしまいました。
手に持っていた子供へのお土産がオオカミの足下へと転がります。
(オオカミだ・・・オオカミだ・・・もうおしまいだ・・・
食べられてしまう)
ブタが覚悟を決めたその時です。
オオカミは転んだブタに手を差しだして起こしてやりました。
そして子供のお土産をブタの手に持たせてあげたのでした。
ブタはオオカミの思いがけない行動に驚きました。
オオカミは
「それ、子供のお土産かい?子供には親がいたほうがいいよな。
俺には・・・いなかったけど。
やっぱり俺はオオカミの仕事は向いてないみたいだ。
今頃の時間は俺の他にもオオカミが働いてるから気をつけて帰りなよ。
じゃあな。」
そういってオオカミはブタの前から去っていきました。
ブタはオオカミの後ろ姿に深々とお辞儀をすると足早に家路を急ぎました。
「ただいま」
「おかえりなさい」
父親の声をきいた子ブタがパタパタと走ってきて出迎えます。
「まだ起きて待っててくれたのか。ほらお土産だぞ。」
「うわあ、うれしいな。」
「・・なあ、坊や、オオカミは悪い人かな。」
「うん、オオカミは悪いよ。」
「じゃあ、総理大臣やおまわりさんやお父さんの働いている会社の
社長さんは悪い人かな?」
「違うよ、悪い人じゃないよ。」
「本当にそうかな・・・
なあ坊や、人を見た目や仕事で判断してはいけないよ・・・
オオカミにもいい人もいるかもしれないし、
おまわりさんにも悪い人がいるかもしれない。
坊やは今は小さいからわからないかもしれないけど・・・」
「う〜ん、よくわからないけど、
オオカミはいい人でおまわりさんは悪い人?」
「ははは、やっぱりまだ難しかったかな。
坊やがもっと大きくなったらまた話すとしよう。」
「うん、それよりお風呂いっしょに入ろうよ。
ぼく待ってたんだよ。」
「なんだ、まだ入ってなかったのか。仕方がないなあ。
よし、入ろう、入ろう。」
・・・その頃、
ブタを逃がしてあげたオオカミは会社に電話をしていました。
「この仕事向いてないみたいなんで今日で辞めます。」
オオカミはそういって電話を切ってしまいました。
「これでいいんだよな」
そしてオオカミは谷に身を投げたのでした。
翌日、オオカミたちの会社ではオオカミたちが辞めたオオカミの話をしていました。
「仕事のできない奴だったし、仕方ないんじゃないの。」
「あいつは長続きしないと思ってたんだよ。」
「若い奴は根性がないよな。」
「ニートにでもなるんじゃないか。」
「無理無理、あいつ両親いないらしいから。」
「ははは、そりゃ無理だな。」
「はははははは。」
〜おわり〜
旦那が先日見た夢にこういう絵本が出てきたそうです。
「実際にあるんじゃないの」
と言ってましたが・・・ねえよ。
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