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「私の父」弐
父は一箇月の入院を経て転院、終末医療の病棟に移って三日目だ。
頭には転移がないから、意識も思考力もしっかりある、しかし。
177cm 42kg の父の身体に毎日アロマオイルを塗布する私がいる。
俺のことはいいから、早く仕事に行けと私を気遣う父がいる。
まったく食事がとれない日には、私も食事が喉を通らない。
一椀のお粥を食した父を見届けた日は、私の足取りも軽い。
市役所一筋に勤め上げてやっと母と旅行にでも、そう考えた矢先に、市長に懇願されて商工会議所の仕事をやる羽目に。
任期途中で母が急性白血病であることがわかり、すぐに辞職。
母の前では笑顔を作り、毎日二人で病院に通ったね父さん。
二十年後の今、その役目は僕一人だよ父さん。
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十行だけの独り言
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