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気象庁は、9月9日から11日に関東地方および東北地方で発生した豪雨について、
「平成27年9月関東・東北豪雨」と命名しました。 台風18号は関東から東北の各地に大きな爪痕を残し、なかでも被害が大きかったのは茨城県常総市。 常総市では鬼怒川の堤防が決壊したことで広範囲が水に浸かり、農作物への影響が深刻です。 県の調査によれば、被害面積は1402ヘクタール、被害金額は13億8300万円に及び、その9割近くは 水稲とのことです。 ただ、実のところこれだけ大きな被害が出ていながらも、雨はそこまで降っていません。 常総市のとなりの下妻市では9日の日降水量が128ミリで、さすがにこの程度の雨量では 大規模な洪水が発生するようなことは考えづらいです。 常総市で降った雨が原因ではなく、 川の上流方向、つまり栃木県で降った大量の雨が原因で川が氾濫したのです。 栃木県に記録的な大雨をもたらしたのは「線状降水帯」という南北に帯状に連なる発達した雨雲でした。 幅20〜30キロ、長さ50〜100キロにわたる線状降水帯が8個も県内を通過していき、日光市今市では 24時間で500ミリを超える雨が降りました。 線状降水帯は、下層の湿った空気の流入風に対し上空に行くにしたがって風が時計回りに向きを変え、 さらに上空の風が強くて湿った大気状態であるときに発生しやすいことが分かっています。 この図は高度500メートルの風向きや大気1キログラムあたりの水蒸気量分布などを表したものです。 関東地方は広く黄色や赤色の分布で、台風18号(もしくは台風から変わった温帯低気圧)に吹き込む 南東風や台風17号周辺からの南東風により湿った空気が大量に流入し続けたことが分かります。 そしてこの図は高度5800メートルの風速や風向き、相対湿度などを表したものです。 西日本に南北にのびる気圧の谷(水色の太線)がみられ、その東側では強い南風が卓越しています。 その強い南風に対応して湿った領域がみられ、上昇気流場が作り出されました。 上空の南風と湿った領域の大気下層に南東からの湿った空気が流入したことで、 次々と線状降水帯が発生したわけです。 当時はまさに線状降水帯が発生しやすい、言い換えれば集中豪雨がいつどこで発生してもおかしくない 典型的な気象条件であったことが分かりますね。 常総市には気象観測体制を強化するためにきのうから臨時の気象観測所が設置されており、 午後3時現在で気温は28℃まで上がっています。 あすにかけて日中は晴れて暑くなりそうなので、復旧作業の際には熱中症にご注意ください。 (図は気象研究所資料より)
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2015年09月19日
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