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わたしも最初に見たときには驚きました。
ミケランジェロの素描(デッサン)がこれほど美しいとは、精細な印刷で三巻に収められたその量にも素直に驚いたのです。
即購入したいのですが、高価(3巻で285000円)でもあり、若いわたしにはとうてい用意できない金額でした。それに、「300部限定」というのも気になっていたのです。
このときは、購入を見送ることにしました。
しばらくして、講談社から普及版が出ました。
四巻で、内容は見劣りするものではありませんでしたが、全巻揃えることはかなりの負担でした。しかしながら、この本から学んだことは多く、わたしには「描画に対する眼」を得たような心持ちでした。言うまでもなく、ミケランジェロの素描がこれほど身近に見られるのは、画集を介する以外になく、その微細な線の動きは情感さえも感じさせてくれます。
わたしは後に、「特装版三巻揃」も手に入れることになります。
古書市場になかなか出てこなかった、こういった本は一度逃してしまうと二度と手に入らないとよく言われます。ためらった本でもあり、懐かしくもあり、複雑な気持ちで「手にした」ものです。
70年代、80年代は、新刊市場にも古書市場にも美しい画集や美術書が多く並んでいました。本好きのわたしにとって、この頃が一番楽しい時期でした。
あのように「美しい本」が、これからも出版されるだろうか・・・。
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