|
『母の日』の話。
この間の日曜日は、母の日でしたね。
みんな何かを届けたのかな。
私は、遠くに住んでいる母に
小さな花束を
贈りました。
パソコンの中のお花屋さんに
遠い土地の名前を伝え、
パソコンで書いた手紙を
小さく添えてもらいました。
一年前も
おんなじお店に
おんなじカードを添えてもらったのだけど
今年のそれは
去年よりも小さな言葉でした。
日曜日は
彼の家族と食事にいく約束をしていて、
お家に伺うと
大きな紫陽花の花が
飾られていたのでした。
彼が、彼のお母さんに
贈った
鮮やかな青色の紫陽花。
彼のお母さんの微笑みが
とても大きくて
紫陽花によく似合うみずみずしさだった。
その日の晩ご飯はとてもおいしくて
夜中に会いにいった友達は相変わらずパワフルで
つられて笑っているうちに
雨模様の空は晴れて
うっかり傘を忘れて帰ってきた。
朝、乾いた身体で目を覚ますと
花束のお礼の手紙が、
ケータイに届いていた。
とても小さな手紙だった。
その手紙で
記憶が揺れて
いしいしんじ『麦ふみクーツェ』を読む。
『 クーツェはここのところ、
こころなしか小さくみえた。
とん、たたん、とん。
外は凍るような寒さなのに、
クーツェのほうからは暖かい夏土の匂いがした。
「ねえ、クーツェ」
とぼくはいう。「ずいぶん縮んだね」
―――ちぢんだんじゃないよ。ちぢみやしない。
クーツェはうたうようにいった。
―――おおきいちいさいは、きょりのもんだい。
』
気がつくと、母親が小さくなっていた。
おばあちゃんも小さくなっていた。
父親も。
家も。
街も。
単純に 時間の問題だと思っていたけれど
本当は 距離の問題だったのかもしれない。
とん、たたん、とん。
遠くまで届くように
きれいな放物線をえがくように
もう少しだけ高く投げてみようか
今年は小さなピンク色の花束が届いたはず。
来年は何色の花を贈ろう。
|